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「一生お金に困らない」たったひとつの生き方

プレジデントオンライン / 2019年12月11日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/SARINYAPINNGAM

長期休みには、海外旅行へ行きたい。子どもが大きくなってきたから、子供部屋のある大きい家に引っ越したい。駅から遠くて不便だから車がほしい。食費や家賃などの日々の生活費に加え、願望をかなえるにはお金がかかる。MBA・法務博士であるアンドリュー・O・スミス氏は、「お金を使う場面でどういう決断をするかで、お金に苦労する人生を送るかどうかが決まる」という――。(第1回/全2回)

※本稿はアンドリュー・O・スミス『アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

■欲しいものを手に入れるには

買いたいもの、行きたい場所、やりたいことのリストを作ろうと言われたら、10項目や20項目ぐらいはすぐに思いつくだろう。ほしいものを考えるのは簡単だ。しかし、それを手に入れる具体的な方法となると、そんなにすぐには思いつかない。ここで、次の質問について考えてみよう。

あなたは高校生で、ダンスパーティに着ていくために新しいドレスを買いたいと思っている。そのお金はどうしよう?

あなたは大学生で、卒業後に友達とキャンプ旅行に行きたいと思っている。費用はどれくらいなのか? そのお金をどうするのか? あなたは社会人になりたてだ。まだ両親の家に暮らしているが、そろそろアパートを借りてひとり暮らしがしたくなった。ひとり暮らしには何が必要なのだろう?

何かほしいものがあるのなら、「お金についての計画を立てる」ことが役に立つ。人生ではお金についての計画が必要になる状況がたくさんあり、あなたもこれから実際に経験していくことになるだろう。ここであげたみっつの例よりもずっと複雑な状況だ。たとえば、家を買う、子どもを育てる、転職する――どれも大きな決断であり、人生とお金に大きな影響を与える。

■自分のお金の面倒を見るのは自分しかいない

将来のプランを立てるのが苦手な人もいる。目の前のことしか考えられず、将来のことはどうにかなるだろうというタイプだ。未来のことなんてわからないのだから、どうせ変更になる計画を立ててもしょうがないだろう――。たしかにその通りかもしれないが、だからといってお金の計画を立ててはいけないとはならない。

この世の中で生きていくにはお金が必要だ。必要なものを手に入れるのにもお金が必要で、安全に暮らすのにもお金が必要だ。心の健康でさえ、お金が必要かもしれない。

もちろんこれは、「お金がすべて」という意味ではない。昔から「幸せはお金では買えない」と言われているが、まさにその通りだ。とはいえ、お金がないと、しなくてもいい苦労をすることになってしまう。

お金の計画とは、「自分がお金を使って何をしたいか」ということだ。大きな夢をかなえるためにも、日々の生活で必要なものを買うためにも、お金にまつわる計画を立てておくと大いに助かることになる。

お金の計画を「可視化」する

お金の計画とは、人生の中でお金に関する要素をピックアップし、具体的な戦略を立てることだ。

お金の計画は、できれば紙に書いたほうがいいだろう。目に見える形にすることで、自分にとって本当に必要なものがはっきりするからだ。そして最後に、お金の計画とは一度決めれば終わりというものではなく、ずっと続くプロセスだ。お金について考え、お金をやりくりしていく過程で、あなたに合った計画ができあがってくる。

■必要な要素は「4つ」だけ

詳しい計画を立てるにしても、ざっくりした計画でも、たいてい次のような要素がお金の計画には含まれている。

支出
今のライフスタイルを維持するのに、どれくらいのお金がかかるだろうか? この先、必要なお金は増えるだろうか? それとも減るだろうか? 多くの人は毎月の予算を決め、自分が何にいくら使ったのか把握している。
収入
まだ実家で暮らしている学生であっても、何らかの収入はあるはずだ。それは親からもらうお小遣いかもしれないし、アルバイトで稼いだお金かもしれない。それに加えて、何らかの所有物(自転車など)も、売ればお金になるので収入の一部と考えることもできる。仕事をするのも、キャリアを築くのも、その主な目的は「収入を得ること」だ。
貯金
収入の一部を貯金に回すのは大切なことだ。貯金をしなければならない理由はたくさんあり、そして貯金をする方法もたくさんある。どれくらい貯金があるか、貯金の習慣ができているかどうかということは、お金の計画を立てるうえで大きな要素になる。
借金
クレジットカード、住宅ローン、奨学金……。それぞれ形は違うが、すべて借金だ。何のために借金をするのか、いくら借りるのか、どんな条件で借りるのかといったことも、すべてお金の計画の要素になる。

万が一に備えて保険に入る。医療保険、火災保険、地震保険、生命保険などに入っていれば、もしものときも安心だ。年配の人であれば、遺言、信託、その他の法的文書などで万が一に備えることも多い。

