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ライフスタイルでここまで違う!万が一のときの遺族年金の額はどう計算されるのか

プレジデントオンライン / 2020年2月13日 11時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/takasuu)

年金というと老後に受け取るもの、とイメージしがちだが、実は遺族への保障として、「遺族年金」もある。正しく知れば、いざというときに大きな助けになる可能性が高い。そんな遺族年金について、ライフスタイル別に見ていこう。

■遺族年金は年金の種類などによって異なる

遺族年金は、年金に加入している現役世代の人、また老齢年金を受け取っている人が亡くなったときに、遺族に支給される年金である。どのような遺族年金が、いつ、いくら支給されるかは、「加入している年金の種類」(厚生年金か、国民年金か)や、「子どもがいるか」、また「夫か、妻か」によって異なる。

まず、子どもがいる世帯で夫が死亡した場合について見ていこう。

子どもが18歳になって最初の3月末まで(障害のある子では20歳未満)は、「遺族基礎年金」が支払われる。

金額は、年間【78万100円+子の加算額】で、子の加算額は、第一子と第二子は各22万4500円、第三子以降は各7万4800円となっている。

専業主婦の妻で子どもが2人なら、合計で年間122万9100円だ(いずれも2019年度)。

遺族基礎年金が受け取れるのは、遺族基礎年金は子が18歳になって最初の3月末(障害のある子は20歳未満)までである。

さらに亡くなった夫が会社員だった場合には、「遺族厚生年金」も受け取れる。金額は、亡くなった人が厚生年金に加入していた月数と、生前の給料によって計算され、加入期間が長いほど、給料が多いほど、金額は多くなる。

例えば平均標準報酬額が36万円で、加入期間が300月(25年間)の場合、遺族厚生年金の額は44万4000円。ここに遺族基礎年金を足すと、計167万3100円(専業主婦と子ども2人の場合)となる。

加入期間が短いと額は少なくなるが、加入期間が300月未満の場合は300月として計算する、というルールがある。そのため、若くして亡くなったなど、加入期間が短くてもある程度の額を受け取ることができる。

遺族基礎年金が受け取れるのは子どもがいる場合のみだが、会社員の夫が亡くなったときに40歳以上65歳未満で子どもがいない妻と、子どもが18歳以上になって最初の3月末を過ぎるなどで遺族基礎年金の支給がなくなった妻には、「中高齢寡婦加算」という支給がある。

条件は死亡した夫の厚生年金加入期間が20年以上であることで、金額は58万5100円(2019年度)。妻が65歳になるまで支給される。

また、自営業など、10年以上国民年金に加入していた夫が老齢年金を受けずに死亡した場合、婚姻期間が10年以上の妻には60歳から64歳までの間、「寡婦年金」が支給される。

年金額は夫が(第1号被保険者期間)受けられたであろう老齢基礎年金の4分の3となる。

遺族年金を受け取るには、受け取る人の前年の年収が850万円未満であることが条件となる。年収がそれより高いと、遺族年金は支払われない。

ただし、いったん受け取り始めれば、年収が850万円を超えても支給が止まることはないので、配偶者が亡くなってからキャリアアップして収入が増えるのは、年金にもマイナスの影響はない。

■妻が死亡した場合の夫はやや不利に

働くママにとっては、「自分が死亡したら子どもや夫が生活に困らないか」も気になるだろう。

子どもがいる世帯で会社員の妻が死亡した場合は、遺族基礎年金と遺族厚生年金が支給される。それなら、夫死亡と妻死亡では同じようにもみえるが、夫死亡では妻が遺族厚生年金を終身で受け取れるのに対し、妻死亡で遺族厚生年金を受け取ることができるのは、子どもが18歳になって最初の3月末(障害のある子では20歳未満)まで、という違いがある。

また夫の年収が850万円以上の場合、子どものみに遺族基礎年金と、遺族厚生年金の受給権が発生する。ただし、夫(父親)と生計を同じくしていれば、遺族基礎年金は支給停止となり、遺族厚生年金のみとなる。

夫死亡の場合の方が有利、ともいえるだろう。前述した中高齢寡婦加算も、妻を亡くした夫には支給されない。

■子どもがいない夫婦やシングルの人は?

また、遺族基礎年金が支給されるのは、子どもがいる人や子どものみ。したがって、子どもがいない夫婦では、遺族基礎年金の支給がない。

シングルで子どもがいない場合は遺族基礎年金はなし。生計維持されている55歳以上の父母、いなければ祖父母に、遺族厚生年金が支給される。シングルマザー、シングルファーザーの場合は、子どもに対して遺族基礎年金と遺族厚生年金が支給される。

■自身の年金が多いと遺族年金は少なくなる?

60代になって自身の老齢年金の支給が始まると、遺族年金の受け取り方にも影響が出てくる。

自身の老齢年金が受け取れるのは原則65歳からだが、昭和41年4月1日までに生まれた人では、65歳になる前に老齢厚生年金の一部支給がある。その場合は、自身の老齢厚生年金と、遺族厚生年金のどちらかを選ぶことになる(多い方を選んでOK)。

また65歳以降は、自身の老齢厚生年金を受け取り、遺族年金がそれを上回る場合のみ、上回った分だけをプラスして受け取ることになる。自身の老齢厚生が10万円、遺族厚生年金が12万円なら、自身の老齢厚生年金10万円と遺族厚生年金2万円(12万円‐10万円)で、計12万円である。

遺族厚生年金は亡くなった人が受け取るはず(または受け取っていた)の老齢厚生年金の4分の3が目安だが、それが丸々もらえるのではなく、受け取れるのは自身の老齢厚生年金との差額なのだ。

会社員の期間が長く、たっぷり稼いだ妻は自身の老齢厚生年金も多くなるので、受け取れる遺族年金は限られる。

まずは、自身が死亡した場合、パートナーが死亡した場合の両方について、誰に、いつまで、どの程度の遺族年金が支給されるかを知ること。そうすることで、万が一のことがあったときに、遺族年金以外の資金がどのくらい必要なのかがわかるはずだ。

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井戸 美枝(いど・みえ)
経済エッセイスト
複雑なお金に関わる動きを簡単に読み解くことに定評がある。関西大学卒業。社会保険労務士、ファイナンシャルプランナーなど多方面で活躍。『100歳までお金に苦労しない定年夫婦になる!』など著書多数。

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(経済エッセイスト 井戸 美枝 写真=iStock.com)

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