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飲み会後は「チャーシュー麺」の方が太りづらい

プレジデントオンライン / 2020年1月25日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/fizkes

「納豆で血液サラサラ」「塩より岩塩がいい」等々、見た目や聞きかじりの健康ネタを、そのまま鵜呑みにしてませんか? それこそが、あなたの最大のリスクかも――。

■健康神話を徹底検証

人の健康に関連して、真偽不明の情報が日々大量に流布され、しかも時間とともにその白黒やネタが入れ替わる。

糖尿病の治療が専門のAGE牧田クリニック・牧田善二院長の言をお借りすると、①専門家たちの不勉強と自己都合、②資本主義社会の企業論理、③消費者目線の固定観念と思い込み、の3つが相まって、常に混沌としているのがこの界隈。“エビデンス(根拠)”となる医学論文も、「世界的に信用度が高いのはごく一部にすぎない」(牧田氏)。

今回は、そこを十分に意識した3名の信頼できる医師の方々にご登場いただいた。

■たばこでボケ防止、酒は絶対悪

一体、誰が言い始めたのか。「たばこを吸う人はボケにくい」という噂があるようですが、これはまったくの出鱈目です。たばこは認知症と強く関連していますし、禁煙したほうが骨粗しょう症も胃潰瘍も胃がんも心筋梗塞も、かなり減ると思います。たばこは百害あって一利なしです。

一方、以前は悪者扱いだったお酒は見直されています。お酒は飲めば飲むほどγ-GTPが高くなり、咽頭や食道、肝臓に影響する――ここだけ切り取れば悪です。ただ、適量であれば心臓血管疾患や認知症はまったく飲酒しないグループと比較すると低下する傾向も報告されています。面白いデータがあって、少量でもいきなりリスクが高くなるのが外傷。酔った末に、転倒や喧嘩でケガをするというやつです。お酒は良い役にも悪い役にもなりますので、あとは自己責任という言葉に尽きます。

■ウオーキングは朝がいい

ウオーキングは最高の健康増進法です。「朝が効果的」というイメージが浸透していますが、実は夜であっても効果に差はありません。朝15分、夜15分に分けてもいい。1日で30分程度行うことが重要です。

Getty Images=写真

ただし、ダラダラ歩きは禁物。近年の調査で歩くスピードが大事だということが立証されています。1分間に「165-年齢」の心拍数になるようなスピードでのウオーキングが最も効果的。これを超えると疲労物質が溜まりすぎて、循環器系に悪影響を及ぼします。さらに上がると心臓麻痺の危険性が増します。

一方、ダイエットを目的としたジョギングは、心拍数に加えて時速も重要です。時速7.5kmを超えるとカロリーの消費量が増えることが近年の調査結果から明らかになってきました。「20分以上運動しないと脂肪が燃焼しない」という説もありますが、人間はエネルギーを補充するために絶えず脂肪を分解しており、時間は関係ありません。

■体幹にはバランスボール

現代人の寿命が延びたのは十分なカロリー摂取で丈夫な心臓をつくり上げたからです。しかし、体の中でその延びに追いついていけていないのが骨と筋肉。丈夫な骨と筋肉を維持するには、食事のみならず適度な運動が不可欠です。週に5時間以上運動している人は、認知症になる確率が5分の1になるという調査結果があります。これは丈夫な骨と筋肉を維持したから、とも言えます。転んで骨折して寝たきりの生活を送った結果、認知症になる方が少なくありません。

近年ではバランスボールを利用したトレーニングが普及していますが、やりすぎは禁物です。確かに筋肉と体幹を鍛える効果はあるし、転倒防止にも繋がるでしょう。

しかし、オフィスでイス代わりにバランスボールを利用すると、かえって腰を悪くするという調査結果もあります。運動に慣れていない人が使うと、バランスを崩してケガをする危険性も。これで寝たきり生活になっては、本末転倒です。

■1日2ℓ以上の水を飲むといい

水を1日に2ℓ飲むと「代謝がアップして痩せられる」と数年前に話題になりました。しかし、一般の人はご飯などの固形物に含まれる分を含めて、毎日2.3ℓ程度の水分を摂取しています。にもかかわらず、さらに半ば強制的に水を2ℓ摂取すれば、明らかに水分過多です。

