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職場を壊す「昭和おじさん」4タイプの扱い方

プレジデントオンライン / 2019年10月21日 6時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/maroke)

威圧的な態度をとる、論破しようとする、嫌味を言う、若者を見下す──。どこの職場にもいる“困ったおじさん”は、なぜそうなってしまったのでしょうか。もともとの性格なのか、自分がそうされてきたからか、それとも歳のせいなのか。男性学の第一人者、田中俊之先生がタイプ別に解説します。

■「威圧タイプ」の男性心理

企業で働く人たちには、困った上司に悩まされている人も少なくないでしょう。意見を言うと怒り出したり、あからさまに上から目線だったりして、話し合いまでたどり着けないこともしばしば。こういう上司は女性にもいますが、いわゆる“昭和のおじさん”に多い傾向があります。彼らはなぜそうなってしまったのか、代表的な4つのタイプについて考えていきたいと思います。

1つめは「威圧タイプ」。部下が、より効率的な仕事の進め方などを提案した時に「100年早いわ!」などと言ってくる人ですね。冗談の範囲ならいいかもしれませんが、本気であればかなり攻撃的な態度と言えるでしょう。なぜ攻撃的になるのか。たいていの場合は、内面に自信がないからです。

自信があれば、部下の提案を頭ごなしに拒絶したりはしません。例え反対だったとしても「こういう理由があるから今のままの方法がいいんだよ」と、じっくり説明できるはずです。それができないということは、自分の内面や能力に自信がないということ。自信がないのに上司になってしまったわけですから、本人は常にいっぱいいっぱいでしょう。少しかわいそうにも思えますね。

■手加減できない「論破タイプ」

2つめは「論破タイプ」です。論破は、相手を従わせたい、ねじ伏せたいという気持ちから起きるもの。加えて、きちんとしたコミュニケーションよりよっぽど簡単で、相手の経験値が低いほど実行しやすくなります。話は聞くけれど受け入れようとはせず、自分に従わせようとする……。そんな人は、そのほうが楽だから無意識のうちにそうしているのです。

彼らの多くは加減を知らず、常に100の力で論破しようとします。本来なら、部下を説得したり叱ったりする時は、自省する余地や明日も出社する意欲を残しておくために、50程度の力で済ませるべきです。

それができないのは、自分が上司からそうされてきたからかもしれません。あるいは、上司の仕事は部下を従わせることだと勘違いしている可能性もあります。いずれにしても、論破はコミュニケーションではありません。その意味で、論破タイプは「コミュニケーションができない人」とも言えます。

■厄介すぎる「嫌味タイプ」

3つめは「嫌味タイプ」です。適切な批評なら価値がありますが、嫌味は相手に不快感を与えるだけで何も生み出しません。例えいいポイントを突いていたとしても、言われたほうは「もっと他に言い方あるんじゃないの」と不愉快になるだけです。

困ったことに、世の中には他人が嫌がる、傷つくことをして喜ぶ人が一定数います。さらに困ったことに、こういう人たちはパッと見ではわかりません。誰かに対してパワハラに当たる言動をしたとしても、された本人以外にはわかりにくいことが多いのです。

威圧タイプや論破タイプは周囲も雰囲気を感じとれますし、言われたことを伝えれば「それってパワハラだよね」と共感してもらえることがほとんど。しかし、嫌味タイプはこの2タイプと違って非常に厄介です。もし標的にされてしまったら、信頼できる上司や社内窓口に相談してください。一人で何とかしようとせず、第三者を挟んで解決することをおすすめします。

■人はいつから「おじさん」になるか

最後は「見下しタイプ」です。昭和のおじさんは、特に若者を見下す傾向が強いようです。社会学の視点から説明すれば「人は年を重ねると保守的になる」から。加齢によって新しい価値観を受け入れることが難しくなってしまうんですね。

昭和のおじさんたちは40代をとうに超えていますから、保守的で変化を嫌う人が少なくありません。しかし、社会の風潮や流行は時代とともに変わっていくもの。彼らは自分が培ってきた価値観とは違う“新しいモノ”についていけず、理解できない物事を見下しがちになります。

ただ、これはいつの時代も起きてきたことです。おじさんたちによる新しい社会制度や若者文化への批判は、世代を問わず誰もが聞いたことがあるのではないでしょうか。近年なら、副業やYouTuber、定時帰り、男性の育休などへの批判がそれに当たります。これらはすべて「最近のポップスはつまらん、80年代はよかった」といったいかにもおじさん臭い物言いと、同じ理由から起きているのです。

■おじさんにお世辞を言ってはいけない理由

もう一つ、見下しタイプの特徴を挙げてみましょう。彼らはあいまいさに耐えられず、明確な定義を知りたがる傾向にあります。若い人は「ヤバイ」「卍(まんじ)」などの言葉に見るようにあいまいさを楽しめますが、おじさんは耐えられません。定義がわからない、理解できないという気持ちが「最近の若者は言葉を知らない」などという見下しにつながってしまうわけです。

見下しタイプの男性の中には、若者だけでなく女性を見下す人もいます。このタイプの男性は「女性は自分の喜ぶ答えを言うべき」と思っているので、お世辞を真に受ける傾向も強いですね。おじさんの「俺いくつに見える?」は、冷静に考えると気持ち悪いものですが、我慢して優しく「30代後半」などと答えようものなら大変です。彼らはあなたの言葉を、優しさからではなく本気で言っていると思い込むでしょう。

■40歳を超えると女性も保守的になる

ここまで見下しタイプについて考えてきましたが、実はこのタイプになるのはおじさんだけではありません。先ほども言いましたが、「人は年を重ねると保守的になる」です。つまり、男性だけでなく女性も保守的になる傾向があるのです。

40代に入ったら、自分は保守的になりがちな年齢なんだと、誰もが自覚する必要があります。気持ちは若いつもりでも、あるいは見た目が若くても、加齢にはそう簡単に抗えません。見下しタイプのおじさんを見て困った人だなと思ったら、20~30代の方は将来そうならないよう反面教師としてください。

そして40代以上の方は、自分も見下しタイプになってはいないか、ちょっとだけ振り返ってみていただければと思います。保守的な傾向や変化を嫌う傾向は年齢によるものであり、性別を問いません。その自覚を持っておくだけでも、上司としての人望には大きな差が出るように思います。

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田中 俊之(たなか・としゆき)
大正大学心理社会学部人間科学科准教授
1975年生まれ。博士(社会学)。武蔵大学人文学部社会学科卒業、同大学大学院博士課程単位取得退学。社会学・男性学・キャリア教育論を主な研究分野とする。男性学の視点から男性の生き方の見直しをすすめる論客として、各メディアで活躍中。著書に、『〈40男〉はなぜ嫌われるか』(イースト新書)、『男がつらいよ 絶望の時代の希望の男性学』(KADOKAWA)『中年男ルネッサンス』(イースト新書)など。

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(大正大学心理社会学部人間科学科准教授 田中 俊之 構成=辻村洋子 写真=iStock.com)

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