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震災をきっかけに、私がセブ島で起業したワケ

プレジデントオンライン / 2019年11月2日 11時15分

ビジネスパーソンの間で人気が定着しているセブ島留学。野北さゆりさんはセブ島で短期語学留学をしたいという日本人と、セブ島の語学学校をつなぐ留学エージェントの代表として、セブ島を拠点に働いている。もともとは一人娘の教育移住のためにやってきたが、今は老後も暮らしたいというほどセブ島が自分に合っているという野北さん。常夏のセブ島で暮らすこと、働くことについて語ってもらった。

■3.11をきっかけに海外暮らしが選択肢に

娘と二人でセブ島に移住したのは2012年のこと。娘が9歳のときです。もともと英語環境で子どもを育てたいと思っていたところに、東日本大震災が起こり、いろいろな情報が錯綜しましたよね。国が白と言ったら、白となって、何が正しいのか、よくわからなくなった。私としては「あれ、日本ってこんな国だっけ?」と不信感が募るばかり。わいてくる疑念はおさまらず、そのうち海外に行くのもありかなと思い始めたんです。

そうして、マレーシアのペナン島やクアラルンプール、ジョホールバル、シンガポール……、知り合いを頼って、アジアを視察し、最終的に、ここフィリピンのセブ島にたどりついたのです。

■気候も人もあたたかいセブ島

セブ島の何がよかったかというと、いちばんは人があたたかいことですね。気候があたたかいから、人が陽気で穏やか。他の外国に比べると治安がよくて、人から奪って何かをしようという人たちじゃない。ここなら娘と二人でも安心して暮らしていけるかなと思ったんです。

また英語の通じ度合いが、他のアジアとは全然違います。さすが世界3位の英語公用国だけに、発音はきれいだし、日本人特有のアクセントもくみ取ってくれるので、とにかくコミュニケーションしやすい。これは私が働くにも、子どもが教育を受けるにも大きなメリットでした。

さらに働き始めていいなと思ったのは、男尊女卑が少ないということ。世界各国の男女平等の度合いを示す2018年版「ジェンダー・ギャップ指数」でも、日本が110位なのに対して、フィリピンはアジア勢トップの8位。管理職や専門職に占める女性比率が高いんですね。男性があまり働かないということもあるんですが……(笑)、ともかく男女差別が少ないことは、働く女性にとってはいい環境です。

■留学エージェントして何ができるのか自問自答

現在の留学エージェントは、リクルート時代の友人が立ち上げた会社。セブ島に移住してから、ウエディングの映像会社に勤めたり、ホーチミンのIT企業で働いたり、かれこれ3、4年、他の仕事をしたあとに、この留学エージェンシーを引き継ぎました。

引き継いだ時は、立ち上げて1、2年でしたが、地縁や血縁で経営していた状態。これをどう広げていくか、留学エージェントとして何ができるか、と考えたときに思ったのが、“圧倒的なメリットを提供する”ということでした。つまり留学した人すべてに、最速の方法で英語力を上げるお手伝いをすることが、いちばん重要だろうという考えにいきついたんですね。

たとえばカウンセリングは、留学前はもちろん、留学中にも行います。どこの学校もレベルチェックテストがありますから、そのテストの結果を踏まえ、どういう授業を受けて、どう効率的に勉強を進めていくかをご本人と、とことん話し合う。初めての留学は、与えられた課題をこなすのにいっぱいいっぱい。活用するところまで、なかなか思い至りませんが、1カ月たってふり返ってみると、こういうことをしておけばよかったというのが必ずあるんです。私はそれを何千人分もやってきているので、そのナレッジをめいっぱい使ってもらって、“初めてだけど1000回目”というような留学にしてほしいのです。

そんなふうに「英語力がこんなに上がった」というのを結果を出していくうちに、お客様がその体験を一人、二人と自分の信頼している人たちに伝えてくださって……、おかげさまで今は個人のかただけでなく、学校や企業の研修のご相談も多くなりました。

■日本人に足りないのはボキャブラリーの量

海外で働き始めて7年ぐらいになりますが、実は私の英語力はTOEIC850点ぐらい。ですから、わりと普通(笑)。ただ実際にビジネスをしてきているので、それなりに単語は頭の中に入っているのかなと思います。

日本の英語教育は、圧倒的に単語が足りないんですね。いざ仕事をしたり、暮らしたりすると、わからない単語だらけで進めない。単語をもっとしっかり勉強していれば、もっと簡単に伸びるのに、と留学生のかたを見ていてもつくづく感じます。

日本人は英語さえできたら、世界でもっと存在感が示せると、私はいつも思っているんですね。日本人は勤勉だし、やると決めたら、それをコンプリートする力もある。そして、そのクオリティも高い。でも現実は言葉の壁のせいで、なかなか海外で働くことすら難しい。だから英語の勉強は全員したらいいと思うんです。「英語だけできても」という人がいますが、英語ができないだけでどれだけ損をしているか……。その足かせは、ひとつでも早く外したほうが身軽にダッシュできると思うのです。

■セブ島留学は人生を変えられる最短の方法

私はもともと海外が好きでしたので、今こうして海外で暮らすことに、それほど大変さは感じませんが、自分の家族も含めて、日本人はどこか自分の意思で海外に出ていくことを嫌がる傾向があるように感じます。転勤で仕方なく行くなら「頑張って」って言うけど、自分の意思で移住することにはあまり歓迎しないというか「日本がいちばんいいのに何で?」と。私の家族の場合は「さゆりは仕方ない」ってあきらめていましたが(笑)、いまは英語環境で育っている娘を見て「よかったね」と言ってくれています。

時間もお金も無限にあれば、それこそ世界じゅうどこでも行けますが、たいていの人はなかなかそうもいきません。でもセブ島留学って、ちょっとお金を節約すれば誰でもできます。セブ島留学は自分の人生を変えていける、いちばん最短の方法なんです。海外に興味があるなら、自分にもそういう選択肢があるということを知ってほしいですね。

■成長し続ける国のエネルギーを感じて暮らす

9歳でセブ島にやってきた娘も、もう16歳。進学は欧米の大学を考えているようですが、私はセブ島が大好きなので、ここで一人、老後を過ごすのもいいかなと思っています。留学の仕事もすごく楽しいですが、フィリピンの人たちの役に立つ仕事がしたいと最近、フィリピンの保険の資格を取ってファイナンシャル・アドバイザーとしての仕事も始めました。

現在、フィリピンの経済成長率は6、7%と、どんどん発展しています。私が子どものころは、大人はみんな今日より明日が必ずいい日になると思っていましたが、いまのフィリピンにも同じようなエネルギーがあります。常に成長し続けていて、1カ月や半年でガラッと街の風景が変わっていく。そういう変わっていく世界を肌で感じて暮らしていけるのは、すごく幸せなことだと思っています。

文=池田純子

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野北 さゆり(のきた・さゆり)
株式会社セブ社会人留学代表取締役
大学卒業後、リクルートで編集ディレクターを長年務めたあと、2012年に親子でセブ島に移住。セブ島に3年、ホーチミンで1年就業後、現職。語学留学のコンサルティングやサポートのほか、不動産の売買や賃貸の仲介にも携わる。

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(株式会社セブ社会人留学代表取締役 野北 さゆり 写真=iStock.com)

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