Getty Images=写真

水分はすぐに尿になって排出されるイメージがありますが、実は、腎臓が非常に複雑な仕組みを通じて尿をつくり出しています。その過程で膨大なエネルギーを消費するため、水を飲みすぎると体がだるくなる傾向があるのです。胃液が薄まって食欲は低下しますし、しかも、一時的に血液を薄めて血中のナトリウムやカリウムの濃度が低下するため、こむら返りや、時にはけいれんも起こりやすくなります。

これらは夏バテの症状と一致します。実は、夏バテの原因が、熱中症予防を目的とした水分の過剰摂取だった、というケースは少なくないのです。

■納豆で血液サラサラ

ここ数年「血液サラサラ、ドロドロ」という表現を見かけますが、そもそも人間の血液の粘性を食べ物で簡単に変えられるわけがありません。火付け役はテレビの健康特集ですが、もしそんな食べ物があったら、毎日食べると大出血することになります。

AFLO=写真

動脈硬化が進んで血管に血栓ができたり、心臓や血管の病気のリスクが高まった人は、抗血小板薬や抗凝固薬といった血栓を予防する薬(ワーファリンなど)が必要な場合はあります。この薬を患者さんにわかりやすく説明するために「血液をサラサラにする薬です」と医者が言うことがあります。

血液サラサラの食材としてよく納豆が挙げられますが、ワーファリンを飲んでいる人は食べないでください。納豆のビタミンKがワーファリンの効果を消してしまいます。

ちなみに血液の話題で言えば、最近耳にする「血液クレンジング」は効果が確認されておらず、お勧めできません。

■魚の目を食べると目にいい

「魚の目を食べると目が良くなる」「レバーを食べれば肝臓が元気に」など、体の気になる部位と同じ部位を食べると病気が治る、とお爺ちゃんお婆ちゃんから聞いたことはありませんか?

AFLO=写真

これにはまったく根拠がありません。発想はカニバリズムの習慣と似ていると思います。例えば村で村長が亡くなると、村人は村長の頭をかち割り脳みそを食べ「村長の知恵」をいただく。腕っぷしが強い人が亡くなれば筋肉を食べて強くなりたいと願う。古代に行われていた習慣を令和になった今も続けているのは滑稽です。

ですから「飲み会ではレバーを食べて肝臓を守る」のは意味がありません。消化吸収されたレバーが体内で都合よく肝臓に再合成されることはないし、アルコールを早く分解する効力もありません。

ちなみに魚の目はともかく、魚そのものをよく食べる人は心筋梗塞や脳卒中、認知症のリスクが下がります。

■塩と米は白より茶色

昔、白米中心の食事をしていた武士の間で「江戸患い」という病が流行りました。これはビタミンB1不足による脚気です。白米は純粋な炭水化物なので低栄養、低ビタミンの食品です。最近「白い食べ物は体に悪い」といいますが、これは半分当たっています。例えば白い小麦粉は小麦の皮を剥いて精製度の高い炭水化物にしたもので、全粒粉は周りの皮も一緒に挽いた茶色いもの。真っ白なパンを全粒粉のパンに置き換えるだけで糖尿病が減るという臨床研究結果もあるぐらいです。

お米も同様で、白米を玄米に替えるだけで糖尿病が減り、その先の心臓・血管の疾患も減少します。ただ、「茶色い食べ物がいい」風潮に乗ってわざわざ食品に色をつける業者がいるので要注意。一部の飲食店などにあるピンク色の塩が典型で、ヒマラヤ岩塩に見えるようにわざと着色しています。そもそも岩塩に含まれる塩化ナトリウム以外の成分は1%未満。食卓塩から岩塩に替えても、大きな差はありません。

■オリーブオイルは体にいい

2003年、スペインが国を挙げて行った「PREDIMED」という有名な臨床研究で、オリーブオイルやナッツを追加した地中海食では心筋梗塞や脳卒中が減るという結果が出ました。産業振興の側面は否めませんが、実際、この前後に同じような臨床試験が何度も行われ、同様の結果が出ています。

Getty Images=写真

私が実践しているのは「地中海食ダイエット」です。地中海食とはイタリアやスペイン、ギリシャなど、魚介類や野菜、果物、豆、穀物を多く摂り、オリーブオイルをたくさん使う料理です。私は毎朝、どんぶり一杯の野菜に、少量のスモークサーモンや豆類、ナッツをトッピングし、オリーブオイルをドボドボかけて食べています。お皿の3分の1くらいはオリーブオイルで浸す。心血管疾患を予防する効果も期待できるので、一石二鳥です。私の朝食メニューが紹介されたTV番組を見て、友人知人が、「(速水)もこみちよりオリーブオイルをかける人をはじめて見た」と指摘していました。

