"6つのお悩み別"あなたの「睡眠問題」解消法

プレジデントオンライン / 2019年11月9日 17時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/RyanKing999

睡眠について多くの人が、さまざまな悩みを抱いている。その悩みをタイプ別に分類し、今日から行える対策を、睡眠のプロである作業療法士の菅原洋平氏に聞いた。

■《6つのお悩み別》あなたの「睡眠問題」解消法

睡眠の悩みの多くは、ちょっとした思い込みや無意識の行動から生まれます。改善するために、今の生活を大きく変える必要はありません。睡眠の仕組みを知ったうえで、少し行動を変えるだけで、睡眠の質はがらりと変わります。

まずは、これから挙げる6つの「睡眠に関する悩みのタイプ」から自分が今、一番気になるタイプを選んで、そこに書かれた解決策を試してみてください。睡眠が変わることを体験してほしいと思います。

そのうえで、ぜひほかのタイプの悩み解決策も試してみてください。ご自身の睡眠のさらなる変化を感じていただけるかと思います。

今回はわかりやすいよう、睡眠に関する悩みを6タイプに分けて挙げています。しかし、悩みに向き合うことよりも、「どういう睡眠をつくりたいのか」ということを考えるほうが重要です。体調が良く、良いパフォーマンスが出せているときの睡眠を、どうしたら再現できるかを考えるうえで、ここで説明したさまざまなロジックや手法を役立ててほしいと思います。

睡眠は毎日、一生続くことですから、自分に合った、質の良い睡眠が取れる方法を知っておけば、それは一生モノのスキルになります。コンディションをベストに保つのに役立つばかりでなく、睡眠トラブルを予防することにもつながります。

では、6つの「睡眠に関する悩みのタイプ」と解決策を見ていきましょう。

■【お悩みタイプ1】寝付けない

睡眠に関する問題の根っこには、「寝付けない」という問題が隠れていることが多く、実は寝付けないから朝起きられない、昼間眠いという場合があります。

これを改善するために行うのが「刺激統制法」と「睡眠制限法」です。

刺激統制法は、「ベッドは眠るところ」と、脳に記憶させるための方法です。「寝付けないから」といって、ベッドの中で本を読んだり、スマートフォンを見たりしてしまうと、脳は「ベッドは本を読むところ/スマホを見るところ」と記憶してしまいます。この記憶を書き換えるのです。

重要なのは、習慣そのものを変えようとしないことです。寝る前に読書をしたりスマホを見たりする習慣がある人が、この習慣をやめるのは大変なのでうまくいきません。ですので、場所だけを変えてみてください。ベッドの外で読書をしたりスマホを見たりすればいいのです。すると、「ベッドは眠る場所」だと脳が認識するようになります。

併せて行う睡眠制限法は、眠くないときにはベッドに入らないようにするというものです。ベッドに入ってから15分くらい寝付けないと、どうしても考え事をしてしまいます。すると、脳は「ベッドは考え事をする場所だ」と認識してしまいます。ところがこうした場合、多くの人は「昨晩は寝付きが悪かったから、今日は早く寝なくては」と、早くベッドに入ってしまいます。しかし脳は、すでにベッドを「考え事をする場所」と認識しているので、さらに寝付けなくなり、悪循環に陥るのです。

それを避けるために、眠くないときにはベッドに入らない。眠くなってからベッドに入ることを徹底します。

「寝付けない」という状態は、人間の行動が脳に記憶されることで「つくり出される」ものです。刺激統制法と睡眠制限法により、行動を変えて脳の記憶を書き換えるのです。

▼解決策:ベッドは眠る場所と脳に認識させる

■【お悩みタイプ2】途中で起きる

夜中に目覚めたあと眠れなくなる原因は、時計を見てしまうことにあります。夜中に目が覚めたとき、時計を見て時刻を確認すると、同じ時刻に目が覚めやすくなってしまうのです。ですので、目が覚めても時計を見ないようにします。

このメカニズムは、まだすべてが明らかになっていないのですが、コルチゾールという物質が関係していることがわかっています。

コルチゾールは、起床時刻の3時間前から分泌され始め、1時間前に急激に増えて、起きる準備が整うように起床準備をするホルモンです。夜中に目覚めて時計を確認すると、翌日からは、その時刻に向けて分泌され、起きる準備を始めるようになってしまいます。

