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ラブホテルで「角部屋」を避けるべき意外な事情

プレジデントオンライン / 2019年10月18日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/hobo_018

ラブホテルでは「角部屋」を避けたほうがいい。なぜなら「盗聴」のリスクが高いからだ。日本における盗聴器発見の第一人者、東和通信社代表の藤井正之氏は、「特に高層階の角部屋は電波が広く届く。盗聴犯を訴えることは難しく、注意するしかない」と指摘する――。

■盗聴器を発見するのは非常に難しい

そもそも盗聴器とは、どのような機械なのだろうか。

「盗聴器は、集音マイクによって周囲の音を拾い、その拾った音を電波にして飛ばすものです。盗聴器の大きさはマッチ箱程度の小さなものから、大掛かりなものまでありますが、あまり大きくないものが主流ですね」(藤井氏、以下すべて同じ)

相手のプライバシーに無断で踏み込む、といった点では、盗撮と盗聴には近い部分がありそうだが、仕掛ける側にとって、盗撮に比べて盗聴のほうが優れている点はあるのだろうか。

「盗聴器のメリットとしては、『仕掛けている相手に察知されづらい』という点がまず挙げられます。盗撮の場合、『レンズを相手に向けなければ撮影できない』という制約があるため、設置したことに気づかれてしまうケースが多いですが、盗聴器は極端な話、壁の裏側に設置しても機能します。そのため、仕掛けられた側が発見するのは困難を極めます」

■盗聴器の回収なしで盗聴できてしまう

また、不届き者にとって盗聴器には、さらなるメリットがあるという。

「盗撮の場合、“バッテリー”と“回収”という大きな枷(かせ)があります。バッテリーの駆動時間には限りがあるため、2~3日すれば、設置したカメラは機能しなくなる。再び稼働させるためには、再び侵入して設置する必要がありますよね。

また、盗撮の場合は映像を確認するのに『設置した器具を回収する』というプロセスが必要になります。そのため、発覚のリスクが高く、おいそれとは設置できないのです」

たくさんの制約がある盗撮と比べ、盗聴は各段に自由度が高いという。

「盗聴は、盗撮にありがちなバッテリー問題に比較的制限がない。盗撮よりも消費電力が少ないため、電池ひとつでも長期間稼働が見込めるうえ、三つまたの電源タップなどに偽装した盗聴器であれば、AC電源を利用できるため、半永久的に稼働させることができます。

また、盗聴器は盗撮器と違い、拾った音を電波に乗せて飛ばすものです。その電波を受信できる場所であれば、どこでも聴くことができます。そのため、設置した場所へ出向く必要がなく、発覚のリスクは減ります。」

藤井氏によれば、盗聴器の種類はおおまかに分けて3種類。先述の電池式とAC式のほか、電話回線式の盗聴器だ。

「電話回線式の盗聴器は、その名の通り電話回線に取り付けて、通話内容を盗聴するものです。このタイプの盗聴器は、AC式と同様に、電話回線に流れる直列電流から電源を確保するので、一度設置されてしまうと半永久的に盗聴されることになります」

ただし、藤井氏によれば電話回線の通信方式はアナログ式とデジタル式があり、盗聴可能なのはアナログ式の電話機のみ。街中で見かける公衆電話も、緑色はアナログ式、灰色のものはデジタル式となっている。

■電話機の子機に周波数を合わせられ、会話が筒抜けに

一般家庭で最も気を付けないといけないのは、電話機の子機だという。

「ラジオのチャンネルを見ればわかる通り、電波というのは周波数さえ合っていれば、誰でも受信することができます。機器ごとに使われる周波数というのはある程度決まっているため、近くで電波を受信している人がいれば、会話は筒抜けとなってしまいます」

ほとんどの電話機には、製品仕様書などにデジタル式・アナログ式の記載がある。

最も簡単な対策は、電話機を盗聴が難しいデジタル式に変えることだろう。

しかし藤井氏によれば、「企業の場合はそうもいかない」事情があるのだという。

「電話機だけでなく、飲食店やパチンコ店で使うようなインカムも盗聴のターゲットとなりますが、企業が備品を変更する場合は一斉に変更する必要がある上に、業務用のインカムや電話機は性能や機能のわりに高価なことが多い。私から言わせれば『足元を見られている』価格だと思います。コスト的な面で導入に踏み切れず、古い設備を使ったままの企業も多いのです」