■グルコサミンは関節痛に効く

たしかに人間の関節の中にはグルコサミンやコンドロイチンなどの物質が入っています。ただ、それらのサプリを食べたからといって直に関節に届くわけではありません。

テレビのCMを見ていれば、効果があるように思えるんですが、実は「効く」とは一言も言っていない。「グルグル」と歌いながら膝を回す体操をしているだけ。視聴者はイメージ戦略にまんまとはまっているわけで、あのCMを考えた人は頭が良いですよね(笑)。

実は、グルコサミンが効かないことを証明したオランダの大学の研究があります。約200人の高齢女性にグルコサミンと、見た目も形も味も色も同じプラセボ(偽薬)を2年間飲んでもらい、その効果についてデータを取りました。

もし本当に効くなら、本物のデータがプラセボを上回るはずですが、双方のデータに差はありませんでした。グルコサミンとコンドロイチンを併用したデータもありますが、同様に効果は確認できませんでした。

■コラーゲンでお肌がプルプル

面白い比較があります。プルプルすべすべの赤ちゃんの肌とゴワゴワの象の表皮とでは、コラーゲンが多いのはどちらだと思いますか? 答えは象です。コラーゲンとはタンパク質の一種で、主に動物の皮下組織にあるもの。牛革を使った革製品、要はバッグや靴も”コラーゲン入り”というわけです。

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チャップリンの映画「黄金狂時代」では革靴を茹でて食べるシーンがありますが、私は「コラーゲンを食べる」と聞くと、どうしてもこの映像が思い浮かんでしまいます。

「コラーゲンでお肌がプルプル」と謳った鶏、もつ、すっぽんの鍋が人気ですが、残念ながら“お肌プルプル”の効果はありません。実は、コラーゲン自体は人間の胃や腸では消化できません。では、我々が食べているあのプルプルしたものの正体は何かというと、調理の熱でコラーゲンが変化したゼラチン。そもそも、コラーゲンそのものを食べているわけではないんです。

■骨粗しょう症にカルシウム剤が効く

加齢に伴い発症しやすくなる病気の1つが、骨密度が低下する骨粗しょう症です。がんや心筋梗塞などのように直接生命を脅かしはしませんが、1度発症すると頻繁に骨折し、運動不足が続き、さらに骨がもろくなる悪循環を生んでしまいます。

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ご存じのとおり、丈夫な骨をつくるのにカルシウムは欠かせません。そのため、かつては骨粗しょう症患者にカルシウム剤を処方するのが一般的でした。しかし、今では骨の代謝を活性化する新薬に切り替わっています。カルシウムを過剰に摂取すると、体内では余剰分を体外に排出しようという働きが生じ、その働きが機能しすぎると、丈夫な骨からもカルシウムを分解して尿と一緒に排出してしまい、かえって骨をもろくしてしまうことが近年の研究で明らかになったからです。

こうしたサプリメントなどよりも、魚や納豆、野菜などカルシウムを豊富に含んだ食べ物をバランス良く摂るほうが、はるかに効果的なのです。

■漢方薬は天然で安全

病院で処方されるケミカルな薬は強くて危険だが、漢方薬なら穏やかな効き目だから安全。多くの人がこんなふうに考えているのではないでしょうか。でも、これは大きな間違いです。

AFLO=写真

実は、漢方薬も西洋の薬と同じくらい副作用があります。医師会などで医療関係者に配られる資料には、漢方薬やサプリメントでひどい副作用を起こした例が報告されています。

そこには、例えば肝臓にいいから、と飲酒の前に飲むウコンで逆に肝臓を悪くする事例も含まれます。かつて糖尿病の神経障害に良いとされた八味地黄丸という漢方薬は、改善の効果がはっきりせず、今は使われなくなっています。ところが、いまだに勧めている漢方薬局もありますね。

また、インターネットでも、漢方や健康食品のように見せかける、植物由来や動物由来の無承認・無許可医薬品などを目にします。服用するなら、安全だという先入観を捨て、信頼できる医師に相談してください。

■カロリー計算で肥満予防

「カロリーが血糖値を上げるので、太る」。日本肥満学会や日本糖尿病学会も、この考えに賛同している栄養士さんも、みんな「肥満はカロリー過剰」が正しいと信じています。多くの一般の人たちも「溜まった脂肪で肥満になるのだから、脂質は摂らないほうがいい」と考えています。

