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"反社系"キャバクラで副業したら本業はクビか

プレジデントオンライン / 2019年10月5日 6時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kokouu

■社員の副業解禁で新たなリスク

吉本興業の所属タレントが詐欺グループの宴会で“闇営業”をしていた問題は、企業経営者や人事担当者にとって他人事ではない。副業解禁の波が押し寄せている今、副業を始めた社員が、会社の知らぬところで反社会的勢力(以下、反社)と関係を持つ可能性は十分にある。吉本興業は当該タレントの処分で揺れたが、一般企業で社員が副業を通して反社と関わったら、どう対応すべきか。弁護士の渡邉宙志氏が言う。

「副業で反社と利益供与の関係が継続的にあれば、社会的な非難は免れず、企業としても懲戒処分にせざるをえないでしょう。根拠は就業規則。反社との関係を禁止する条項があれば理想的ですが、社員として相応しくない行為を懲戒事由とする一般条項でも処分は可能です」

もちろん、処分できるかどうかは程度問題だ。過剰に反応して重い処分を下せば、懲戒権を乱用したとして逆に訴えられるリスクもある。

たとえば、プログラマーが副業で反社からの依頼で違法なサイトを制作したとしたらどうだろうか。最近はネット上でフリーランスに仕事を発注できるサービスが人気で、社員が反社と知らずに引き受ける恐れがある。

■相手の素性や仕事の内容を確認すること

「知らなかった、薄々知っていた、知っていた、の各段階によって責任は違いますが、反社とは知らずに単発で受注していただけなら、処分は難しいです。ただ、たとえば違法なサイトだと知っていたなら処分は可能。反社以前に、犯罪やそれに類する行為を禁止する一般条項にひっかかります。社員としてはネットだけで完結させず、受注前に直接会うなどして相手の素性や仕事の内容を確認することが大切。怪しいと感じたら、引き受けるべきではありません」

反社経営の風俗店や飲食店でバイトするケースも、ポイントは雇い主が反社だと知っているかどうかだが、暴力団と違って半グレなどは、外見では判別できぬこともある。

「半グレの多くは飲食店やクラブ経営などの正業を持っています。それらの事業自体は合法なので、反社だと知らなければ処分は難しいかもしれません。ただ、副業を解禁している企業の多くは、副業を届け出制にしています。キャバクラで働くとは社員も言いづらく、無申請あるいは虚偽の申請をしている可能性は高い。その行為が処分の対象になることはありえます」

企業として重要なのは、事前にトラブルを防ぐこと。副業の申請時に誓約書を提出させたり、コンプライアンス教育を実施するなどの対策が必要だ。渡邉氏は言う。

「反社は巧妙なので、バイトしてから気付くケースも考えられます。このときに処分を振りかざすだけでは、社員は処分を恐れて会社に報告しないかもしれません。適切に対処するためには、社員が報告しやすい雰囲気が大事。『トラブルがあればみなさんを助ける』というメッセージを送るなどして、社員と信頼関係を築くことが大切です」

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村上 敬(むらかみ・けい)
ジャーナリスト
ビジネス誌を中心に、経営論、自己啓発、法律問題など、幅広い分野で取材・執筆活動を展開。スタートアップから日本を代表する大企業まで、経営者インタビューは年間50本を超える。

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(ジャーナリスト 村上 敬 コメンテーター=プロアクト法律事務所 弁護士 渡邉宙志 図版作成=大橋昭一)

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