認知症の疑いは「今日の日付」を聞けば解消する

プレジデントオンライン / 2019年10月1日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Cecilie_Arcurs

ある日突然、親が認知症になったとしたら、どうすればいいか。信愛クリニックの井出広幸氏が、認知症の「あるある」症状に回答する――。

■▼家族が誰かわからず、「どちらさま?」と聞く

残念ながら「認知できるようにする」のは、難しいことです。その事実を受け入れるしかないでしょう。

ただし、普段から本人に接している配偶者や息子さん、娘さんのことが誰かわからなくなったら要注意。かなり認知機能が低下していることが窺えるため、介護に対してもさまざまなトラブルが予測されます。家族の負担も大きくなるため、施設やグループホームへの入居を検討してもいいでしょう。

認知症患者に対して大切なのは「認知機能を取り戻す」ことではなく、ご本人に「平和かつ穏やかに暮らしてもらう」ことなのです。

■▼散歩中に「ここはどこ?」といい、場所や時間がわからなくなる

そもそも「それがわかっていたら認知症ではない」といえます(笑)。

これらの症状は“見当識障害”という認知症の中核となる症状ですので、かなり早い段階で出現します。

逆に「今日は何月何日?」などと聞いて日付を即答できる方は、認知症の可能性はかなり低いでしょう。そのため、あまり気にしなくてよいのではないかと思います。

■▼「デイサービスには行きたくない!」と駄々をこねる

本人のリアクションよりも、1度その現場をこっそり見学に行くか、後で職員の方にヒアリングをするなどして「現場で本人がどうしているか」を重視して判断しましょう。

本人が乗り気ではなくても、意外とデイサービスの現場では楽しそうな顔を見せていることがあります。もちろん現場で泣いて拒絶するようであれば、次から行かせなければいいだけのことです。ご本人がデイサービスへ行くことは、家族が自分の時間を得ることに繋がります。それは家族が本人に優しく接するにあたり、非常に重要なことですので、本人のためともいえます。

男性の方には「会社も行きたくないでしょう。デイサービスも、行きたくなくても行くものですよ。お勤めみたいなものです」というと、意外とすんなり聞き入れてくれるパターンもあります(笑)。

■▼テレビの録画やエアコンの操作ができない

テレビの録画ができない程度であれば大丈夫ですが、エアコンやストーブ、コンロなどの扱いに問題が出た場合は十分に気をつけるべきでしょう。

例えば、猛暑日に暖房を入れてしまい、電源を切ることができなかったとしたら、それは命に直結します。無理に覚えさせようとするのではなく、本人ができないことを受け入れ、できない前提で介護者の方がカバーしてあげてください。

例えば、夏は暖房器具を手の届かないところにしまったり、コンロをIHに替えたりなどという方法です。食事は宅配をお願いするのも効果的でしょう。

■▼「ものが盗られた!」と、家族を疑う

妄想だとわかっていても人間関係に影響する、非常にデリケートな問題です。

ここで「誰も盗ってないよ!」と、正面から否定するのは絶対にNGです。「そっか、じゃあ一緒に探そうね」といって相手に合わせるのもひとつの手ですが、この症状が出る場合、本人が生活に対して不安や苛立ち、ストレスなどを覚えていることがあります。

その“心のモヤモヤ”が症状として表れているのかもしれません。本人の抱えている心のモヤモヤを取り除いてあげると、この症状は出なくなるケースもあります。

このケースは薬で劇的に改善することもあるので、手に負えない場合は医師に相談するのも1つの手です。

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井出 広幸 信愛クリニック 院長
心と体を同時に診る医療を追求し25年。認知症治療で「平和で穏やかな生活」をめざすクリニックには月4000名以上が訪れ、そのうち65歳以上の高齢者は月に800名を超える。

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(信愛クリニック 院長 井出 広幸 構成=山野祐介)

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