寝室に時計を置くのはかまいませんが、ベッドから見えない場所に置いたり、目覚まし時計を伏せておくなどの工夫をするとよいでしょう。夜中に起きたときも、時計は見ないようにします。

併せて「自己覚醒法」も行います。寝る前に「明日は朝○時に起きる」と、起床時刻を3回唱えるというものです。これを行うだけで、コルチゾールが起床時刻に向けて分泌されて起きる準備ができます。

もし夜中に目が覚めたりしても、「○時に起きる」と寝る前に決めた起床時刻を3回唱えましょう。すると、脳のプログラムは書き換えられるので、続けていけば夜中に目が覚めることは減っていくはずです。

▼解決策:時計は見ずに起床時刻を3回唱える

■【お悩みタイプ3】早く目覚める

高齢になると、一日の長さを決める役割を持つホルモンのメラトニンが減少します。これが減ると、睡眠時間はどんどん早いほうにずれて、早寝早起きになります。

ところが多くの人が「睡眠時間は長いほうがよい」と思い込み、「もっと寝なければ」と、就寝時刻を一層早くしてしまいます。その結果、さらに起床時刻が早くなってしまいます。

対策は「遅寝遅起き」をすることです。

そのときのコツは「30分単位で遅らせる」こと。1度に1時間以上就寝時刻をずらしたりすると、睡眠が途切れたり、睡眠の構造が変化して寝付けなくなったり、夜中に目が覚めてしまったりしやすいのです。

いつも夜9時に寝る人でも、30分だけ頑張って9時半に寝ることはできるはずです。睡眠のリズムはだいたい2週間で固定するので、2週間ごとに30分ずつ就寝時刻を遅らせて遅寝遅起きにしていきます。

「8時間は眠るべき」など、理想の睡眠時間があると信じている人はたくさんいて、5時間睡眠で自分の体調が良くても、何とかして8時間寝なくてはならないと考えてしまいます。しかし、そもそも早寝早起きで体調に問題がない人は、無理に睡眠時間をずらして遅い時刻に起きようとする必要はありません。

睡眠は「目的」ではありません。休息を取り、自分のコンディションを良くするための手段です。早寝早起きでも、遅寝遅起きでも、自分のコンディションが良ければそれでいいのです。

一方で、不調を感じていて、それを解決するためであれば、自分の都合で早寝早起き、遅寝遅起きの、どちらにずらしてもかまいません。

▼解決策:30分単位で遅寝遅起きにシフト

■【お悩みタイプ4】眠った感じがしない

長時間寝ているはずなのに、熟眠感がなく、朝起きたときに爽快感がなかったり、だるさを感じたりするという悩みを解決するためには、「睡眠圧」という仕組みを知ることが役立ちます。「連続して起きている時間が長いほど、その後の睡眠が深くなる」というもので、睡眠物質が関係しています。

私たちが起きている間、脳内には睡眠物質がたまっていきます。睡眠が始まると睡眠物質は分解されていき、目が覚めるのです。ところが、夕方にうたた寝をすると、せっかく日中にたまった睡眠物質が分解されてしまいます。

まずは、ひとまとまりの睡眠をつくるようにしましょう。

一日を振り返ると、うたた寝する場所は帰宅途中の電車内やリビングのソファなど、決まっていると思います。脳は、人間の行動パターンを学習し、記憶してしまうので、疲れていないときでもその場所に行くと眠くなるのです。

ですので、行動パターンを変えやすく、体が疲れていない休日などを選んで、夕方にうたた寝をする場所に近寄らないようにしましょう。十分な睡眠圧をもってベッドに入る日をつくると、脳はその行動パターンを学習します。

さらに、睡眠の質を決める「深部体温」も重要です。深部体温は、内臓など体の内部の温度で、一日のうちで上がったり下がったりを繰り返すのですが、起きてから11時間後に最高になることがわかっています。このときの最高体温が高いほど、その後ズドンと下がり、ぐっすり眠ることができます。

ですから、まずは休日の夕方に体を動かし、深部体温を上げるようにします。また、深部体温のピークは、今日運動をして高くなると、翌日も、もし運動をしなくても少し高くなる傾向があります。

