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40歳からの転職面接、絶対落とされる一言とは

プレジデントオンライン / 2019年9月11日 11時15分

好景気、売り手市場、女性活用など、何かと明るい話題が多い転職マーケットですが、それは40歳以上にも同じことが言えるのでしょうか。そこで、各業界の中途採用に精通するヘッドハンターの方々に、年収800万円以上を目指す40歳以上の転職事情について聞きました。第1回目のテーマは「求められる人物像」です。
【へッドハンター】
左:<流通小売サービス>原田 周作(エグゼクティブ・ボード)
中央:<金融>下田 由紀(エンワールド・ジャパン)
右:<メーカー>畑 圭一郎(経営者JP​)

■40代以上の転職者に「変革」を期待する企業は多い

——「転職をしたい」と考える40歳以上の人に、企業はどんなことを期待していますか?

【原田さん】40代以上となると、管理職としての経験があることが一つの前提にはなってきます。そのうえで、再現性を感じられる人が採用されやすいのかなと思います。再現性というのは、たとえ異業種への転職であっても前職での経験が活かせる、新しい環境でもこれまでに培ってきたスキルを応用できるかということ。成功だけでなく失敗した経験も踏まえて、早いスピードで着実に結果が出せるという説明が、面接できちんとできることが望ましいですね。企業側は、その辺りをよく見ているように感じます。

<メーカー>畑 圭一郎(経営者JP​)

【畑さん】そうですね。自分が思い描いたことを形にしてきた経験を持っている人は重宝されます。特に経営層は、会社を変革できるような人材を求めています。要はリーダーシップで、物事を推し進められる人の評価が高い。30代前半くらいまでであれば上から言われたことを着実にこなし、気付いたことを意見するだけで良かったかもしれませんが、40代になるとそれだけでは通用しません。自分は「こうしたいんだ!」という強いwillを持って、実際に物事を変えて、形にしていくことが求められます。実際、内部だけでは変えられなかったことを、外部から入ってくる人に変えてほしいと考えているクライアントは多いんです。

【下田さん】私はクライアントから「コミュニケーション能力に長けている人がいい」と言われます。「コミュニケーション能力」って転職活動でよく言われるキーワードだと思うのですが、40代以上の方に求めるコミュニケーション能力というのは、ただ単に話しがうまいとか、会話がスムーズにできるとかではないんですよね。企業側は転職者の方に組織をまとめる力や社員の意識改革を期待しています。だから、自分で壁を作らずにいろいろな部門の人と交流して意思疎通を図れるかということや、仕事の幅を広げたり、周囲の人との関係性を構築したりすることも大事な仕事だという自覚を持っているかなどを、面接で見ていると思います。

■「転職して学びたい」という姿勢はアウト

——実際に企業から高く評価されているのは、どのような人ですか?

<金融>下田 由紀(エンワールド・ジャパン)

【下田さん】部門横断型、組織横断型の行動ができる人でしょうか。軽いフットワークで部門を越えて動ける人がいると職場の雰囲気が良くなるんです。特にチームのトップに立つような人には柔軟な姿勢が求められるので、そういう人を推薦すると「彼女が来てくれて本当によかった」とクライアントから喜ばれます。

【畑さん】自責の意識で自ら周りを巻き込んで、理想とする環境を作り上げることのできる人はおおむね高い評価を得ています。あとは、覚悟を持って転職できる人。前職にいくら実績があっても過去は過去なんです。サクッと切り替えて過去にとらわれずに、新しい会社や環境に溶け込める人は、たとえ最初は失敗をしても結果に結びつけるのが早いです。

【原田さん】自分の担当とは別の仕事を任されることになった時に「それは私の仕事ではありません」と突っぱねるのではなく、「それ面白そうですね!」「やらせてください!」などと面白がって挑戦できる人は、入社後の評価も高いですね。

<流通小売サービス>原田 周作(エグゼクティブ・ボード)

さらに、デジタルトランスフォーメーションの推進や、そのための環境整備と企業内改革などに携わったことのある人はバリューがあって、どの業界からも引く手あまただと思います。デジタルトランスフォーメーションとはAI(人工知能)やloT(モノのインターネット)などのデジタル技術を用いて、製品やサービス、ビジネスモデルを変えるだけでなく、組織、プロセス、企業文化・風土までをも変革することを意味するのですが、これからは、どんな産業もデジタル化していくことは確実なので、そういった知見があれば、強みになるはずです。ただでさえデジテルに詳しい若い世代が増えてきていますから、全く知らないとか、興味がないという人は今後、厳しくなっていくでしょう。

——逆に「転職は難しいかも……」と感じるのは?

