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子なし高齢者が選びたい「人生最期の付添人」

プレジデントオンライン / 2019年10月13日 6時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/KatarzynaBialasiewicz

2025年には700万人に達するといわれる認知症患者。家族はどんな準備をしておけばいいのか。今回、7つのテーマに分けて専門家に聞いた。第7回は「成年後見制度」について――。(全7回)
▼成年後見制度
トラブル続出、どこに注意して制度を利用するべきか

■本人に代わって資産を管理

認知症になると銀行の窓口で手続きができなくなったり、キャッシュカードの暗証番号を忘れてお金が下ろせなくなったりします。家族が本人の代わりに行うしかありませんが、近年、金融機関では本人以外が個人の資産を扱うことを認めず、「やるなら成年後見人になってください」と言われます。

成年後見人は法定代理人として、本人に代わって資産の管理を行うことが認められています。家庭裁判所に申し立てを行って任命してもらいますが、誰を成年後見人とするかは家庭裁判所が決めることで、現状では家族ではなく弁護士・司法書士・社会福祉士などの専門職から第三者後見人が任命されることが多いです。これは親族後見人による財産侵害の不正が多発したためですが、今度は見知らぬ第三者が入ってくることで、家族との間でトラブルが起きるようになっています。ひとつには次のような事情があるからです。

■本人の財産は原則、本人のためにしか使えません

後見人には「身上配慮義務」があり、本人の財産は原則、本人のためにしか使えません。投資や税金対策も禁止で、夫が妻に生活費を渡す場合も、後見人が事情を家庭裁判所に相談しながら適切な額を決めることになります。

家族はこうしたことを理解したうえで、後見人としっかりコミュニケーションをとり、役割分担して、身元保証人や手術への同意など、家族としてなすべき義務を果たしていかねばなりません。

Getty Images=写真

後見制度には、本人が認知症になってしまってから申し立てる「法定後見制度」のほか「任意後見制度」があります。任意後見はまだ認知症にならないうちに、「私が認知症になったときには、この人に後見をお願いする」と決めておく制度です。公証役場に本人と後見人候補になる相手とともに赴き、公正証書で契約を交わします。

任意後見には、家庭裁判所が決めた見知らぬ相手ではなく、家族でも専門家でも、本人が信頼する人に後見人になってもらえる利点があります。契約は本人の認知能力に問題がないうちに行う必要があるので、認知症になる前に結んでおくことが必要です。また契約を行う際は、後々のトラブル防止のため、依頼相手以外の親族に対して、きちんと事情を説明しておくことが重要です。任意後見を頼まれた側も、後見人にどのような法的義務が生ずるのか、きちんと理解したうえで契約することが求められます。

認知症になってしまうと、自分で後見人を選ぶことはできません。そうならないためには任意後見制度を利用し、元気なうちに自分で後見人を決めておくことです。

とりわけお子さんのおられない方には、元気なうちに高齢期の生活を任せられる専門家との間で、任意後見の契約を交わしておくことをお勧めします。報酬は月額3万円から数万円程度が一般的です。

私が任意後見を受任するのも、本人に何かあった場合に生活の面倒を見てくれる人がいないケースがほとんどで、介護や入院の手配、医療関係者との打ち合わせ、看取りの立ち会いなど、家族がいなくても本人が望む生活が実現できるようにしており、「人生最期の付添人」と言っています。

▼元気なうちに任意後見の契約を

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鈴木 雅人(すずき・まさと)
行政書士・社会福祉士/「人生最期の付添人」
みそら行政書士・社会福祉士事務所代表。後見人として10年以上活動し、相談件数は7000件超。著書『認知症700万人時代の失敗しない「成年後見」の使い方』など。

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(行政書士・社会福祉士/「人生最期の付添人」 鈴木 雅人 構成=久保田正志)

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