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普通の会社員を「億り人」にした米国株の選び方

プレジデントオンライン / 2019年11月20日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/robertcicchetti

40代のブロガー・たぱぞうさんは、人材開発系の会社に勤める普通のサラリーマンだったが、米国株中心の投資を続けた結果、40歳のときに資産1億円を達成した。なにが投資のコツなのか。たばぞう氏は「米国株なら敷居の高い個別銘柄の研究をせずとも、お金が増やせる。それには大きく2つの理由がある」という――。

※本書は、たぱぞう「お金が増える 米国株超楽ちん投資術」(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■遠回りして気づいた米国株の成長性

私が早くから投資をはじめたのは祖父や両親が株式投資を当たり前のようにしていたという環境が大きく影響していると思います。私は逆張りとか、集中投資といった「基本から外れた無謀な投資」でもお金を増やすことができましたが、大きくリスクをとったからともいえます。持っていた銀行株が暴落しても売らない、下がってもなお無謀に買い続ける、というのは大きなリスクをとった典型的な例ですね。

しかし、それらは毎回勝てる方法ではありません。一歩間違えば、大事なお金を減らす結果になっていたかも知れません。

実際、銀行株では300万円の投資に対して時価評価が100万円割れまで落ち込む、という経験を経ています。当時は、若かったし、投資額が小さかったせいもあり、「そんなこともある」ぐらいの感覚でしたが、株式市場という世界から退場してもおかしくなかったでしょう。

私のしてきた投資は、決して無駄な経験ではなかったと思いますが、明言できることがあります。

今の時代に生まれていたら全然違っただろう。

こんなに遠回りはしなかっただろう、ということです。

今はいろいろな情報がありますが、私が投資を始めた頃は投資に関する情報も得にくかったですし、米国株に関しては、個人投資家がブログやツイッターで等身大の情報を発信することも少なかったです。私は頻繁な売買によって利益を得るというやり方をしてきたため、米国株の成長性がしっかりしたものだということに気付くのが遅れました。

■投資信託やETFで十分リターンが期待できる

ここまでやんちゃな投資をしておいて説得力に乏しいかもしれませんが、米国株の積み立てなら、リスクを抑えた投資ができます。私がしてきた投資は、誰もができる投資術ではありません。つまり、再現性が乏しいということです。みなさんはこんなハードでストレスフルなことをする必要はなく、

1 本当に良いと思ったETFや投資信託をずっと持ち続ければいい。
2 毎日株価をチェックしたり、売買のタイミングをはかる必要などない。

一部の投資好きの人を除けば、個別銘柄を選ぶ必要もありません。一部の人とは、投資が好きで、趣味のように楽しめて時間がかけられる人、です。仕事が忙しく、週末は家族や友人と過ごしたり趣味を楽しんだりしていて、投資に使う時間はほとんどない人。それでも、「将来のためにお金を増やしていかなければ………」と思っている人。そういう人は、米国株市場全体の値動きを反映する投資信託や、ETFに積み立て投資する楽ちん投資でOKです。

米国株の指数は、日経平均やTOPIX(東証株価指数)などの玉石混交の日本株指数とは異なり、成長性が高い銘柄で構成されています。日経平均やTOPIXで長期的にリターンが得られるのかはかなり疑問ですが、米国株ならインデックス投信やETFでも十分なリターンが期待できます。

つまり、米国株なら敷居の高い個別銘柄の研究をせずとも、お金が増やせるのです。下落した時に全財産を投資するといった冒険も必要ありません。

■米国株を始めるべき2つの理由

長期的な成長が望めなければ、タイミングをうまくとらえ値動きで利益を上げていく必要があります。しかし、長期で成長が期待できる米国株インデックスなら、毎月の給料の中から、積み立て投資をしていけばいいのです。まとまったお金がなくてもできますし、タイミングも見なくていい。つまり、誰にでも、すぐにでも、始められます。

