働く母こそ小学校受験すべきこれだけの理由

プレジデントオンライン / 2019年10月11日 11時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/paylessimages)

「共働きで昼も夜も忙しい。小学校受験なんてわが家には無理!」そんなふうに考えているワーママは、少なくないでしょう。しかし、“お受験ママは専業主婦が当たり前”の時代は終わりました。近年、小学校受験を実施している名門小学校でも、共働き家庭の理解が広がりつつあります。お教室もいまやワーママ対応。共働き家庭の子供が多く通うので、土日の授業も増え、働いているママ向けの受験セミナーも開催されています。

■中学受験か、小学校受験か

「働きながらの中学受験があまりにも大変だったので、次女は小学校受験を決めました」

そう語るのは、現在中学3年と小学2年の女の子を持つ、ワーママで都内在住の山下ゆり子さん(仮名)。中学受験ともなると、子供に自我が芽生えて、通信手段・移動手段・交流関係まで親は目が行き届かなくなるのだそう。また、中学受験にも子供の向き・不向きがあり、自ら中学受験を望む子ではない場合、小学校受験以上に親も大変だと語る。

「きっかけは中学受験を回避するための小学校受験でしたが、結果多くのことを学ばせてもらいましたし、私立小学校のメリットを多く感じています。地方出身の私や夫は、小学校受験・中学受験を経験していないので、子供の幼少期はのびのびと遊ばせたいと思っていました。子育てをしていくうえで、受験は選択肢にすら入っていませんでした。でも、私たちの時代と今は大きく変わってきています。住んでいる地域の教育環境などを調べて、わが子に合った教育環境を与えたいと思ったのです」

■公立小と私立小はどこが違うか

長女は公立小、次女は名門私立小に通わせた経験を持つ山下さんに、公立と私立の違いについて伺った。

「やはり私立小の教育指導は公立小に比べると“手厚い”と思います。勉強面から生活指導まで、しっかりと細かく見てくれます。また、学校側の教育方針に賛同して入学したため、何か問題に直面したときでも、先生の指導法に疑問を持つことがありません。一方で公立小は、そのときの担任によって教育指導がバラバラだったりするので、疑問を持つことが多々ありました。公立小に通わせたことのメリットとして考えられるのは、“時間”と“お金”ですね。通学時間が短くて済むことと、授業料や教科書代がかからないので家計への負担が少ないこと。そして何より、近所に住むさまざまな友達ができたことです。親の職業も千差万別で、親の所得もまちまち。いわゆる“社会勉強”になったと思います」

私立小は、それぞれの校風や教育方針というものが、校長が変わってもそう簡単にはゆるがない。

一方で自治体や学校、校長や教頭の教育方針、資質、能力次第で、ありとあらゆるタイプの学校になってしまうのが現在の公立であり、裏を返せば私立以上に優れた教育が行われている公立小学校も、全国的にみれば多い。しかしその一方で、授業すら成立していない公立小も多く存在している。つまり公立小というのは、地域によってカラーが異なり、ある意味で“運次第”と言えるのかもしれない。

公立小・私立小、どちらが「正解」というわけではなく、家庭の教育方針やわが子の性格や家庭環境、住んでいる地域の状況などを夫婦で考えたうえで、小学校受験をするかしないかを“選択する”ことが大切なのではないだろうか。

■学童を設置する私立小が増加

「私立小は、親への指導も厳しいという印象がありましたが、むしろ働くママを応援してくれている印象があります。子供ができないことに対して、親のせいにするわけではなく、学校側でできることをフォローしてくれ、一緒に解決策を導き出してくれるのです。成績が良くない子に対して積極的に補習授業を行うことや、子供のメンタルケアをきめ細かくしてくれるなど、親に寄り添って考えてくれます。その辺も、公立小より手厚いですね」

近年、私立小では、共働き世帯の増加につれて学童保育を設置する学校が増えてきた。

東京都港区の聖心女子学院にも「ジョアニークラブ」と呼ばれる学童保育が創設された。仕事を持つ母親のイメージがない学校なので、「あの聖心にも?」と思う方も少なくないだろう。しかし、その流れはごく自然なもの、と大山江理子校長は語る。

「本校の教育理念は“社会に貢献できる女性を育てる”です。社会の中で女性が求められる役割もどんどん変化していますが、今の時代は仕事を持つというのも1つの生き方です。本校の保護者や卒業生の多くが仕事を持ちながら子育てをしていることを考えると、やはり子供たちには本当に安心して過ごせる学童保育が必要ではないかと考えました」(プレジデントムック『日本一わかりやすい小学校受験大百科』2019完全保存版より)

学習支援だけでなく、季節の行事を取り入れたイベントなどの経験もさせてくれるアフタースクールは、ワーママの強い味方である。

■PTAも強制されない

私立小の働くママを受け入れる体制は、学童保育の他にも一体どんなことが挙げられるのだろうか。

「細かいところでいうと、学校に購買部があり、そこで文房具などを子供自身が買えることはありがたいですね。あと、学校からのお知らせが、公立小は“紙”なのに対し、私立小は“メール”なので助かっています。また、私立小は親同士の付き合いが面倒なイメージがありましたが、学校側が親の集まりを推奨していないため、決してそんなことはありませんし、働く親の負担を考えてPTAの参加も強制ではありません。横断歩道の旗持ちなど、公立小のほうがお手伝いで学校へいく頻度は高かったと思います」と山下さんは語る。

■共働きが入試で不利になることはないが……

共働き世帯が65%(内閣府「男女共同参画白書 平成30年度版」より算出)にも及ぶ中、共働きで小学校受験に挑む家庭は珍しくなくなってきた。一般的に私立は授業料が高いといわれているが、中学受験にかかる費用を考えると一概にそうとは言い切ることはできない(高校・大学も国公立と考える場合は異なるが)。

中学・高校・大学受験とは違い、「家族力」が問われる小学校受験。親が家庭にいて、しつけをしたり、勉強を見ることができる専業主婦家庭が断然有利だと思われがちであったが、共働きだからといって入試で不利になることはない。

唯一「不利」なことは「時間のなさ」であるが、子供と関わる時間は、“量”より“質”で勝負。少ない時間でいかに子供と密度の濃い関わりをすることが大事なのではないだろうか。効率的な時間の使い方や、ゴールに向かって逆算して取り組むこと、弱点克服のための戦略など、仕事で培ったスキルを活かして、働くママが小学校受験に挑戦してみることは、1つの選択肢に入る時代になった。

ただそうは言っても、いざ小学校受験の塾へ行くと、仕事のペースを落とすように言われたり、願書にはフルタイムで働いていることを大っぴらに書くことを遠慮するように指導されるのだ。まだまだ働くママが小学校受験をすることは、ハードルが高いのが現実である。次回は、共働き家庭の小学校受験対策や具体的な方法論を経験者に迫る。

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二宮 未央(にのみや・みお)
ライター
幼児期をニューヨークで過ごし、帰国後に小学校受験を経て私立聖心女子学院初等科へ入学。私立聖心女子専門学校保育科を卒業。幼稚園教諭を経て、2007年に結婚。出産・育児に入る。主婦として家事全般や2人(長男、長女)の子育てにいそしみつつ、保育士としても活動。保育園新規開園の立ち上げも経験する。16年からエアー・シンフォニーに所属。17年、「宣伝会議」の編集・ライターコースの卒業制作で最優秀作品賞を受賞。著書に『小学校受験バイブル』(あさ出版)がある。

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(ライター 二宮 未央 写真=iStock.com)

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