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チョコレートを食べても太りにくい「魔法の時間」をご存知か

プレジデントオンライン / 2020年2月14日 18時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/bee32

チョコレートを食べても太りにくい時間帯がある。ジャーナリストの笹井恵里子氏は「脂肪をため込む働きがある「BMAL1(ビーマルワン)」と呼ばれるタンパク質がある。午後2時から4時ごろにかけてピーク時の80分の1に減るので、体重が気になる人はその時間帯に食べると良い」という——。

■チョコレートを食べても「太りにくい時間」がある

2月14日はバレンタイン、そしてバレンタインといえばチョコレート。チョコは健康や美容に良い影響を与えるものの、食べ過ぎると肥満になったり身体の冷えを促進したりする。

厚労省の食事摂取基準による大人の間食200キロカロリー/日の適量を守りたい。しかし、どうしても糖質たっぷりのミルクチョコレート、高カロリーチョコが食べたい時には“太りにくい時間”を選ぶといい。

近年注目を集めているのが、脂肪をため込む働きがある「BMAL1(ビーマルワン)」と呼ばれるタンパク質だ。体内時計をコントロールする機能を持つ「時計遺伝子」の一種で、脂肪の蓄積を促す働きがあることが知られている。

本来脂肪は、栄養不足に陥った時に体を餓死から守るために必要なもの。食が貧しい時にはBMAL1が重宝するが、飽食の現代では肥満の原因となり、あまり歓迎できない存在だ。

■食べるなら午後2時~4時ごろがオススメ

実は体内のBMAL1の量は一日のうちで増減することを知っておきたい(図表1)。その働きを解明した日本大学薬学部の榛葉繁紀教授が説明する。

脂肪をためこむBMAL1は午後2時が少ない ※ピーク値を100%とした時の日内変動のイメージ
脂肪をためこむBMAL1は午後2時が少ない ※ピーク値を100%とした時の日内変動のイメージ

「量が最も減るのは午後2時から午後4時ごろにかけて。ですからこの時間の間食は脂肪になりにくいといえます。反対にBMAL1の量が増えるのは午後10時以降から深夜2時ごろ。最も少ない時間帯に比べると80倍にもなり、同じ物を食べても、遅い時間に食べると太りやすいのです」

榛葉教授
撮影=笹井恵里子
榛葉教授 - 撮影=笹井恵里子

脂肪が気になる人は、夜間にチョコをパクパク食べることだけは控えよう。

しかしチョコそのものは、さまざまな健康効果があり、日々継続して摂取したい食品の一つである。さまざまな研究結果からその具体的な健康効果、またチョコの種類の選び方をひもといていきたい。

■体をサビつかせないチョコレートの抗酸化作用

チョコレートには、カカオ豆(カカオの樹の果実の中にある種子)が原料に使われている。カカオ豆を発酵・乾燥し、焙炒・粉砕後にシェル(皮)とジャーム(胚芽)をのぞいて得られるものがカカオニブ(胚乳)であり、これを磨砕してできるペースト状のものを「カカオマス」という。

カカオマスを圧縮してココアバターを取り除いた残りを粉末化したものが「ココアパウダー」、これに適量のココアバター、糖分や香料などを加えたものが「チョコレート」だ。カカオ豆には、アンチエイジング効果が高いポリフェノールがたっぷり含まれ、体内の「酸化」を抑える働きがあることがわかっている。

酸化とは活性酸素によって体が“サビる”こと。もともと私たちの体にも酸化を抑える機能が備わっているのだが、強いストレスや喫煙などによってあまりに大量に活性酸素が発生すると、処理が追いつかない。特に40代以降になると、活性酸素を処理する働きが低下する。意識して抗酸化作用のある食べものを取ることが大事なのだ。

■便秘を防ぎ、結腸がんの予防効果も

カカオ含有量が高いダークチョコレートには100グラムあたりのポリフェノール量が、りんごや赤ワイン、コーヒーなどと比較しても多く含まれ、強い抗酸化作用があることが報告されている(図表2)。

植物性食品中のポリフェノール量
管理栄養士の望月理恵子さん
管理栄養士の望月理恵子さん

管理栄養士の望月理恵子さんによると、「カカオ70%以上のチョコを1日25グラム程度摂取するのがお勧め」とのこと。カカオ濃度が上がれば糖質量が少なく、ポリフェノールが多くなる。