Getty Images=写真

しかし、医療雑誌「The New England Journal of Medicine」に掲載された研究では、300人以上の中度の肥満者を対象に2年間、①低脂肪食でカロリー制限、②地中海食でカロリー制限、③カロリー無制限の低炭水化物食というダイエットを行った結果、カロリー制限をまったくしなかった低炭水化物食が最も減量効果が高く、一方で脂肪を減らした低カロリー食がずば抜けて成績が悪いことがわかりました。痩せるためにはカロリー制限ではなく、糖質を減らすことが肝心。私と数名の医師が提唱する糖質制限ダイエットが注目されるようになったのは、実際に効果があるからなんです。

■1日1食のファスティング

ファスティングや”プチ断食”が近年話題ですが、決して健康増進効果はありません。確かに江戸時代は1日に1食、ないし2食しか摂らない家庭が一般的でした。現代から見れば、毎日ファスティングを行っていたわけです。

しかし、当時の平均寿命は30~40歳と、極端な早死に。その後、現代にいたるまで寿命は延び続けていますが、この延びは1日のカロリー摂取量に比例しています。現代人の長生きは、医療の発達によるものではなく、栄養を過不足なく摂取できるようになったからなのです。

では、毎日3食摂る現代人が1食に減らしたらどうなるでしょう? 人間の体はカロリー摂取によって血糖値が適度に保たれるようになっているので、血糖値は下がり続け、無気力になったり、頭痛や吐き気、最悪で失神する可能性があります。

ダイエットを目的にファスティングをするのであれば、3食バランスのいい食事を摂りつつ量を減らすほうが効果的です。

■和食は栄養のバランスが良い

健康や栄養バランスの面でも注目され、無形文化遺産にも登録された「和食」ですが、実は韓国料理と並び、塩分と糖質の量は世界一と言えます。WHO(世界保健機関)では1日の塩分量を5g以下にするよう勧告していますが、日本の厚労省だと8g未満で、世界標準と比べても多くなっています。

Getty Images=写真

そのうえ実際は8gよりも多い、男性で11g、女性で10gの塩分を摂っているとされています。塩分は血圧に大きく関係しますし、高血圧は人間の寿命を縮める最大の原因でもあるので、塩分は控えるに限ります。

糖質については、私が提唱する糖質制限ダイエットだと、ご飯1杯(糖質約55g)で1日の糖質の許容量の50%に達します。糖質の過剰摂取は要注意です。

ビジネスホテルなどの「和朝食」は、白いご飯とみそ汁がおかわり自由の場合が多いでしょう。しかし健康で長生きしたいなら、ご飯もみそ汁もおかわりはしないのが賢明です。

■締めのラーメンは最悪

飲んだ後の締めのラーメンは最高ですよね。でもこれ、多くの方が罪悪感を抱いているとおり、体にとっては最悪です。その諸悪の根源を「脂肪」だとイメージしがちですが、実は最も太る原因は、血糖値を上昇させる炭水化物、つまり「麺」です。

PIXTA=写真

これはご飯やパンも同様ですが、血糖値を下げるには、ご飯やパンと一緒にタンパク質や脂質、食物繊維などを一緒に食べたほうがいいということなのです。

この理屈でいくと、信じ難いかもしれませんが、ラーメンよりチャーシューメンのほうが太りにくいことになります。

その際、注意事項があります。先に麺を食べるのはダメで、必ずチャーシューを優先させます。タンメンやもやしそばなどの食物繊維も効果がありますが、肉(タンパク質)が入っているほうがベスト、一番悪いのが麺だけの具なしです。なお、ラーメンを食べた後は、すぐに20分ほど歩くだけで血糖値を抑えられ、肥満防止になります。

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稲島 司(いなじま・つかさ)
東京大学医学部附属病院地域医療連携部助教
2003年東京医科大学医学部卒業。循環器内科の専門診療、生活習慣病の予防・改善に従事。

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岡田 正彦(おかだ・まさひこ)
新潟大学名誉教授
医学博士。1946年生まれ。予防医療学、長寿科学が専門。『医者が絶対にすすめない「健康法」』ほか著書多数。

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牧田 善二(まきた・ぜんじ)
AGE牧田クリニック院長
糖尿病専門医、医学博士。北海道大学医学部卒業。著書に『医者が教える食事術』(1・2)ほか。

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(東京大学医学部附属病院地域医療連携部助教 稲島 司、新潟大学名誉教授 岡田 正彦、AGE牧田クリニック院長 牧田 善二 構成=篠原克周・池垣完)

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