真冬に下半身を冷やすとなぜ老化が進むのか
プレジデントオンライン / 2020年1月2日 9時15分
■新年のスタートは、内臓疲れを癒やすことから
1月6日~1月19日は小寒(しょうかん)で、冬至が過ぎて寒さが次第に厳しくなる頃です。小寒の節に入ることを「寒の入り」といい、立春までの1カ月が寒の内です。
1月7日には、春の七草である、セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロを入れた七草がゆを食べ、新しい年の健康を祈ります。春の七草は、お正月に無理をさせた内臓、特に胃腸を休ませる意味があるとも言われています。新年のスタートでもあるこの時期は、まず内臓の疲れを癒やし、カラダに新鮮なエネルギーを送れるように調整しましょう。
一年の中でもっとも寒いこの季節は「寒」といいます。「小寒の氷、大寒に解く」と言われるように、小寒が一番寒い時期といえるでしょう。寒い夜は空気も澄みきっており、星がきれいに見えるのもこの時期の特徴です。
季節のはじまりの初候は、五節句の1つにあたる1月7日の「人日(じんじつ)」に健康を祝って春の七草の入った七草がゆをいただくことからはじまり、松飾りを外して年神様を天に送る「どんど焼き」が行われます。
季節が進む次候では、春菊、氷下魚(コマイ)が旬を迎え、十日戎(とおかえびす)で商売繁盛を願うとともに、11日には鏡開きを行います。
季節の終わりである末候には、カブやアンコウが旬を迎え、雄のキジがメスを求めて甲高い声で鳴く声を聞き、淡い黄色の蝋梅(ろうばい)の花がいくつも咲き、少しずつ春が近づいていることを教えてくれます。
■季節の冷えと、内臓の冷えでカラダはピンチに!?
この時期は、暴飲暴食によっても内臓機能が低下し、内臓の冷えが起こります。そこに、小寒という季節の冷えが重なることで下腹部、さらには下肢全体(足)が冷えてしまいます。特に下腹部や下半身は腸・腎臓・膀胱・子宮・卵巣などの臓器と関連が深いことから、単純な泌尿器や生殖器のトラブルだけでなく、ホルモン分泌が乱れやすくなるため、老化が進むと考えられています。そのため、冷えが強い人は、食習慣を整えるとともに、下腹部や足も温めるように心がけましょう。
新年に入り、新たな気持ちで頑張ろうと誓ったことでしょう。しかし、忙しい日々の中で、確実に時間は経過しています。新年に誓った新たな思いが三日坊主にならないように、ここで今一度、気持ちを引き締めなければいけません。この時期はとても寒いことから、何をするにも億劫(おっくう)になりがち。新年に決めた思いを最後まで貫きましょう
■ツボ押しと熱になる食材で、カラダを内側から温める
「カラダとココロの養生法」
この時期はカラダ、特に手足を温めることが大切です。足を温める方法としては、手足の血液循環を改善する「指もみ」がいいでしょう。ツメの生え際あたりを心地よい程度に5秒くらい圧迫した後、3秒ほど休憩してまた5秒ほど圧迫する。このような指もみを毎日各指10回ほど行いましょう。また、普段から1日30分程度の散歩を行うことは、全身の筋力や循環を改善するには効果的。もし、運動ができない場合は、手指足指の「グーパー」運動や、つま先立ち運動などを行うようにし、下肢の血液循環や筋肉の維持に努めましょう。
また、おヘソの真裏で背骨のライン上にある「命門(めいもん)」、首の後ろの一番出っ張った骨より2つ下の骨から指2本分外側にある「風門(ふうもん)」、足裏の真ん中よりやや指側で、足の指をキュッと曲げると一番へこむ場所にある「湧泉(ゆうせん)」といったツボは、カラダの中心を温めてくれるツボです。お灸やカイロなどを貼り、温めるようにしましょう。
「食養生」
この季節の旬は豚肉です。豚肉はカラダを温める作用があるとともに、ビタミンB1も豊富で、滋養強壮、免疫力アップに効果的です。また、東洋医学では冬の季節と関連が深い腎(じん)に属す食べ物で、冬に向いている食材と考えられています。
また、春菊もこの季節に重要な食べ物です。甘味と辛味を兼ね備えた涼性の食べ物で、ストレスの軽減効果とともに、腫れものを抑え、痰(たん)を切る作用があることから、風邪気味時に効果的な食材です。
「お勧めのツボ」
小寒を乗りきるためのお勧めのツボは照海(しょうかい)です(図表1)。照海は内くるぶしの真下にあり、押すと痛みを感じるくぼみの部分です。このツボは、元気を高め、カラダを温めてくれるだけでなく、耳鳴りやめまい、頭痛にも効果的です。イタ気持ちいい程度に10秒程圧迫し、5秒空けて5回程度刺激するようにしましょう。なお、足の内くるぶしあたりを触って冷たい場合は、ドライヤーで温めたり、お灸を行うのがお勧めです。
