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63歳夫の夫急死で、54歳妻が子供に伝えたこと

プレジデントオンライン / 2020年1月10日 9時15分

田島さん(仮名)54歳、女性、パート●家族構成/実母、長女(大学生)、次女(大学生)、長男(高校生)、三女(中学生)

老後資金をどう準備するのが正解なのか。重要なことは想定外のリスクに備えておくことだ。シニアの読者4人の「お金に関する想定外」を紹介しよう。第3回は「夫が急死、企業年金の受給期限が迫る」――。(全4回)

■夫が急死、企業年金の受給期限が迫る

【定年時の貯金額】2000万円以下

大手インフラ企業に勤めていた田島さんの夫は60歳で定年を迎え、同じ職場で再雇用された。給料は大幅にダウンしたものの、70歳までは働ける見込みだった。収入は、再雇用の給与と企業年金の2本柱。年金は65歳から受け取る予定だった。企業年金が充実しており、老後の生活には何の不安も感じず、4人の子どもに囲まれ、幸せに暮らしていた。

その生活を根底から覆す出来事が起きた。3年前、63歳だった夫がくも膜下出血で急死したのだ。

「出社直後に職場で倒れました。朝はいつものように元気だったのですが」

すぐに病院に運ばれたが意識が戻らないまま1週間が経過し、帰らぬ人となった。会社の健康診断の結果も良好で、予兆はまったくなかったという。

突然の夫の死に混乱しながら、一方で「家計にはそれほど影響はないはず」と田島さんは考えていた。夫の企業年金と遺族年金で、一定の収入が確保できると思っていたからだ。

「しかし、企業年金の部分が誤算でした。主人が生きていれば生涯受け取れたのですが、亡くなってしまうと15年が上限になるしくみだったのです」

■当面の生活は企業年金と遺族年金で

夫は60歳から企業年金を受け取っており、生きていれば現在66歳。すでに6年分を受け取っているので、企業年金を受け取れる期間は残り9年となる。田島さんは働くことも考えたが、当面の生活は企業年金と遺族年金で何とかなりそうなので、当時小学校高学年だった末っ子が高校生になるまでは家にいようと考えた。いまは家に近い医療系の施設で、週に1~2日受付業務を行い、パート収入を得ている。

子どもの進学に当たっては、夫が亡くなる前から奨学金を併用させるつもりだった。親にすべて甘えさせるのは、教育上よくないと考えたからだ。ところが、社会人になってから奨学金の返済に苦労する人が増えているという話を聞き、方針を変えた。

「いま手元にお金があるのなら、それを有効に使うことこそ、いい活かし方だと考えたのです」

長女が大学に進学する前に家族でそう話し合って決めた。夫が亡くなったのは、その直後だ。大学の付属高校に通っていた長女は内部進学することもできたが、よりレベルの高い大学を目指し、外部受験する予定だった。

「予備校の夏期講習に通っていた長女が急に『推薦で進学しようかな』と言い出したのです」

大学は本命、滑り止めと受験するだけでも相当な費用がかかる。予備校代も高額だ。「そんなお金を使うのはもったいない」と言うのだ。すでに内部進学の受け付けは終了していたので、残る道は指定校推薦しかなかったが、それまで一生懸命に勉強していた甲斐あって、すんなりと推薦を獲得。公立高校に通っていた次女も推薦でスムーズに進学した。

「実は主人が亡くなった際、子どもたちに最初に言ったのが『4人とも、ちゃんと大学までは出せるから。お金は心配しなくていいから』ということでした。『大学卒業後はひとりで生活できるような道を見つけなさい』ということも、もうそのときに伝えています」

夫の死は悲しい出来事だったが、子どもたちはお金の大切さや働くことの重要性を実感したようだ。

「就活中の長女は『パパがきちんとした会社で長く働いていてくれたおかげで、いまの私たちがあることがわかった』と言っています」

田島さん自身の老後は、遺族年金と自身が積み立てた個人年金を受給する見込みだ。夫の企業年金の受給終了後の生活に不安がないわけではないが、その頃には4人の子どもが全員立派に巣立っているに違いない。

「大学卒業後は面倒を見ない」と子に宣言

(ライター 向山 勇 撮影=岡村隆広)

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