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今、働く人に足りないのは「全裸監督」の熱量だ

プレジデントオンライン / 2019年10月27日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/AH86

Q. もっと自分の仕事に熱中したい

■悩むことが馬鹿らしくなる

どんな仕事であっても、熱中できないとき、というのは必ず訪れます。私の場合は、仕事がたくさん入るようになったときに猛烈な疲弊感を覚えました。同じことを繰り返していると「これって意味がある?」と白けてしまいます。

私はそういうとき、たとえ同じ仕事であっても「前回はああしたけど今回はこうしよう」と、自分が楽しむための工夫を凝らしたり、毎回異なるテーマを設定して挑んだりするようにしています。根気強く仕事を続けるには、どんな状況でも「面白がる」力が必要ではないでしょうか。

それから、落ち込んだときには「下を見る」ということも、案外大切ではないかと感じています。伝説のAV監督・村西とおるの伝記『全裸監督』の過去の版には「人生、死んでしまいたいときには下を見ろ! おれがいる。」という帯がつけられていました。それに衝撃を受けたのが手に取ったきっかけです。

村西とおるは、言ってしまえばすがすがしいほどの「クズ」です。いい人か、悪い人かで言えば、確実に悪い人でしょう。本書は以下のような文章から始まります。

“「前科七犯、借金五〇億円」がこの男の枕詞になって久しい”

■AVがセックスの教科書化している

私は、AVが日本を駄目にしている部分が多分にあると思っています。性教育が盛んではない日本で、AVがセックスの教科書化している現状は変えなければなりません。

本橋信宏 著●AVの帝王と呼ばれた裸の男の、壮絶な半生(ノンフィクション)。ネットフリックスで映画化された。(太田出版)

しかし同時に、彼はAVという「産業」を生み出し、ひとつの時代を築きました。AVがなければ表舞台に出てくることのなかった、紗倉まなさんといった女性たちが活躍しているのも事実です。彼の功罪は非常に大きなものだと言えるでしょう。

悪いけれど嫌いになれない、どんなに悪いことをしても信者が消えない、という人は存在します。周囲を巻き込むわけのわからないエネルギーを持っている人、とも言えるでしょう。今の時代に足りないのは、こういうエネルギーではないでしょうか。

『全裸監督』を読んでいると、計算不能の妙なエネルギーを感じます。やっていることは無茶苦茶と言うほかありませんが、不思議な魅力を感じてしまうのは、彼が真剣にやっているからかもしれません。

■経営理論と、経営持論は、似ているようで実は違う

村西とおると言えば、「ナイスですね」「ゴージャスですね」といった英単語交じりの独特な口調が特徴で、一時は若者たちがこぞって真似をしていました。また、女優の出演交渉の際にも役立った、「ノーと言わせない」応酬話法も印象的です。

経営理論と、経営持論は、似ているようで実は違います。多くの経営者が語ることは、理論ではなくその人の持論でしょう。村西とおるのやっていることは、それに通ずる部分があるのかもしれません。

よく考えればわけがわからないことでも、エネルギーがあれば他人を動かすことができてしまうのです。

読んでいると、自分が仕事で悩んでいることが馬鹿らしくなってきますよ。大儲けして調子に乗るたび、逮捕されたり、巨額の借金を負ったりと、必ず崩れるところも、教訓になるかもしれません。

▼死にたいときには下を見ろ!

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常見 陽平(つねみ・ようへい)
千葉商科大学国際教養学部専任講師、働き方評論家
1974年札幌市出身。一橋大学商学部卒業、同大学院社会学研究科修士課程修了。リクルート、バンダイ、クオリティ・オブ・ライフ、フリーランス活動を経て2015年4月より現職。著書に『僕たちはガンダムのジムである』『「就活」と日本社会』『なぜ、残業はなくならないのか』『社畜上等! 会社で楽しく生きるには』ほか。『現代用語の基礎知識』「働き方事情」の項目を執筆中。1児の父。

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(千葉商科大学国際教養学部専任講師、働き方評論家 常見 陽平 構成=梁 観児)

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