カカオマスには便秘予防と解消、また結腸がん予防効果がある不溶性食物繊維もたっぷり。“ベジファースト”ならぬ、“チョコファースト”もいいという。

「高カカオチョコレートは食物繊維が多い。カカオ70%以上のチョコレートは30グラムで、日本人が不足している食物繊維5グラムを補えます。低GI(GI=食後血糖値の上昇度)なので食事の前にひとかけ食べてからランチに行くのも良いと思います。特に食事の30分前に食物繊維をとっておくと、その後の食事による血糖値急上昇を抑えられるので、サラダを食べるより現実的に手軽にできる方法ですよね」(同)

■高血圧、動脈硬化の予防効果も期待できる

カカオによる高血圧予防効果も期待される。オランダの研究で慢性疾患を持っていない470人の高齢者について、血圧を測定し、5年後と比較すると、1日2.3グラム以上のカカオを摂取している群は、最もカカオ摂取が少ない群(1日0.36グラム以下)と比べて収縮期・拡張期ともに血圧が低下した。中年のドイツ人約2万人近くを約8年間調査した結果でも、血圧が下降する傾向が見られる。

また、チョコレート摂取によって、糖尿病患者であっても善玉コレステロールが上昇するなど血中の脂質改善報告が多くある。体内に摂取、蓄積された悪玉LDLコレステロールの酸化も抑制し、動脈硬化などを予防する働きも期待できるのだ。

■集中力・記憶力・思考力を高め、やる気を導く

体だけでなく、チョコレートは“心”にも影響を与える。

カカオに含まれるテオブロミンという成分には集中力・記憶力・思考力を高め、やる気を導く働きがある。1枚5グラムのチョコを1日5枚、1カ月間摂取すると、酸化ストレスが低下し、記憶や学習などの認知機能と関連するBDNF(神経細胞の発生や成長などを促進させる神経栄養因子)に良い影響があるという報告がある。

ほかにも注目成分は、天然アミノ酸の一つの「GABA(ギャバ)」やマグネシウム。「“幸せホルモン”といわれるセロトニン材料のトリプトファンが含まれ、更年期に起きがちなだるさ、ストレスなど、つらい症状の軽減が期待できます」(同)

欧州14カ国の調査ではチョコレート摂取量の多い国では殺人が少ないという報告もある。カカオマスに向精神作用を持つ物質が含まれているためという。

■「チョコ+ビスケット」組み合わせは避けるべき

チョコに含まれる糖分も脳へのエネルギー補給になるため、眠気を改善し、意欲的になれる面がある。カカオポリフェノールを摂取すると、2時間後に血中濃度がピークになり、その後徐々に体外へ排出され、24時間後にはほとんどなくなることが知られている。そのため1日数回に分けてチョコを取りたい。

さてここで同じチョコでも、避けたほうがいいのはチョコ+ビスケットのようなお菓子や、カカオ含有量の低いチョコだ。

「ビスケットはカロリーが高く、糖化しているのでお勧めできません。糖化とは高加熱によってタンパク質と糖質が結びついて劣化する反応で、AGEという悪玉物質が発生し、老化の原因に……。こんがりした食品に多く含まれ、その観点からスポンジケーキもNG。ティラミスのような低加熱ものがベターです。ホワイトチョコにもカカオの良い成分が含まれず、美容健康効果が劣ります」(同)

■「太る」「ニキビができる」という考えは古い!

最後に、意外に良いのが「アーモンドチョコ」。

アーモンドチョコを毎日8粒ずつ8週間食べ続けると、肌のターンオーバー(肌が生まれ変わる期間)が正常化し、肌荒れ状態が良くなったという研究報告がある。チョコを食べると太る、ニキビができる、という考えは古い!

生活習慣病予防にはカカオ含有量の高いピュアなチョコ、美肌目的では、良質なアーモンドチョコをコツコツ食べてもいいかもしれない。

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笹井 恵里子(ささい・えりこ)
ジャーナリスト
1978年生まれ。「サンデー毎日」記者を経てフリーランスに。著書に『不可能とは、可能性だ パラリンピック金メダリスト新田佳浩の挑戦』(金の星社)、『週刊文春 老けない最強食』『週刊文春 温かい家は寿命を延ばす』(ともに文藝春秋)『救急車が来なくなる日 医療崩壊と再生への道』(NHK出版新書)がある。2020年、調理師免許取得。

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(ジャーナリスト 笹井 恵里子)

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