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ぎっくり腰で安静にしていると治りが遅くなる

プレジデントオンライン / 2019年12月5日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/byryo

腰が痛い。でも医者に行っても治らない。どうしたらいいのだろうか。「プレジデント」(2019年11月15日号)では、全国から悩める患者が集まる福島県立医科大学の医師たちに対処法を聞いた。第2回は「ぎっくり腰」について――。(第2回/全6回)

■ぎっくり腰という診断名はない

急性腰痛といっても、あまりピンとこないでしょうが、「ぎっくり腰」ならおなじみでしょう。急性腰痛は、発症してからおおむね1カ月以内の腰痛の総称と、医学的には定義されます。ちなみにぎっくり腰という診断名はありませんが、日常では急性腰痛とぎっくり腰はおおむね同じ意味で使われているように思います。

急性腰痛の発症するメカニズムは、はっきりとはわかっていませんが、急性腰痛は椎間関節や椎間板の障害が原因です。また、骨盤を構成する仙骨と腸骨をつなぐ仙腸関節の異常も腰痛の原因となります。このほか、急性腰痛の原因として、筋肉や筋膜に由来するもの、神経障害に由来するもの、腰の部分に異常が全く見られない心因性と考えられるものもあります。つまり、急性腰痛の原因は、多岐にわたり、しかもこれらの異常はレントゲンやMRIといった一般的な画像検査ではとらえられないことが多いのです。

■次のサインがあればすぐに医療機関へ

再発するケースも多いという急性腰痛ですが、確実に予防する手立てがないのが現状です。しかし、現在までの研究からわかってきたこともあります。腰痛の危険因子として、肥満は腰痛発症のリスクが高いといわれていますが、標準より低体重な場合もリスクがあるといわれており、適切な体重管理が勧められます。

また喫煙や飲酒の習慣があると腰痛のリスクが高いという報告があります。さらに運動習慣がある人よりない人は腰痛のリスクが高く、運動は再発の抑制につながるといわれています。心理的な要因、例えば「どうせ治らない」といったマイナス思考は腰痛の経過に悪影響を与えます。総じて、腰痛の治療や予防には、健康的な生活習慣とストレスが少ない生活が勧められます。

急性腰痛は、1週間以内に自然に軽減してくる例が多く、1カ月から3カ月以内に70~90%の例で軽快、または消失することもわかっています。まずは消炎鎮痛剤で痛みを抑え、しばらく経過観察するのが、一般的な急性腰痛の治療です。この時点では、検査は必ずしも必要ではありません。1週間の通院治療なら、医療費は約3000円(自己負担が3割の場合)が目安でしょう。1カ月たっても腰痛が改善しないようなら、改めて詳しい検査をすればいいわけです。もし詳しい検査で体に異常が見られないのに、腰痛が長期間続いている場合、慢性腰痛となり、「認知行動療法」のような心理療法的なアプローチを試みることもあります。

また、急性腰痛は、痛みが治まるまで「絶対安静」にしていたほうがいいかというと、そうではなく、腰に重い負担をかけない範囲で、できる限り体を動かしているほうが、有用であることもわかっています。

大部分の急性腰痛は、重大な原因はなく、徐々に改善していきますので、例えば仕事ができる程度の痛みであれば、必ずしもすぐに病院を受診する必要はありません。一方で、病院を受診していただければ、薬物療法は有効ですので、痛みを軽くして日常生活を維持していく手助けになると思います。また、痛みによって日常生活に支障がある場合や図にある兆候が伴う場合は、まずは医療機関を受診しましょう。

(福島県立医科大学ふたば救急総合医療支援センター准教授 渡邉 和之 構成=野澤正毅)

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