米国株なら長期保有でリターンが期待できる

個別銘柄もいいが、もっと簡単な投資信託やETFで十分

まとまったお金でなく、毎月の積み立て投資でいい、というわけです。

私は低迷が長かった日本株への投資を経て、米国株の魅力に気付きました。

ファンダメンタルズの面もありますが、大きな理由は以下の2つに集約されます。

1 人口が増加しており、消費成長国であること
2 投資に見合った法整備がなされていること

です。この条件を満たす国はごく限られています。

たとえば日本は人口が減少しており、消費も縮小しています。

最低限の法整備はされていますが、いまだにコーポレートガバナンスが徹底されていない面があります。先ごろ話題になったかんぽ生命の販売姿勢に関する問題など、国を代表するような大企業でも消費者を欺くようなことが頻繁に起きています。たまにではありません。頻繁にです。

言い方を変えると、かんぽ生命のような売り方をしてマージンを稼がないとやれない時代になりつつあるということです。縮小経済を生きるというのはそういうことなのです。

■株主をないがしろにしない米国企業

また、かつての銀行のように経営上の失敗を増資という形で平気で株主に押し付ける企業があることも、投資の難易度を上げています。昔に限らず今も増資に伴う株式の希釈が頻発しています。

増資とは、企業の資本金を増加させることです。たとえば株式投資では、会社の資産と株価を比較して株価の割安性を測る「PBR」(株価純資産倍率。株価÷1株当たり純資産)や、会社の利益と株価を比較して株価の割安性を測る「PER」(株価収益率。時価総額÷純利益)という指標があります。株式を新たに発行して増資をすると、これらの数値が既存の株主に不利な方向に変わってしまいます。

「100万円を100株で割って1株1万円の収益だったのが、増資によって200株になり、200株で割って5000円の収益に変化した」ということです。1株当たりの収益が下がるので、株価も下がります。後出しじゃんけんで、投資することを決めた基準が変えられてしまうのです。

明らかな株主軽視であり、比較的ガバナンスのしっかりしている大企業でさえこのようなことが頻繁に起きるようでは、おちおち投資することなどできません。米国の場合は、そもそも売り上げや利益などの数字をきちっと作ってきますし、経営が悪くなったり、安易な増資をするようでは経営者は即座に解任です。

■上昇トレンドを維持する米国株指数

株価上昇のために私が大事だと思っている2つの要素。それを満たす数少ない国が、米国です。米国株にはたくさんの指数がありますが、「S&P500」は米国の大型株500銘柄で構成され、米国の株式市場全体を表す代表的な指数です。

日経平均はバブル以後、長期チャートで見ると鍋底のような形です。日経平均はバブル景気に沸いた1989年12月に3万8915円まで上昇し、バブル崩壊後30年が経過してもなお、2万円台という状態です。

対してS&P500は上昇トレンドで、優位性があることが一目瞭然です。TOPIXが史上最高値をつけたのは1998年12月で2884ポイントでした。その後、バブル崩壊で株価は下がり続け、2012年6月には695ポイントまで下落しています。最高値から4分の1以下の水準です。

以後は上昇に転じましたが、19年9月の時点で1600ポイント近辺です。30年を過ぎてもなお、最高値に遠く及ばない水準なのです。TOPIXのチャートは右肩下がりの曲線を描き、長期成長していないことが見て取れます。

対してS&P500のチャートは、きれいな右肩上がりを描いています。

98年12月に1200ポイント台だった水準が、19年9月には2900ポイント台まで2倍以上に上昇しています。リーマンショック後の2009年(一時730ポイント台)も超え、しっかりと右肩上がりで成長しているのです。米国株であれば、短期的には上げ下げがあるものの、長期保有ではリターンが得られたことがわかります。

