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いとも簡単に聴衆を感動させられる「8つの型」

プレジデントオンライン / 2019年9月25日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Nattakorn Maneerat

話がおもしろい人とつまらない人は何が違うのか。カリスマ予備校講師の犬塚壮志氏は「8つある『型』にはめられれば、聞き手の心をつかむのは簡単。そのためには、事前に聞き手の『欲求』を知る必要がある」という——。

※本稿は、犬塚壮志『感動する説明「すぐできる」型』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

■「話のおもしろさ」は相手が決める

この大原則は、話が「つまらなくなる」パターンを回避し、話を「おもしろくする」ための前提となるものです。まずは大原則からしっかりお伝えしていこうと思います。それは、

大原則:話の内容が「おもしろい」かどうかは、相手が決めるものと心得る

というものです。

これはどういうことかというと、話のおもしろさの判定そのものは、聴き手に委ねられるということです。話し手である自分自身がどんなに「価値あるおもしろい説明ができた」と思っても、聴き手がそれを「つまらない」と思ってしまえば、それまでなのです。その話がおもしろいかどうかの最終決定者は、聴き手であるということが大前提となります。

「そんなの当たり前じゃないか!」、そう思うかもしれませんが、この点は意外に見落としてしまいがちです。当たり前すぎて、みんな手薄になっているこの点をしっかり心得ておくだけで、他人と説明力で差をつけることができるのです。

■事前に「聴き手」の頭の中を知り尽くす

それでは、この大原則を守るために、具体的にどんなアクションを起こせばいいのか。話がつまらないと思われることを回避するために、絶対に欠かせないのが、聴き手のプロファイリングです。

ここでいうプロファイリングとは、聴き手に関する情報を事前に集め、分析・把握することです。話のおもしろさを決めるのが聴き手であるならば、その聴き手を知ることから始めなければなりません。事前にできるだけ聴き手のことをリサーチして、情報を集めておくのです。

このプロファイリングですべきことは、じつは一つだけです。

それは、話しはじめる前の段階で、説明する内容がいま聴き手のなかでどんな位置づけになっているのかを確認し、説明することで、聴き手をどこまで導けばいいのかを設定することです。これが「つまらない」を回避し、話をおもしろくするためのプロファイリングにおける最大の目標です。

つまり、聴き手の頭の中を把握するためには、次の2つの視点でプロファイリングを行っていくことになります。

視点1:聴き手の現在地
視点2:聴き手の到達点

もちろん、この段階では、推測の域を出なくてもかまいません。大切なことは、できるだけ聴き手の頭の中の状態を知ろうとすることなのです。まず、視点1「聴き手の現在地」から説明していきます。

■ヒアリングか事前アンケートができればベスト

プロファイリングをしていくうえで最初に知るべきことは、話そうとしている内容が現在、聴き手のなかでどんな状態にあるかということです。これから自分が説明しようとしているネタ(素材)について、聴き手はどれくらいの情報量をもっているのか。あるいは、どれくらい理解しているのか。興味関心はどの程度あるのか。そういったことを探ります。

具体的な方法としては、聴き手に直接ヒアリングできたり、事前アンケートやテストなどを行うことができたらベストです。私も企業研修で登壇させていただくことがあるのですが、そのときは可能なかぎり、企業の人事担当や受講生の方々にヒアリングや事前アンケートを実施します。そのうえで、研修で話す内容をアレンジするのです。

なお、予備校の授業では、事前アンケートなどはほとんどできません。そのため、授業前に生徒からヒアリングするか、あるいは講義の冒頭にテストを実施します。通常、テストといえば、一定のカリキュラムが終わってから理解度を確認するために行うことが一般的ですが、私の場合は、生徒の理解度にバラツキがありそうな単元やテーマを説明するときに、あえてテストを先行させます(このようなテストを「診断的評価」といいます)。

