働く女性向け"不妊外来"を見抜く4つの基準
プレジデントオンライン / 2019年12月7日 11時15分
■1.病院の規模
「子どもを持ちたい」という大きな願いを託すことになる、不妊治療クリニック。病院選びで失敗したくない、というのは、治療のスタートラインに立つ人に共通する思いでしょう。しかし、不妊治療クリニックを選ぶポイントとなると、さて何を基準にしたらいいのか、と戸惑ってしまう人も少なくないはず。
月花さんが、最初のチェックポイントとして挙げるのは施設の規模です。
「医師が何人も在籍している大規模なクリニックと、院長先生が1人で診察をする個人経営のクリニックとでは、患者さんが受ける印象も大きく違うものです。
大きなクリニックでは、たとえば毎回診察する医師が異なるなど、システマチックな傾向。淡々と治療に臨めてストレスが少ない、と感じる方もいれば、事務的で冷たいと感じる方もいるでしょう。同じ先生に継続して診てもらいたい、と考える人には、ストレスが大きいかもしれません」
■2.夜間診療や休日診療の有無
診療時間、休日の対応、また2人目以降の妊活をしている方にとっては欠かせない託児施設の有無なども、病院によって違いがあります。
「出勤前の朝早めの時間、仕事が終わったあとの夜間に診察を受けられるかどうか、も仕事との両立をはかる上では大切なポイントですね。医師が多い大きなクリニックのほうが診療時間が長く、時間の融通がきく傾向にあります。私が勤務するクリニックでも、夕方18時以降がもっとも予約が多いですね。朝いちばんや、来れる時間に来て採血を受け、夜にもう一度来院して治療方針を決める、という方もいらっしゃいます」
不妊治療は、その性格上、診察の日にちがピンポイントで決まることも多いものです。とくに採卵前の注射や採卵などは、医師がタイミングを見極めた日に必ず受診をする必要があります。早朝や夜間などの対応をしている病院ならば、仕事への影響を最小限にすることができるでしょう。
■3.治療方針と通院回数
「タイミング法や人工授精などの一般不妊治療は、どこの施設でも治療内容に大きな違いはありません。けれど、高度生殖医療である体外受精となると、それぞれの施設ごとに特色が出てきます」
この特色は、通院の回数にも大きく関係があるといいます。
「卵胞を育てるための刺激方法ひとつとっても、さまざまな種類があります。薬や注射を使わない自然周期法、内服薬などを使う低刺激法、注射を使ってたくさんの卵子を採卵することをめざす高刺激法など。どの治療法を選ぶかで、使用する薬の種類や通院回数なども変わります」
薬を使わない自然周期は通院回数が少ない傾向にあるそう。ただ、高刺激法であっても、最近は自宅で打てる自己注射も普及し、通院回数を抑えることもできるようになっています。
「医師は、検査結果と照らし合わせながら、刺激法を選択していきます。ただ、クリニックよっては、『自然周期専門』『高刺激をメイン』といったように、明確な治療方針を打ち出しているところもあります。
クリニック選びの時点で、どの刺激法が自分に合うかを患者さん本人が判断することは難しいですよね。まずは、診療時間や病院規模、アクセスなどの観点から病院を選ぶのがよいのかな、と私は思います。初回の体外受精のレベルは、クリニックごとに大きな差異はないと考えます。数回、体外受精を実施してみて、もっと別の治療も試したい、別の選択肢を提案してほしいとなったら転院を検討する、というのもアリですよ」
■4.医師との相性
1周期に4〜5回、多いときには10回以上も通うことになる不妊治療。医師との相性も重要なポイントです。
「深い専門的知識や技術力の高さもさることながら、医師との相性も患者さんにとっては大事ですね。バシッと治療方針を決めてほしいという人もいれば、希望を聞きながら治療プランを立ててくれる医師がいい、という人もいるでしょう。妊活はストレスの大敵、と言われます。病院の雰囲気や医師の人柄を見るには、説明会への参加がおすすめです。
また、治療の進め方や結果について、疑問や不安があれば積極的に質問を。医師に聞きづらい場合は、看護師やカウンセラーなどに相談することもできます。費用のこと、スケジュールのこと、刺激法のこと、ひとりで抱え込まずにプロに話してみてほしいですね」
治療の最中は、「いつ妊娠できるんだろう」とゴールが見えない不安にさいなまれることもあるでしょう。そんなときに支えとなるのは、医師との信頼関係です。医師やクリニックとの関係を築いていくために、疑問や不安をそのままにしないという積極的な姿勢を持つことも心がけたいポイント。治療内容をきちんと把握し、納得して進むことが、治療の質を高めるためにも大切です。
(日本産科婦人科学会産婦人科専門医 月花 瑶子 写真=iStock.com)
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