企業の場合、一般家庭よりも被害は大きくなることが懸念される。

■ラブホの「高層階の角部屋」は盗聴リスクが高まる

自宅や職場以外に、盗聴を警戒するべき場所はあるのだろうか? そう尋ねると、藤井氏は「ラブホテル」と即答した。

「おそらく、公共の場において盗聴器が最も仕掛けられやすい場所は、ラブホテルでしょう。料金さえ払えば誰でも入れる上に、時間的な制限もない。盗聴器の設置と取り外しが、かなり余裕をもって行える場所です。そのうえ、ラブホテルの中で何が行われているかを考えれば、『盗聴して面白い』場所であることは間違いありませんから、警戒をしたほうがいいでしょう」

怖くてラブホテルに行くのをためらってしまうような話だが、対策はあるのか。

藤井氏は「盗聴犯の気持ちになることが重要」だと語る。

「電波というのは高所からのほうが、よく飛ぶ傾向があります。スカイツリーや東京タワーといった電波塔が、なぜ高いところにあるのか、考えてみてください。さらに、電波は障害物がないほうがよく届く。ラブホテルの性質上、設置自体はどこでもできますから、より電波が飛びやすい部屋を選ぶのがベスト。

そのため、最も盗聴器が仕掛けられやすいのは『高層階の角部屋』だといえるでしょう。また、盗聴犯は基本的に車で移動し、車内で電波を受信するので、通りに面した部屋は警戒しておいて損はありません」

もしラブホテルに入るのであれば、低層階で、なおかつ他の部屋に挟まれた部屋を選ぶのがベストだといえそうだ。

■ラブホで盗聴されても訴えることはできない

また、場所選びも重要だと藤井氏は熱弁する。

「たとえば、駅前にあり、路上駐車がしづらいようなラブホテルでは、周囲が建物に囲まれており、車も止めづらい。設置はできても受信が難しいため、盗聴犯は避ける傾向があります。逆に、インターチェンジ付近のラブホテルは場所柄、スペースに余裕があるため、非常に仕事がしやすい環境だといえます」

パートナーのためにも、入室前に落ち着いて部屋を選定するべきだろう。

ところで、もしラブホテルで盗聴されていることに気付いた場合、盗聴犯を訴えることはできるのか。藤井氏は首を横に振る。

「盗聴が違法になるのは、不法侵入をしたときと盗聴した内容を誰かに話したときです。逆に言えば、ラブホテルの部屋を借りてそこに盗聴器をしかけ、内容を自分だけで楽しむのであれば罪にはなりません。もっとも、仕掛けたという証拠をつかむのが難しいので仮に違法性があっても訴えることは困難でしょう」

だからこそ、盗聴される前の“予防”が肝心といえるだろう。

■盗聴される人は後ろ暗いところがある人

ここまで、盗聴器の基礎的な知識と設置される傾向を藤井氏に語ってもらったが、実際のところ、われわれの自宅に盗聴器が仕掛けられている可能性というのは、どれほどあるのだろうか。

「私が依頼を受けて自宅をチェックしても、盗聴器が出てくることはほとんどありません。割合でいえば、1%あるかないか。その1%も、プライベートで誰かとトラブルを起こしていたり、恨まれるような生き方を送っていたりする人がほとんどです。善良に生きていれば、盗聴器の被害に遭うことはあまり多くないのではないでしょうか」

とはいえ、可能性がゼロでない以上は、警戒しておくに越したことはない。もし盗聴器を仕掛けられているかもしれないと心配になったら、盗聴器発見機でのセルフ調査か、藤井氏のような発見業者に依頼するべきだろう。

自分で盗聴器を探す場合、藤井氏が勧めるのは盗聴器発見器『BUG CHASER EX』(実勢価格4万6000円)だ。扱いやすく、発見率も上々だという。インターネット通販では1000円程度で入手できる発見器もあるようだが、藤井氏のようなプロからすれば「オモチャ以下のシロモノ」で、まったく使い物にならないという。

自らの個人情報は、自らで守るしかない。インターネットによる個人情報流出が叫ばれて久しいが、今後、インターネットへの注目が高まっていることを逆手に取り、アナログな手段でのアプローチが増えないとも言い切れない。あらゆる角度から備える必要があるだろう。

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藤井 正之(ふじい・まさゆき)
東和通信社代表
盗聴コンサルタント。盗聴器の調査を行う「東和通信社」で一般人から企業、政治団体まで年間1000件以上の盗聴相談を受ける。『ラジオライフ』(三才ブックス)で「盗聴器発見日記」を10年以上にわたり連載している。著書に『盗聴の実態―あなたのプライバシーが狙われている!?』(ベストセラーズ)。

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山野 祐介(やまの・ゆうすけ)
行動するお金博士
1991年生まれ。自らの節約生活をもとにした「1週間食費0円生活」を月刊誌で連載中。節約術やお金の最新事情に精通。

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(行動するお金博士 山野 祐介)

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