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子供時代に"腰痛を放置"すると後々ヤバくなる

プレジデントオンライン / 2019年12月31日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Dean Mitchell

腰が痛い。でも医者に行っても治らない。どうしたらいいのだろうか。「プレジデント」(2019年11月15日号)では、全国から悩める患者が集まる福島県立医科大学の医師たちに対処法を聞いた。第6回は「腰椎分離症・分離すべり症」について――。(第6回/全6回)

■未治療だった腰が老化で痛み出す

腰椎分離症はスポーツをしている子ども(小中高校生)に多く見られる病気で、激しい運動により腰椎の関節突起間部といわれる部分に生じる疲労骨折です。腰のほか、お尻や太ももに痛みが出ることもあります。

一般的にスポーツによる腰の痛みは、軽症の場合には筋肉痛が多いですが、2週間以上腰痛が続いていたケースでは約半数が腰椎分離症であったというデータがあります。また、腰椎分離症の痛みは、右か左、どちらかの片側から生じ、その後、両側の痛みになったり、片側の痛みが治まったと思ったら、しばらくして反対側が痛くなったりするという経過が特徴です。従って、子どもの腰痛で①2週間以上腰痛が継続している②片側から痛みが始まった③スポーツをしている、という条件に当てはまる場合には、医療機関を受診して、腰椎分離症を確認することをお勧めします。

■骨はほとんどの場合くっつきます

腰椎分離症は、初期の軽いヒビのような段階であれば、コルセットで固定し練習を休めば、骨はほとんどの場合くっつきます。コルセットはいくつか種類がありますが、最も固定性が良い硬性のコルセットは4万~5万円くらいで作ることができます。保険がききますし、多くの自治体で子どもの医療費を助成していますので活用してください。

一方、分離症の治療をせずに放置すると痛みが継続し、最後には完全に折れて、骨が離れた状態となります。ただその場合、痛みがなくなることがほとんどです。事実、日本人の成人の約6%は腰椎分離症だといわれています。

しかし、成人になっても、腰椎分離症が腰痛の原因となる場合があります。それは、腰椎分離すべり症に進行していく場合です。骨が折れて離れているため、腰椎の前方の部分が前にずれてくるのです。すべり症が生じる危険性は、骨が完全に離れた終末期の分離症になったときの年齢が若ければ若いほど高いため、特に小学生ではしっかりと分離症を治療する必要があります。そして、40代以降で腰痛があり、子どもの頃にスポーツに打ち込んでいた方はすべり症の可能性があるため、医療機関の受診をお勧めします。

すべり症の具体的な症状は、腰痛や坐骨神経痛などの神経症状です。腰部脊柱管狭窄と似たような症状になることもあり、その場合は腰部脊柱管狭窄の治療に準じて段階的に治療を進めます。多くの患者さんは神経ブロック注射までの治療で症状が治まりますが、手術まで至る場合もあります。薬は1カ月分で1000円程度。神経ブロックは何種類かあり、一番高額なブロックで自己負担額は約5000円です。

手術は、脊椎固定術が基本です。患者自身の骨を移植して、骨を金属のネジで留めて痛みのある部分を固定することで、すべりの部分は大丈夫です。ただ、腰の骨は一カ所を固定すると、特にその一個上や一個下の骨に負担がかかりやすくなるため、5~10年後に半数近くの人が、程度の差はあるものの、ヘルニアや脊柱管狭窄などの問題が生じてきます(隣接椎間障害)。従って、固定術を受けてもそれで終わりではなく、病院と一生つき合う覚悟が必要です。固定術は高額で36万円ほどかかりますが、医療保険の高額療養費制度が利用できます。入院期間は10日前後です。

(福島県立医科大学医学部整形外科学講座講師 加藤 欽志 構成=田之上信)

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