■安定した高水準の配当金も魅力

株式には売買によって生じる売却益(値上がり益)と、企業収益の分配として配当というリターンがあります。キャピタルとインカム(配当)です。

イギリスをはじめとするEU各国やオーストラリアの企業も配当の水準は高く、配当利回りが6~7%の企業もあります。しかし株価指数はさほどパッとせず、株価も一部を除いて横ばいであり、米国企業のように売却益もインカムも、両方期待できる企業は多くありません。

米国企業に高水準の安定配当があり、しかも成長性もあるというのは、やはり企業統治をはじめとする株式を成長させる仕組みがしっかりしているからです。

日本はこの辺りはゆったりしています。たとえば、日本は長きにわたって株の持ち合いがありました。株の持ち合いには、企業同士が株を持ち合うことで、経営を安定させるという狙いがあります。銀行を頂点としたこの持ち合いは、護送船団的で互助的な機能がありました。今も緩やかながら存在していますね。

一方、米国では投資家の目が厳しく、経営者の評価の仕組みが日本とは全く異なります。日本では、不祥事でも起きない限り経営者が退場させられることは、そうありませんが、米国では経営上の成果が出なければ経営者は交代ということになります。

■「株価をどうあげるか」が米国経営者の至上ミッション

成長力を高めるため、他社で実績をあげたプロ経営者を引き抜いて登用する、という発想もあります。日本でもプロ経営者を招聘した会社はいくつかありますが、生え抜きのプロパー社員が厚遇される傾向が強いですし、資本関係のある銀行から経営者を招くこともあります。

米国の場合はそういった関係性で選ぶのではなく、経営者としての資質、能力があるプロ経営者がトップに就いていることが多いです。

そのため、米国企業の経営者は、ROEや営業利益率、粗利、売上など、投資家が満足する数字を達成することを強く意識しています。マージンの出ない、たとえば営業利益率の低い部署はスピーディに切り捨てます。一株価値、会社価値をどのように上げるかが至上のミッションと言えます。

たとえば近年、私が「ずいぶん思い切ったことするな」と思ったのは、マグロウヒルという企業です。

マグロウヒルは、米国株投資家のバイブルとされる『株式投資の未来』の著者で有名な投資家でもあるジェレミー・シーゲル氏も推す、リターンの優れた企業でした。もともとは経済誌『ビジネスウィーク』などを発行していた出版社でしたが、企業の信用格付けなどを行うスタンダード&プアーズ社を買収し、出版部門、教育出版部門などを売却しました。ちなみに現在、『ビジネスウィーク』は大手経済情報サービス会社ブルームバーグの傘下になっています。

■結果が出なければ祖業も、経営者も変えられる

マグロウヒルは学校の教師だった人が創設した会社で、教育出版部門はマグロウヒルの祖業と言えます。しかし出版事業の事業環境が厳しいのを見通し、金融サービスの方が成長性があると判断して、売却に踏み切ったのです。

以後、金融サービス業が事業の中心となり、2016年以降は「S&P Global」と社名を変えました。マグロウヒルに限らず、数字でシビアに経営判断をするのが米国企業の特徴です。ドラスティックなイノベーションが起きやすく、その成長性が連続増配当や株価上昇に繋がっているのです。

結果が出なければ部署がなくなってしまったり、経営者がすぐに変わったりしてしまうのですから、米国企業で働くのは大変だと思います。もしかしたら働きたい組織ではないかもしれない、競争の激しい組織です。しかし、投資するには最適、なのです。

■「個別株」と「インデックス投資」のどちらを選ぶべきか

米国株の魅力や、投資信託やETFで十分リターンが期待できること、時間分散、資産分散でリスクを低減した方がいいことなどをお話ししてきました。ここからは、米国株投資について、より具体的に述べていきます。

まずは、「個別株」がいいか投資信託やETFに投資する「インデックス投資」がいいかについて考えてみます。

個別銘柄のメリットは、大きく値上がりする銘柄に適切に投資をすれば、効率的にお金を増やせることです。しかし、銘柄選びには、ある程度は知識や情報が必要ですし、株価の推移をチェックするなどの手間もかかります。