【下田さん】他責にする人は難しいと思います。転職理由を聞いてみるとよくわかるんですが、たとえば転職をしてから、実際に任された仕事が入社前に聞いていた内容と違ったからまた転職したいという場合、「周りがこうだったから」「会社がああだったから」と他人のせいにしてしまいます。他責にするような40代では、どんな環境に入っても、まわりに感謝できず、転職に成功したと感じることができないのではないでしょうか。

それから、金融業界に多いのが、希望するキャリアをお聞きしても「何がしたいかわからない」と回答される方。転職市場が盛り上がっていると聞いて、「自分にも何かチャンスがあるのではないか」というスタンスで、われわれのようなエージェントを頼ってくる方が以前より増えました。もちろん相談に乗りますが、やはり「自分はこうしたい!」という前向きな意思があったり、自分で問題意識を持って、目線を広げたいという強い気持ちが重要ではないでしょうか。

【原田さん】漠然と「転職したいな」「今、転職活動したらどうなんだろう?」と考えている場合には、主体的にキャリアを考えることが大事。「なんとなく今の状況を変えたい」という気持ちでは、転職はうまくいきません。

【畑さん】受け身の姿勢はダメですね。40歳以上の転職では、価値を提供できるかできないか、その会社の経営課題を解決できるかできないかがポイントになるので、「転職して学びたい」というような言葉が出てしまうと、その時点でアウトです。

【原田さん】それと、自分の要望だけを常に言ってくるような人も難しいですね。たとえば周りの人が「こうしたらどうですか?」などと提案をしたとしても聞く耳を持たない人とは、どんなに仕事ができたとしても、受け入れられにくい傾向にあります。でも、そういう自我の強い人は、外資系企業だとびっくりするくらい成功することがありますよ。

【畑さん】おっしゃる通りだと思います。日系企業は組織の作り方が関係構築型なのですが、一方の外資系企業は問題解決型。だから、外資系企業では仕事をどんどん前に進めていける人であれば、多少、関係構築性が弱くても上に上がっていけるんです。対して日系企業では、そのようなタイプの人は敬遠されがちですね。

■方向性と関係性のズレが次のステージに進むきっかけに

——40歳以上の方は、どういう理由で転職を希望されることが多いのでしょう?

出典元:エグゼクティブに関するトレンドや実態を調査・研究する機関 経営者JP総研「エグゼクティブの転職に関する意識調査」/エグゼクティブの転職する理由、転職しない理由とは?

【原田さん】今いる会社の成長性が見込めないからというのはよくある話ですね。あと、男性中心の風土で見えないガラスの天井のようなものがあるから、もっと自由にチャレンジできる環境に身を置きたいという理由も多いです。

【畑さん】経営・事業の方向性と経営陣との関係性のズレもあると思います。これは経営に近いセクションで働いている人に多いのですが、会社の意思決定した方向性と自身の考える方向性の間にズレが生じてくる。そのプロセスの中で、人間関係もこじれていくのかなと。この二つが合わさったときが、次のステージに行こうと決断するタイミングのようですね。

【下田さん】女性は男性に比べ、仕事が好き、面白いと感じて自分の視野や経験を広げるために転職を希望する方が多く、役職にはあまり興味がない傾向があります。職位を上げたいという理由で転職するケースは意外と少ないんですよね。

「年収800万円以上を目指す! 40歳以上の転職で求められる人物像」
●前提となるもの
・管理職経験
●面接で企業が見ている点
・思い描いたことを何かしら形にしてきた経験があるか?
→社内変革を任せられそうか
・コミュニケーション能力に長けているか?
→組織をまとめたり、社員の意識改革をしたりが期待できるか
●転職後に企業から評価されている人物像
・軽いフットワークで部門を越えて動ける人
・自責の念で周りを巻き込み、理想とする環境を作り上げる人
・過去の実績にとらわれず、新しい会社や環境に溶け込む覚悟を持って転職できる人
・担当外の仕事も面白がり挑戦できる人
●業界問わず引く手あまたな人
・デジタルトランスフォーメーションの推進や、そのための環境整備と企業内改革に携わった経験のある人
原田 周作(はらだ・しゅうさく)
大手金融サービス会社の営業本部にて法人営業、商品企画業務を6年経験。2005年より日系エグゼクティブサーチ会社に入社。2010年に執行役員、2011年から取締役就任。2013年より株式会社エグゼクティブ・ボードに参画。担当業界は、流通小売業、製造業(自動車、機械、化学など)が中心。企業の経営層との深いリレーションにより、経営幹部、管理職層の紹介実績多数。BizReach主催の「ヘッドハンター・オブ・ザ・イヤーMVP」(流通小売サービス部門)を2018年に受賞。
畑 圭一郎(はた・けいいちろう)
新卒で三越へ入社。その後、2008年に人材・組織開発のコンサルティング会社に転職。大型案件や難易度の高い案件の獲得で常時トップのコンサルティング実績を誇る。2013年経営者JPに入社。コンサルティング事業本部長として、コンサルタントチームの運営・教育に従事する傍ら、製造業・サービス業を中心に3500名以上のエグゼクティブパーソンとのキャリアコンサルティングを行う。数多くのエグゼクティブと対面してきた実体験を通して、組織の中で活躍できるビジネスパーソンには【サクセス3ポイント】があることを学びとる。
下田 由紀(しもだ・ゆき)
大学卒業後、大手金融会社で経理としてキャリアをスタート。自分の適性と志向性から営業に出たいという思いで、ミドル・フロントの経験を積み、2012年から人材業界にキャリアチェンジ。2012年中国において人材紹介会社大手のインテリジェンス中国に転職。蘇州支店マネージャーとして中国人ローカルスタッフマネジメント、中国江蘇省の日系企業向けに人材紹介(現地スタッフ、日本人)および日系企業の労務・研修サービスを提供。2014年日本帰国後、エンワールド・ジャパン株式会社に転職し、金融業界および金融専門職種等の専任コンサルタントとして従事。BizReach主催「ヘッドハンター大賞 金融部門MVP」2017年・18年と2年連続受賞。

(福田 彩 文=福田 彩 写真=iStock.com)

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