■自分の資産状況は簡単に把握できる

自分の資産状況はどうやって把握すればいいのだろうか。その方法のひとつは、「個人のバランスシート」を作ることだ。いちばん簡単なバランスシートの作り方を紹介しよう。次の(図表1)を見て欲しい。

まず紙を1枚用意して、真ん中に縦に線を引く。左側に自分が所有するものをすべて書き、それぞれの価格も書いて、合計する。そして右側には借りているものをすべて書き、ここでもそれぞれの価格を書いて合計する。そして紙のいちばん下に、資産の合計から負債の合計を引いた額を書く。これがあなたの「純資産」だ。

あなたがまだ10代なら、バランスシートの内容もシンプルだろう。持っているものも、借りているものもまだ少ないからだ。資産の欄に入るのは携帯電話と洋服ぐらいで、あとは銀行預金を持っている人もいるかもしれない。資産の合計はだいたい1000ドルぐらいだ。そして兄への借金が25ドルなら、純資産は975ドルということになる。

しかし、大人になるにつれて資産状況はもっと複雑になり、持っているものも借りているものも多くなる。(図表1)は、大学を出て5年たった架空の27歳のバランスシートだ。

この人物が仕事を続け、奨学金の返済と貯金を進めれば、それにつれて純資産も増えていく。

■“手段”と“目的”の混同は危険

定期的に自分の純資産を計算することは、自分の資産状況を把握するひとつの方法になる。しかし、言うまでもないことだが、純資産があなたの価値のすべてではない。人としての価値は、数字で表すことはできない。

お金はたしかに大切だが、他のすべてを犠牲にして追い求めるのは間違っている。

経済基盤がしっかりしていれば、いい人生を送る足がかりになるだろう。しかし、あくまでひとつのお金は手段であって目的ではないということは、絶対に忘れないで欲しい。

■社会に何かを還元する意義

慈善活動やボランティアを人生の目標のひとつにする人はたくさんいる。あなたはもしかしたら、すでにそういった活動に関わっているかもしれない。高校などでボランティア活動が課題に入っていたという人もいるだろう。大学でも、地元の恵まれない人のために働くボランティア活動を学生に紹介しているところがある。

被災地での救援活動、献血などのために缶詰食品を集める、炊き出しに参加する、ホームレスのシェルターで働く、老人ホームの慰問など、自分の力を社会に還元する方法や、恵まれない人たちを助ける方法はたくさんある。そして、与えることができるのは、自分の時間や労力だけではない。お金を差し出すのも立派な慈善活動だ。

社会に還元することはなぜ必要なのか。慈善活動や寄付の大きな利点のひとつは、いい気分になれることだ。他人を助けるのはとても満足感の大きい行為であり、自分が誰かの役に立っていると感じることができる。

この本を読んでいる若い人たちなら、おそらくお金よりも、時間やエネルギーのほうがたくさんあるだろう。そのため当面のところは、お金を寄付することよりも、体を動かす慈善活動になるかもしれない。

それでも、少額でもかまわないので、赤十字などの困っている人や恵まれない人を助ける団体に、若いうちから寄付をする習慣を身につけておいてもらいたい。年齢を重ねて収入が増えれば、寄付金の額を増やし、人々の人生にさらに大きな影響を与えることができる。慈善活動は人のためになれるということ、それ自体が見返りだ。

■バランスのとれた人生を送るために

お金がないとたしかに大変だ。とはいえ、お金が中心の人生を送るのも間違っている。

アンドリュー・O・スミス『アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書』(SBクリエイティブ)

今から100年前、アメリカ人の大部分は、現代の貧困ラインより下の暮らしをしていた。それに、水洗トイレや冷蔵庫といった便利なものも存在しなかった。生活はきつかったが、それでも人々は家族の絆に守られ、友人やご近所のコミュニティに参加し、意義深く充実した人生を送っていた。個人を超えた、より崇高なものを信じていたのだ。

私がこの本を書いたのは、あなたがお金と賢くつきあい、たくさんの人生の目標を達成する手助けをするためだ。とはいえ、本当に大切なのは喜びと幸せに満ちた意義深い人生を送ることであり、お金はその手段でしかない。

お金はたしかに大切だが、他のすべてを犠牲にしてまで追い求めるのは間違っている。

経済基盤がしっかりしていれば、いい人生を送る足がかりになるだろう。しかし、お金は手段であって目的ではないということは、絶対に忘れないでもらいたい。

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アンドリュー・O・スミス MBA・法務博士
メイン州バス出身。学生時代からお金、投資、資金計画に関するアドバイスを行い、ペンシルベニア投資同盟(アメリカでもっとも早い時期に設立された大学投資クラブのひとつ)の設立に関わる。受託者、ファイナンシャルアドバイザー、弁護士として、信託基金、遺産、投資パートナーシップ、有限会社、保険信託、不動産パートナーシップ、個人資産の管理の相談に乗る。現在は特殊化学品メーカーのイェルキン・マジェスティック・ペイントで最高執行責任者を務める。

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(MBA・法務博士 アンドリュー・O・スミス)

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