残念ながら誰にでもセンスがあるわけではなく、銘柄選びや売買のタイミングを誤ってしまうこともあります。なにより、インデックスよりも値動きが上にも下にも大きい、つまりばらつきが大きいのが特徴です。リスクが大きいというわけですね。

対して投資信託のメリットは誰にでも簡単に取り組みやすいこと、です。

米国株市場は厳しい基準で運営されているため、利益が出せる力のある銘柄が集まっています。米国株市場でも、旬を過ぎた銘柄や、ある時期、利益が出せない銘柄もあります。利益が出せない銘柄を拾ってしまうと、リターンが得られない可能性があるのは当然ですね。難しいのは、上昇する銘柄と下落する銘柄をズバリ見抜けないということです。

■インデックス投資なら分散投資に最適

インデックス投資とは特定の国、特定の市場など、あるテーマに沿ったほとんどすべての銘柄をまとめてパッケージで買うことになります。つまり、個人ではなかなか難しい、多くの銘柄分散を図った買い方が簡単にできるというわけです。これは、金融テクノロジーの恩恵の一つと言って良いでしょう。

銘柄の分散を図れば、投資のリスクはより抑えられますが、個人で管理できる銘柄には限りがあり、せいぜい10から20銘柄くらいでしょう。それが、投資信託やETFならば、何百、あるいは何千という銘柄に一気に投資できるのです。

もちろん、業績の良くない銘柄が入っていれば多少、足を引っ張られることもあります。そのため、業績の良い上昇銘柄のみを集めた個別株群よりもパフォーマンスは落ちます。しかし、その上昇銘柄を見抜くのが至難の業なのです。

投資信託には、運用のプロが銘柄選択することでより高いリターンを目指す「アクティブファンド」というタイプもありますが、昨今では多くのアクティブファンドはインデックス投資に勝つのは難しいということが広く知られています。株式投資というのはそういう難易度をはらんだ活動なのですね。インデックス投資ならば、簡単に買えて、銘柄分散の効果を得ながらリターンを享受できる、というわけです。

■「老後2000万円問題」の打開策は米国株への積立投資

では、投資信託やETFではどのくらい増えるでしょうか。今後、米国株は年4.5%程度の成長と仮定します。昨今必要な老後資金として話題になった、2000万円を目指すとしましょう。

たぱぞう「お金が増える 米国株超楽ちん投資術」(KADOKAWA)

積立期間が20年なら、月々5万4529円を積み立てれば2000万円を用意することができます。積立期間が10年しかなくても、毎月13万6000円を積み立てれば達成できます。目標額を3000万円にするとどうなるでしょう。積立期間が20年なら、月々8万2000円です。

20年で月々5万4529円という数字は、奇しくも非課税枠である「つみたてNISA」と「iDeCo」を組み合わせて積み立てられる額に近似します。2000万円なら達成できる、3000万円もいけるかも、と思う方も多いのではないでしょうか。ETFや投資信託で十分に資産形成ができる、というわけです。

仕事をしながら個別銘柄に投資するのはなかなか大変です。それが楽しめる人は別ですが、そうでない方は、ETFや投資信託で手のかからない投資をコツコツとすればいいですね。

米国株であれば、それで十分なリターンが期待できます。目標額を達成するために、毎月いくら積み立てればいいか、利回りによってどう変わるか、インターネットで簡単に試算できます。「金融庁 資産運用シミュレーション」などで検索できるほか、証券会社のサイトなどにもあります。投資のモチベーションが上がるので、試してみるとよいでしょう。

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たぱぞう 米国株ブロガー
2000年より投資を始め、2010年以降、米国株投資を中心に行う。2016年、自らの投資観をブログにて書き始める。2017年より、某投資顧問業にてアドバイザーを務める。2019年より、すでに設立していた資産管理法人の運営に専念。「誰でもできる投資術」、「誰でもわかる海外投資」をモットーに執筆中。

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(米国株ブロガー たぱぞう)

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