1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

なぜタスクは15分単位で管理することが最適なのか

プレジデントオンライン / 2020年2月17日 9時15分

習慣化コンサルタント 古川武士氏

■できる人はやっているチャンクダウン

毎日仕事に追われて、「時間がない」が口癖になっているビジネスパーソンをよく見かけます。最近では「働き方改革」が進められ、企業も時間外労働を厳しく制限するようになりましたが、「そんなことをいったって、仕事量も減らなきゃ、時間内に仕事が終わらないよ」と、頭を抱える人も少なくないようです。

そうした人たちにお勧めしたいのが、仕事の合間に発生する「スキマ時間」の活用です。たとえば、「通勤時間」「会社と取引先を移動する時間」「商談相手を待っている時間」など、意外とスキマ時間が相当あることに気づくはず。あなたが「1分でも時間が欲しい」と考えているのであるのなら、そうしたスキマ時間を有効に活用すればいいのです。

そういうと「スキマ時間じゃ、落ち着いて仕事ができないのではないか」と、疑問を抱く人が少なからずいるでしょう。しかし、そんなことはありません。なぜなら、大半の仕事はいくつかのプロセスを経て進めるものであり、複数のタスクに細分化できるからなのです。私は、それを「チャンクダウン」と呼んでいます。細分化したタスクなら、スキマ時間のような短い時間内でも十分にこなせるようになるわけです。

「商品企画書」をまとめる作業を考えてみましょう。1時間なり2時間なり、まとまった時間を取って行ったほうがいいように思えます。でも、「企画書に盛り込む大枠のアイデアを練るタスク」「次に企画書の構成を考えて目次案を作成するタスク」「商品のネーミングや規格など項目ごとの詳細を詰めていくタスク」などに細分化できます。後は各々のタスクをスキマ時間に配分し、実行していけばいいのです。このタスクの細分化はスキマ時間の活用の重要なポイントであり、その細分化に当たっては仕事の全体像や内容をよく理解しておく必要があります。

また、タスクを細分化していく際には、15分で完結する仕事に振り分けていくことをお勧めしています。15分単位ならスキマ時間に当てはめやすいうえに、かなりの仕事量をこなせるからです。実際にやってみるとわかりますが、15分のタスクはとても能率がいいのです。終了する時間が決まっているので、集中力がアップするからです。もしも「移動する際のスキマ時間は15分もない」といったケースであれば、5分単位の仕事を割り振ればいいわけで、このへんは柔軟に考えていきます。

そして、集中しながら15分のタスクをこなす際にお勧めしたいのが「カウントダウンタイマー」の利用です。これは、後何分で茹で上がり時間かを教えてくれるキッチンタイマーの卓上版のようなデジタル時計です。仕事開始とともに、15分後にアラーム音が鳴るようにセットして、アラーム音が鳴るまで意識を仕事に集中させます。私自身も実際に使って、その効果を実感しています。

スマートフォンにもタイマー機能がついていますが、電話やメールで着信音が鳴ったりするので気が散りやすく、あまりお勧めできません。オフィスの自分のデスクでカウントダウンタイマーを利用するのなら、アラーム音の代わりに光で教えてくれるものを選ぶと、周りの人の迷惑になりません。

■スケジュールを見てスキマ時間を洗い出す

スキマ時間の活用については、「電車では座れないこともあるし、バスやタクシーを待つときも立ちっ放しなので、仕事ができないのではないか」といった疑問もあるでしょう。そうした場合には、スキマ時間のシチュエーションに応じて、タスクの中身も変えればいいのです。確かに、手を使った仕事はできませんが、頭を使った仕事はできるので、プランづくりなどの時間に充てるわけです。

そして、スキマ時間をフルに活用していくためには、その日1日の詳しいスケジュールを確認しておきます。どの時間帯に、どのくらいのスキマ時間があるのか、さらに「移動時間なので手作業が困難」「自分のデスクでの待ち時間なのでパソコンの操作も可能」といったように、スキマ時間の性質も併せて把握しておくとより効果的です。そうすれば、各々のスキマ時間に、最適なタスクを割り振ることができるからです。

ただし注意したいのは、タスクを何でも細切れにすればいいというわけではないことです。デスクに座って、書類などの資料で問題点を調べながら、その場で考えを巡らせなければならないような仕事もあります。そういう仕事は、スキマ時間の活用の対象から外します。そしてスキマ時間を活用することで生まれた、まとまった余裕のある時間を充てるようにします。もっとも、出張で2時間、3時間の移動時間ができたときなどは、そのような仕事を行う絶好のスキマ時間となります。

■就業時間中に消化する事例を紹介しましょう

では、実際にタスクを細分化して1日のスケジュールのスキマ時間に当てはめ、就業時間中に消化する事例を紹介しましょう(図参照)。部内のミーティングの企画と手配を任されたものの、それをこなすのには合計で2時間くらいかかっていました。しかし、忙しくて、まとめて2時間も空けるのはとても難しい状況です。

そこで1日のスケジュールをチェックすると、午前に会議、午後に社外で顧客との打ち合わせ、さらに、帰社してからもう2件、会議が入っています。しかし、図にあるように、会議Aの前後の空き時間、顧客のところに出かける際の移動時間など、15分単位のスキマ時間がいくつかあることがわかりました。

そして、ミーティングの企画と手配の仕事内容を考えてみたところ、①~⑧のように、タスクを15分単位の8つに細分化できました。しかも、「④日程の候補を選ぶ」「⑤(目的・課題やメンバー、候補日を)上司にメールで報告」といった仕事は、モバイルパソコンを使えば外出中の移動時間でもこなせそうです。そこで、8分割したタスクを8つのスキマ時間に割り振って取り組んでみたところ、退社時刻の18時までに見事に終わらせることができました。

スキマ時間をうまく活用すれば、仕事がスムーズに進むので、時間にゆとりが生まれます。その結果、「焦り」によるケアレスミスなども減るので、生産性も上がります。これで「時間がない」という感覚を軽減できるかもしれません。増えた自分の時間は、スキルアップのために使うなり、趣味などの自己実現に充てるなり、大いに活用してください。

----------

古川 武士(ふるかわ・たけし)
習慣化コンサルタント
関西大学卒業後、日立製作所などを経て、2006年に人材育成会社を設立。オリジナルの習慣化理論とメソッドを開発。2万人以上の育成に携わる。

----------

(習慣化コンサルタント 古川 武士 構成=野澤正毅 撮影=石橋素幸)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください