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名誉会長大歓喜「創価大はスポーツが強いワケ」

プレジデントオンライン / 2020年2月3日 17時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/sportpoint

■過激な応援活動は自主規制した

全創価学会が沸いている。

2020年1月2~3日に行われた、毎年恒例の国民的スポーツ大会・箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝競走)。創部以来3回目の出場を果たした創価大学駅伝部は総合成績で9位に入り、初めてのシード権を獲得した。1区では区間賞、10区では区間新記録までたたき出すなどの激走ぶりで純粋に“快挙”である。

創価大の母体とは、言うまでもなく日本最大の新宗教団体・創価学会である。「正月早々、テレビにかじりついていた」「母校の躍進に涙が出た」などなど、年明け以降、学会関係者を訪ねると話題はもっぱらこの箱根駅伝だ。学会の機関紙『聖教新聞』でも4日、池田大作名誉会長の「大勝利おめでとう。本当によく頑張った。ありがとう」という破格の肉声を1面で伝えている。

近年、熱心な学会員の高齢化や公明党の得票数低迷など、創価学会にあまり“いいニュース”はなかった。それゆえか今回の箱根駅伝での快挙は、創価学会全体に久々の大きな喜びをもたらしたものだったらしい。

創価大学駅伝部が箱根駅伝に初出場したのは15年のこと。しかしその本番直前の14年末、いくつかのネットニュースサイトなどは、箱根駅伝で創価学会関係者が“問題行動”を起こすのではという懸念を報じていた。つまりスタート地点や沿道、ゴール付近に創価学会員が大量動員されて、三色旗(創価学会の旗)などを振ってテレビ中継画面を“ジャック”するのではないかというのである。

応援用メガホンと注意書き(下部)。創価にもポリコレの波が。

ただ実際にそのような「箱根駅伝の中で過激な行動に出る創価学会員」の姿はほとんど観測されなかった。東京・大手町のスタート地点では、駒澤大、東洋大、早稲田大といった強豪・伝統校に比べ、創価大の応援団はむしろ小規模でおとなしかった。現場で創価大が配布していた紙メガホンにも「出場21チーム全ての選手にエールを!」という文字がまるで注意書きのように印刷されていて、学会員たちの“騒ぎすぎ”を事前に制しているようにさえ思われた。沿道で大量の学会員が三色旗を振るような光景も、結局観測されていない。

■駅伝チームの多くは非学会員

「そもそも一般のスポーツ大会で、それと直接関係のない宗教団体の旗を振るなどマナー違反。駅伝コース上の支部の中には『派手な応援は控えるように。沿道での三色旗などもってのほか』と注意していたところもあったようです」(創価学会関係者)

そしてそのような光景は、20年もそのまま踏襲されていた。

「むしろ箱根駅伝での躍進は、創価学会の世俗化、穏健化路線の象徴のように思えます」

そう語るのは、ある創価大OBだ。

「創価大は近年スポーツ分野を強化していて、駅伝のみならずプロ野球選手なども複数輩出しています。ただし、そういうスポーツ推薦で入学してくる学生の多くは非学会員。駅伝部のメンバーも、半分以上は学会員でないと聞いています」

PL教団に入信しなければ入学できない高校野球の名門・PL学園高校などと違い、創価大は非学会員でも入学は自由。「もちろん現実的に学生の多くは学会員なのですが、運動部はそれとはかなり違う“異空間”。ある意味で創価大のオープン性の象徴ともなってきた」(同前)という。

そもそも創価学会は近年、会員の高齢化など組織的な退潮が目立つ。“過激な活動”など、実はやろうにもやれない現実さえある。ただそういう状況下で創価大学駅伝部は非学会員の選手を柔軟に受け入れ、社会との軋轢を起こしかねない“過激な応援”も控え、着実に地力をつけて栄誉をつかみ取った。創価学会全体でも、近年は“過激な布教活動”より地域社会に柔軟に溶け込んで協調する姿勢がむしろ目立つ。

20年1月2日に92歳の誕生日を迎えた池田大作氏は、さてこの現状をどう見ているのだろうか。

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小川 寛大 雑誌『宗教問題』編集長
1979年、熊本県生まれ。早稲田大学卒業。宗教業界紙『中外日報』記者を経て現在。著書に『神社本庁とは何か』。

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(雑誌『宗教問題』編集長 小川 寛大 撮影=小川寛大)

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