土日の2日間と、平日のあまり忙しくない日の1~2日間だけでも、夕方に少し歩いたりして体を動かすと、深部体温のピークが上がっていきます。

▼解決策:絶対うたた寝する場所に近寄らない

■【お悩みタイプ5】起きられない

起床時刻のばらつきは、3時間以内に揃えましょう。例えば、普段6時に起きる人は、休日寝だめをするときにも9時には起きるようにします。起床に関係するホルモンのコルチゾールは、起床時刻の3時間前から分泌され始めますが、起きる時刻が3時間以上ずれると、起床の準備が間に合わず、イライラしたりやる気が出なくなったりしてしまいます。

そのうえで、寝る前に起床時刻を3回唱える自己覚醒法を行います。このときに注意したいのは、目覚まし時計のスヌーズ機能(一定時間ごとに鳴りだす再アラーム機能)に頼りすぎないことです。

7時に起きなくてはならないとき、目覚まし時計を6時半にセットし、スヌーズ機能を使って最終的に7時に起きるという人は多いと思います。しかし、スヌーズを使うほど決まった時間に起きられなくなります。

睡眠の後半になると、脳は、起床時刻から逆算して覚醒の準備をしていきますが、スヌーズを使うとゴール設定がずれて目覚めが悪くなるのです。

ですから、スヌーズは保障として使い、脳の起床に向けた準備をさまたげないようにしながら、自己覚醒法を行います。例えば、週末に10時に起きたいときは、目覚まし時計を10時にセットして「10時に起きる」と3回唱えて就寝します。すると、9時50分ごろに目が覚めるようになります。次の週末は、前の週に実際に目覚めた9時50分に目覚ましをかけて、「9時50分に起きる」と唱えてから就寝します。

これを繰り返すと、だんだん起きる時間が早くなり、平日と休日の起床時刻が揃ってきます。

練習の効果が出るものなので、ぜひ続けてやってみてください。

▼解決策:スヌーズは保障程度に。起床時刻を揃える

■【お悩みタイプ6】昼間眠い

昼間に眠くなってしまう場合は、「睡眠のコアタイム」と「総睡眠時間」という2つの視点で睡眠を見直すとよいでしょう。

まず、睡眠のコアタイムとは、就寝時刻と起床時刻を毎日並べてみたときに、必ず寝ている時間帯を指します。例えば、平日は夜11時に寝て朝6時に起き、週末は午前3時に寝て11時に起きる場合、コアタイムは午前3時から6時の3時間だけになります。これが5時間以上になるようにしましょう。

コアタイムが短いと、睡眠のリズムは崩れやすくなり、睡眠と覚醒の差もあいまいになります。一日中眠く、就寝中もぐっすり眠れないという状態になりやすいのです。週末に寝だめをしてもコアタイムは延びないので、あまり効果はありません。

コアタイムが5時間以上取れているのに、それでもまだ眠気がある場合は、総睡眠時間を増やすことを考えます。

総睡眠時間は、累積睡眠量で考えます。1日15分就寝が遅れ、それが1カ月続けば7.5時間になり、1日徹夜したのと同じことになります。

ここで邪魔になるのが、毎日同じ時間に寝ることを「規則正しい生活」だとする考え方です。例えば、「毎日夜は11時に寝る」という人は、寝る準備が10時50分に終わっても、11時までの10分間はテレビを見たりほかのことをしてつぶそうとします。10時50分に寝れば、この10分間は総睡眠時間にあてられるはずなのに、無自覚に睡眠を削ってしまっているのです。

コアタイムをしっかり取り、さらにその前後で5分や10分でもいいので睡眠時間を延ばして総睡眠時間を増やしましょう。

▼解決策:コアタイムは5時間以上。規則正しさにこだわらない

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菅原 洋平(すがわら・ようへい)
作業療法士
ユークロニア代表。国際医療福祉大学卒業。2012年ユークロニアを設立。全国の企業を対象に、「睡眠マネジメント研修」など、生体リズムや脳の仕組みを使った人材開発を精力的に行う。

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(作業療法士 菅原 洋平 構成=大井明子)

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