贈り物のセンスがいい人はSNSを熟読している
プレジデントオンライン / 2019年12月11日 9時15分
※本稿は、美崎栄一郎『脱ムダ、損、残念! 今度こそ、やめる技術』(あさ出版)の一部を再編集したものです。
■食事は「好きなもの」をリサーチするチャンス
突然のサプライズ。このとき、自分の好きなものをプレゼントされると嬉(うれ)しいものです。反対にプレゼントするときは相手の好きなものをプレゼントしたいと思うでしょう。しかし、なかなかどうして難しい。
それは、相手の好きなものをちゃんと覚えていないからです。
とはいえ、知り合いの数だけ好きなものを覚えておくことは簡単ではありません。だから、記録しておくことが大切です。それもさりげなく。
たとえば、みんなでごはんを食べに行ったとき、すかさず、みんなの注文を聞く役を買って出るのです。
「カレー好きなんだ、俺。カレー風味の揚げもの3つ」
「アルゼンチン風牛カツ美味(おい)しいよね、あと赤ワインも注文!」
これをすべてメモしておきます。注文はメモを見ながら店員さんに言えばOK。これによって、すごく大事なデータをとることができます。皆の好きなものの記録を手に入れられたわけですから。
そして、後日のデートでは美味しいカレー屋さんに連れて行けば、ポイントアップ。昇進したときには、アルゼンチン風牛カツで有名なお店でお祝い。相手は、すっかり驚き、感動します。なぜならしゃべったことを覚えていません。無意識に好きなものを選んで、注文しただけですから。このメニューの記録は意外と使えます。
■SNSの投稿で好みを把握することもできる
ごはんを一緒に食べる機会がない場合は、他の人にその相手にどんなプレゼントをあげたか聞いてみることです。もしくは、その人から自分がもらったものを思い出してみるといいでしょう。
花をプレゼントしてくれたのであれば、その人は花が好きな人だということですから花をプレゼントする。甘いお菓子のお土産をくれた人には、甘いものでお返しする。本をプレゼントしてくれた人には、感動的な本のプレゼント。
私は、人からもらったものを写真に撮って残しています。「覚えておくのは無理」とあきらめて、スマホで写真を撮り、その写メをつけてお礼のメールをしておけば、あとで自分の出したメールを検索すればすぐに見つかります。
その人からプレゼントをもらったことがなければ、その人が普段大事にしていることを思い出してください。SNSなどをしている人であれば、過去の投稿をさかのぼってみることで、その人の好みが見えてくるはずです。食べ物にこだわっている人なのか、知識欲が旺盛な人なのか、旅行が好きなのか。
それがわかったら、その人に好みの近い友達に、聞いてみましょう。餅は餅屋。きっといいアイデアをもらえるはずです。相手のために贈るプレゼント、相手の好きなものをピンポイントで贈ることができれば、きっと喜んでくれます。
こつこつ記録していきましょう。
■「苦手な人」とうまく話せたら自分にご褒美
好きなものや好きな人とだけ付き合っていければ理想ですが、現実はそうはいきません。職場や取引先、コミュニティなど、生きていくうえでは、どこかの場面で「苦手な人」がいるものです。こうした苦手な人とは、どのように付き合っていけばいいのでしょうか。
実は苦手な人と接している時間は、それほど長くはないものです。どれくらいその人と接しているか、一度時間を計ってみるといいでしょう。1日5分かもしれないし、10分かもしれません。
おすすめなのは、自分にご褒美を用意することです。小さなご褒美でかまいません。
たとえば、普段は高くてなかなか食べられない美味しいお菓子を1つ、合わない人と話したら食べていいことにします。合わない人と話したときだけ、あの通販で取り寄せたお菓子や、行列で並んだ銘菓とかを食べたり、好きな漫画本を読んだりしていいことにするのです。そう考えると、意外と話せるものです。
しかも苦手な人が多いだけお楽しみも増えるわけです。常にいいこととセットになるので、気がつくと、苦手ではなくなっていることもあります。
■間に誰かをはさんで苦手を「加工」してしまおう
もう1つの方法は、自分だけでなんとかしようとしないこと。
友達と食事に行って、苦手な食べ物が出てきたらどうするでしょうか。残すのも1つの選択肢ですが、友達がその食べ物が好きなのであれば、食べてもらうのもいいでしょう。実は、「苦手なあの人」についても、同じ考え方をすればよいのです。
合わないならば、合う誰かに預けてしまうのです。
「苦手なあの人」に合う人を探して、任せてしまいましょう。嫌いな食べ物と同じです。そして、組み合わせを変えてしまうのです。
