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モンスター上司の被害を最小限にする唯一の策

プレジデントオンライン / 2019年12月3日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/CherriesJD

職場の雰囲気を悪くする「モンスター上司」には、どう向き合うべきなのか。ブロガーのフミコフミオ氏は、「善良なごくごく普通な人ほど、ポジティブに向き合おうとするが、そうすればメンタルを壊される。むりに向き合わず、拒否・拒絶したほうがいい」という――。

■上司ロシアンルーレットで“当たる”確率は高い

「モンスター上司」とは文字通り職場の怪物である。

モンスター上司の多くは上の人間に対しては従順であるので、被害者は部下となる。今回は特別にモンスター上司との付き合い方について僕の経験からお話をさせていただきたい。

モンスター上司には2種類ある。

ひとつは、部下の失敗に対して過度に怒鳴り散らしたり、自分の力を執拗に誇示したりすることで、その場にいる全員に精神的肉体的にプレッシャーをかけてくる「公害」のような、純度100%のモンスター上司。

もうひとつは、かかわった全員ではなく、ごくごく少数のあいだで「あの上司ってなんかヤバくない?」と陰口の対象になるような限定型ローカル・モンスター上司。

皆さんの職場にも、どちらかにあてはまるモンスター上司はいるのではないか。

どちらのタイプのモンスター上司であれ、マトモに対応している部下が精神的に削り取られる、という点では同じである。最悪の場合、メンタルをズタボロに破壊されてしまう。

厳しいのは、親が選べないのと同じように上司も選べないということ。完全に運だ。酷い親に当たるのは原則一回であるが、モンスター上司に当たる回数に上限がないのが、なおさらツラい。運が悪い人は何回でも当たってしまうだろう。

そのうえ残念ながら、上司ロシアンルーレットでモンスター上司を引く確率はそれほど低くない。しかも、モンスター上司は人里に降りてきたクマのようには撃退できない。モンスター上司をモンスター足らしめているのは、彼らを撃退することが、ほぼ不可能だからである。

■「間違っているのは自分の方ではないか」という考えはダメ

テレビドラマ『半沢直樹』のように、彼らと真っ向から戦うのは創作の世界だけにとどめたほうがいい。分が悪すぎるからだ。現実的な方法を考えよう。そこで今日は、モンスター上司に現実的にどう対応するか、僕が20年強の会社員生活を通じて体得した心構えをご紹介したい。

モンスター上司への対応でもっともよろしくないのは、彼らを(ポジティブに)受け入れてしまうこと。

激しい叱責を受けていると、勢いに押されて、「間違っているのは自分の方ではないか」と疑心暗鬼となり、「モンスター上司の話を聞いてみよう」というスタンスになってしまう。

実際、そういう対応をしているケースは非常に多い。それがモンスター上司を、昭和と平成というふたつの時代で延命させてきたのだ。時代は令和。そろそろ新しい時代にふさわしい職場環境をつくっていこうではないか。

■モンスター上司の存在に意味を見出してしまう人々

なぜ、ネガティブな要素しかないモンスター上司をポジティブに受け入れてしまうのか。

「あんなトンデモ人間が上司になったのは、神様が私に試練を与えているにちがいない。この試練の先にある光り輝く世界を見るために、苦行を乗り越えていこう」という上司受難説。

「道端の石にも価値があるように、ヤバい上司にも存在価値がある。そう。それは反面教師という意味、価値。私は彼を反面教師にして何かを得ていきたい。人生に活かしたい。人生に無駄なことはないのだ」という上司反面教師説。

モンスター上司をポジティブに受け入れる姿勢はこの二つの説に拠る。このようなスタンスからモンスター上司を受け入れ、結果的にメンタルをやられてしまうのだ。残念ながら、人を疑うことを知らない、善良なごくごく普通な人間がこういう事態に陥りやすい。

この絶望的状況から脱するのはどうすればいいか。実は超簡単。モンスター上司を拒否・拒絶するのだ。頼まれた仕事を断ったり、露骨に無視を決め込むような露骨な拒否・拒絶ではなく(それはいい結果をもたらさない)、うまく避けるようにするのだ。

モンスター上司が自分にとって無価値・無意味だと確認していく。

まずは「なんで上司がモンスターなんだよ……」という絶望的な諦めから「ヤバい人間がたまたま一時的に自分の目の前にいるにすぎない」と諦めを軽いものへシフトしていき、そこから一歩進んで「無価値・無意味な存在からは何も得るものはない」と確認するのだ。

■大事なのは最後まで自分自身を疑わないこと

現実的に、モンスター上司からの干渉はなくならないので、対応していかなければならない。そういうときは「汚物処理マインド」を持って対応することを推奨したい。

仮にあなたが飲食店の従業員として考えてみよう。お酒も出す店だ。ときどき悪酔いして吐いてしまう客もいる。あなたはビニール手袋をはめて汚物を処理することになる。そのときの気の持ちようが「汚物処理マインド」である。

ほとんどの人が「手袋をはめていて直接は触れないから衛生的にはオッケーだけれども、やっぱり汚いよな。汚いものは早く片づけよう」と思いながら粛々と作業を進めるはずだ。汚物処理から何かを得ようとは思わない。

モンスター上司はただの汚物。「汚物処理マインド」をもって、汚いものはさっさと適当に片づけるようにしよう。モンスター上司からメンタルを守るうえで一番重要なことは、自分を信じて、最後まで自分自身を疑わないことなのだ。

■モンスター上司は反抗されると動揺する

僕は10年以上、モンスター上司の下で働いた。当初から、「この上司はおかしいのでは?」と感じていたが、その感覚を押し殺し、「これも何かの縁」とポジティブに考えて働いたことを今でも後悔している。理不尽な扱いも僕を思ってのことと捉えて耐えてしまった。

フミコフミオ『ぼくは会社員という生き方に絶望はしていない。ただ、今の職場にずっと……と考えると胃に穴があきそうになる。』(KADOKAWA)

その結果、心身は疲れ果て、今でも胃薬は手放せない。

そんな僕を救ったのは、「汚物処理マインド」である。世の中には学ぶべきものがないどうしようもないモンスター上司がいると悟ったあとは、心が軽くなった。モンスター上司対応は「めんどくさいけれど、早いうちにすませてしまおう」という、トイレを掃除しているような気分ですませた。

そして、多少の余裕ができた僕は上司にときどき反抗もした。モンスター上司は部下の反抗になれていないので、「な、なんだよ! しょうがねえ奴だな」と動揺を隠せないようであった。そうやって時々揺さぶりをかけてみることも、相手によっては有効だろう。

僕は、汚物処理マインドという武器ひとつでモンスター上司と10年以上も戦ってきた。今は職場も変わって快適な環境で働いている。幸せではあるが、モンスター上司がいないぶん、物足りなさを感じてしまってもいる。

皆さんには、モンスター上司と出会ってしまったら汚物処理マインドで受け流してもらいたいが、くれぐれも、僕のようにモンスター上司慣れはしないように気を付けてもらいたい。

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フミコ フミオ ブロガー
1974年2月、神奈川県生まれ。神奈川の湘南爆走族エリアに生息する中間管理職。「はてなブログ」の前身である「はてなダイアリー」で2003年からブログを始め、今では月間100万PVを誇る会社員ブロガー。独特な文章でサラリーマンの気持ちを代弁。ツイッター:@Delete_All ブログ

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(ブロガー フミコ フミオ)

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