■研修先企業の「社員のツイッター」までチェックした

こういったテストやヒアリングを通して、説明を始める前の段階で聴き手の理解度などをできるだけつかんでおくのです。

もちろん、説明の前に聴き手と接点をもつことができず、参加者の情報がほとんど手に入らない場合もあります。

以前、知人の紹介でベンチャー企業の営業職向けに研修を行ったときの話です。そのときの研修テーマは「説明のスキルアップ」でした。

小規模なベンチャー企業なのですが、その会社には人事部門がなく、かつ社員のみなさんが超多忙で、営業の方々は外回りをしていることがほとんどでした。

そのため、研修前に事前アンケートを実施することができませんでした。そこで私が行ったのが、ホームページ検索です。ここを隅から隅まで眺めます。さらに、会社の広報活動の一環として、社員のみなさんもツイッターとインスタグラムをやっていることがわかったので、そのつぶやきや投稿内容を見て、説明スキルのレベルや課題などをチェックしました。

推測の域を出なくもかまいません。研修内容に直接、関係なさそうに思えるツイッターやインスタグラムなどのSNSを事前に見ておき、いろいろな情報を入手して、推測の精度をできるだけ上げるのです。

■聴き手に「どう変わってほしい」のか

視点2は、「説明することで聴き手にどうなってもらいたいか」という聴き手の到達点を決めることです。このステップでは、聴き手に自分の話を聴かせた結果、ネタを聴き手のどこまで到達させればいいのかというゴールを考えるのです。

ここで大切なことは、自分が「何を話したいか?」ではなく、聴き手に「どう変わってほしいか?」を、まず明確にするということです。そこから逆算することで、「どう話すべきか?」が浮き彫りになってきます。

まず、具体的に探るべきこととしては、「聴き手の欲求」です。たとえば、予備校の聴き手である生徒のもつ欲求は、もっぱら「自分もマスターしたい!」です。予備校の授業は、聴き手である生徒が最終的に学習内容をマスターできることで、初めて満足度が高まります。もちろん、聴き手の欲求が、「まずは興味・関心をもてるようになれればOK」という場合もあります。

なお、聴き手の欲求が聴き手にとっての最大のメリットなのか——という点は、話し手が冷静に見極めなければならないポイントです。「聴き手の欲求」と「聴き手のメリットが最大化すること」が合致していないことを見極めて説明ができる人こそが、本当に優れた話し手だと思うのです。

■相手の心を動かす「説明の型」

犬塚壮志『感動する説明「すぐできる」型』(PHP研究所)

じつは、聴き手の心を動かす説明スキルというのは、伝えるべき内容を「型」に流し込む作業だけですので、伝えたいことを省エネで相手にしっかり届けることができます。まさに、ところてんをつくるときと同じですね。

「説明する内容」を「型」に流し込んで押し出せば、「おもしろい!」と思ってもらえるのです。

つまり、「型」にはめるだけで、いとも簡単に聴き手の心を動かす説明ができるようになるのです。その型というのは、以下の8つです。

型の1「メリット訴求」
型の2「対比」
型の3「因果」
型の4「カットダウン」
型の5「破壊」
型の6「ニュース」
型の7「希少性」
型の8「欠如アピール」

詳しくは拙著『感動する説明「すぐできる」型』をお読みいただきたいのですが、一見つまらないと思えるようなネタですら、おもしろみを感じてもらえる説明ができるようになるのが、この「8つの型」の特徴です。本記事でお話しした大原則を守ることで、この8つの型が驚くほど身につきやすくなるのです。

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犬塚 壮志(いぬつか・まさし)
教育コンテンツ・プロデューサー
福岡県久留米市生まれ。元駿台予備学校化学科講師。株式会社士教育代表取締役。大学在学中から受験指導に従事し、駿台予備学校の採用試験に25才で合格(当時、最年少)。2017年に社会人向けビジネスセミナーの開発や講座デザイン、テキスト作成などを請け負う事業を興す。企業向け研修講師としても登壇。現在は東京大学大学院で「学習」をテーマとした研究も行う。主な著書に、『頭のいい説明は型で決まる』(PHP研究所)、『偏差値24でも、中高年でも、お金がなくても、今から医者になる法』(KADOKAWA)などがある。

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(教育コンテンツ・プロデューサー 犬塚 壮志)

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