牛乳は嫌いでも、シチューなら食べられる人がいます。牛乳は嫌いでも、チーズは大丈夫という人もいます。牛乳は嫌いでも、ヨーグルトなら大好きな人だっていう人もいます。同じように苦手な人を、間に誰かをはさむことで「加工」してしまうのです。
1対1の人間関係では合わなくても、間に別の誰かが入ることで、苦手だと感じていた人が自分には見せなかった顔を見せるかもしれません。そのような一面を見ることで、こちらの印象が変わってくるかもしれません。
相手も同じです。あなたの別な一面を見ることで、親近感を抱いてくる可能性だってあります。また直接は言いにくいことも、その人を介して伝えていくことで、徐々にコミュニケーションもとれていくでしょう。
自分とその人をつなぐ触媒になる人がきっといます。そうした人を見つけられれば、苦手なものが食べられるように、苦手な相手とも付き合っていくことができるのです。
■商売でもないのに見返りを期待してはいけない
大人になると、人に何かをしてあげるような機会が増えます。単純にものをプレゼントするだけでなく、仕事を代わってあげるなどもあるでしょう。
このとき相手のためを思ってしてあげたはずなのに、心のどこかで見返りを期待しているときってないでしょうか。
ですが、これは精神衛生上、とてもよくありません。
見返りがなかったり、あるいは自分の思っていた見返りと違っていたりするとストレスがたまります。しかも、もともとは善意でしてあげたことは自覚しているから、「そのかわりに」などということは言いづらい。
そうしたことが続いているともやもやした気持ちが増幅して、相手に対してネガティブな感情も持ち、最悪、人間関係を壊しかねません。
これが善意ではなく、商売であれば話は別です。チョコレートを渡して、100円というリターンがある。あめ玉を渡して、50円相当のもので返ってくる。経済では、ものには対価があるのは当たり前です。
ですから、商売であれば、何かお返し(=リターン)を期待します。渡したものに対して、大きなリターンが得られるように計画するのです。そのための作戦を考えるのが商売の醍醐味です。
しかし、商売とは関係のない人間関係の話であれば、相手からのお返しを期待するのはとても危険なことです。
■「義理のプレゼント」は思い切って廃止する
商売でないのなら、お返しは一切期待してはいけません。出張先で買ってきたお土産もクリスマスプレゼントも、商売のためではないはず。純粋に、お礼や感謝の気持ち、善意で贈ったものだということを思い出しましょう。
自分がプレゼントをしたいから、しているだけ。困っている人を手伝いたいから、手伝っているだけ。相手が喜んでくれればそれに越したことはありませんが、ポジティブな反応すら期待せず行動するくらいでちょうどいいのかもしれません。
そのようにして相手の反応を気にせず続けていけば、純粋な気持ちで人のために行動できるようになるはずです。
誰かのために何かをしてあげたいと思うとき、それが自分がやりたくてやることなのか、リターンがほしいからやりたいことなのか、心の声に耳を澄ませてみましょう。もちろん現実には、その中間のようなケースもあるでしょう。義理やお付き合いですることも大人の世界ではよくあることです。
しかし、義理で贈ると、見返りを期待するような打算をしてしまいます。義理で贈られた方も、返さないと気まずいので、プレゼントの価格を考えたりしながら、お返しを考えなければならず、ポジティブな連鎖とは言えないでしょう。
ですから、思い切って義理のプレゼントは一切廃止にしてしまいましょう。見返りを求めるくらいなら、最初からしない方が気持ちよく付き合えます。
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経営・商品開発コンサルタント、ビジネス書作家、講演家
花王株式会社で商品開発のプロジェクトリーダーや他社とのコラボレーションを推進。現在は独立し、経営・商品開発コンサルタント、ビジネス書作家、講演家。働き方に関するアドバイスには定評があり、とくに悪習慣をやめられない人に対し、自身で実践して効果のあった方法を伝える講演等は高い評価を得ている。執筆活動では『iPadバカ タブレットにとり憑かれた男の究極の活用術』(アスコム)をはじめ、『快速エクセル 会社では学べない一生モノの時短術(できるビジネス)』(インプレス)などヒット作が多数ある。
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(経営・商品開発コンサルタント、ビジネス書作家、講演家 美崎 栄一郎)
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