■年代別・症状別、「冷え」の対処法を知ろう
【タイプ別:お腹が冷える原因と対処法】
東洋医学では冬はカラダが冷える時期で、カラダを温めることが必要とされています。特に、お腹の周りには大切な臓器が集中しているため、お腹を温めることで内臓機能を高め、全身の熱産生を上げるようにしましょう。なお、冷えといっても、年代により冷え方が大きく異なります。大まかには20~30代はストレス中心のストレス冷えですが、40~50代は内臓機能の低下による内臓冷え、さらに60代以降は筋肉量の低下に伴う老化冷えです。これは年代よりも個人のライフスタイルに依存しているため、自分のタイプを知ることが大切です。
一生懸命頑張りすぎている頑張り屋さんタイプの人は、寒さやストレスで交感神経が亢進(こうしん)しているため、手足の末梢(まっしょう)血管が収縮することで血流が中心に集まり、冷えを起こしていると思われます。対処法は、手足を温め、全身の循環を良くすること。まずは、手足の温浴を行ってみましょう。温浴は、洗面器(両手首や足首まで十分に入るもの)に、普通の入浴温度よりやや熱めのお湯(40~42度)を用意し、10~15分程、手または足を浸します。気持ちが落ち込みやすい場合やストレスが強い場合は、ラベンダーや柑橘系のアロマエッセンスオイルを、お湯に入れることも効果的です。また、時間がないときは手首周辺や足首周辺を温めるためのリストバンドやレッグウォーマーなどを利用するのも有効です。
生活リズムの乱れが原因の生活習慣タイプの人は、冷たいものやカラダを冷やすものを食べすぎることで、内臓の冷えや内臓機能の低下が引き起こされています。そのため、内側からカラダを温める食習慣が大切となります。
これまでは、カラダを温めるには冬に旬を迎える根菜類や色の濃いものを紹介してきましたが、今回は飲み物について考えてみます。まず、ホットココアは、ココアに含まれている「テオブロミン」という成分が、手足の末梢血管を広げる働きがあります。また、紅茶やほうじ茶は、茶葉を発酵させてつくられている発酵食品でもあるため、飲むことでお腹の調子を整え、内臓機能を回復する働きがあります。なお、紅茶の中にはカラダを冷やすカフェインを多く含むものがあるため、注意が必要です。甘酒や味噌(みそ)汁も麹(こうじ)や味噌などの発酵食品を利用していることから、飲み物ではありませんがカラダを温める作用があります。
年齢による加齢タイプは、全身の筋肉量が低下しており、熱産生能力が低下しています。運動で筋肉量を増やし、熱産生をアップさせることが大切です。
腰やお腹の筋肉が弱っているため、腰周りだけでなく肩回りの筋肉も動かしましょう(図表2)。特に肩甲骨の周りには褐色脂肪細胞と呼ばれる脂肪を燃焼し、熱を産生する筋肉が存在しています。肩や腰を回して、熱産生を促進しましょう。なお、いずれの運動も1セット10回程度とし、合計1日3セット程行います。
なお、自分のカラダのタイプに関しては、カラダの状態を入れるだけで簡単にわかる無料アプリYOMOGIを利用すると便利です。月に1回(毎月10日まで)入力すると、あなたに合ったその月の養生法が送られてきます。
小寒は冬の寒さが厳しい時期です。しかし、カラダの冷えは外気温の影響だけでなく、内臓の冷えが関係している可能性もあります。まずは食生活を整え、お腹の健康を保つことで、カラダの中から温めてみましょう。
「小寒の特徴」
●心身の症状
カラダ:カラダ(下腹部・下半身)が冷えやすい
ココロ:やる気や気力がない、億劫に感じる
●季節に多い症状
お腹・下半身の冷え
●心身の養生法
ツメもみ、手足の運動、お腹・背中・足裏のお灸
●食養生に効く食材
豚肉・春菊
●ツボ
照海(しょうかい)
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明治国際医療大学大学院/養生学寄付講座教授
鍼灸学医学博士・全日本鍼灸学会理事。同大学附属鍼灸センター長。トリガーポイント鍼治療の第一人者であり、慢性痛の緩和治療に精通。現代女性のための、東洋医学に基づく心身のセルフケアも指導している。
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(明治国際医療大学大学院/養生学寄付講座教授 伊藤 和憲 写真=iStock.com)
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