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週刊文春がやっていることは本当に正しいことですか

プレジデントオンライン / 2020年3月16日 15時15分

不倫相手本人から情報をもらうこともしばしばある。

女優・吉高由里子主演のドラマ「知らなくていいコト」は最高視聴率10.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)の最終回で、有終の美を飾った。吉高由里子はスクープ追い続ける熱い週刊誌記者を演じきった。一方でドラマでは週刊誌報道についても登場人物がその正当性を主張しているように感じた。現実でも週刊誌は、東出昌大の不倫から大物の政治家の汚職事件まで、大衆の興味を誘うネタであれば、なりふり構わず記事にする。しかし彼らは一体どのように、蜜が滴る上質なネタを見つけてくるのだろうか。なぜベッキーと川谷絵音のラインのやりとりがそもそも流出したのか。現役週刊誌記者がその驚くべき実態を赤裸々に語る──。

■週刊誌記者のネタの見つけ方

私は現在、とある女性週刊誌の編集部で記者として働いています。週刊誌といえば、吉本興業所属の芸人による闇営業問題などもわりと記憶に新しいでしょう。世の中の注目は薄れてはきているものの、引退しているのにもかかわらず入江慎也氏の自宅前にはいまだに張り込みをしている記者とカメラマンがいます。自宅を出てきた入江氏に対して、「最近どうですか?」といった質問をするのでしょう。

週刊誌の張り込みには、プライバシーの侵害などしばしば批判が起こることがありますが、実際にどのように張り込みが行われているかについては知らない人が多いはずです。はじめに、編集部の数だけその方法はあるということは断っておきます。今回は私が属している編集部で行われている張り込みについて、具体的な例を挙げながらお話ししたいと思います。

まず週刊誌の記者が普段、どんな生活をしているのかお話しします。私たちは基本的にひとつの編集部と契約を結び、業務委託という形で働いています。しかし、会社専属ではあるものの、毎日出社するわけではありません。各自、ネタ元さんとお会いしたり、ツテを頼って新しいネタ元さんを探したり。また進行中の取材を個人的に進めるなど、情報を集めています。良いネタがあれば随時編集部に持っていき、デスクと相談してページにするための会議を重ねます。

■ピンポイントで写真を撮りに行きます

張り込みが必要になるかはネタによりけりです。例えば読者からの写真提供などですでに手元に写真がある場合は、事実確認の取材を終えたあとにターゲットに直撃するだけです。テレビ番組の収録終わりを狙ったり、関係者に現在ターゲットがいる場所を教えてもらったりしてピンポイントで写真を撮りに行きます。

よくドラマの撮影現場であったり、飲み会であったり、犬の散歩であったり、「芸能人のオフショット」が載っていることがありますが、大抵の場合は関係者が「誰が何時にどこに行く」という情報を教えてくれます。とあるテレビ番組の打ち上げを隠し撮りした際は番組ADが随時店内の状況をリアルタイムで伝えてくれました。某大手写真週刊誌の張り込み班は2~3台の車で毎晩都内をグルグルと回り続け、常に芸能人を探しているそうです。

しかし、手元に写真がない状態で熱愛・不倫写真を撮るときはいつ終わるかもわからない張り込みが数日間、時には数週間続くことになります。

有名人が不倫もしくは熱愛しているという情報が入ったら、まずはターゲットのヤサ(自宅)割りをします。ある男性スポーツ選手の不倫を追ったときは、まず彼のチームの練習場へ見学に向かいました。まずは練習場の前でファンのふりをしながら入り待ちをして車のナンバーを判別します。そして練習が終わり、選手がロッカールームに戻ったタイミングで練習場の外で待機しているカメラマンの車に連絡します。車での尾行は1台だと怪しまれてしまうので、記者はタクシーを使い、ポジションを入れ替えながら2台態勢で追うことが多いです。

そんな仕事、タクシーの運転手が嫌がらないのか? 実はタクシーの運転手の多くは「待っていました!」と張り切って追ってくれるので助かります。某大手写真週刊誌の編集部は、尾行の際にバレないようにパン屋風に改装したトラックを所有していると聞いたことがあります。

ある女優の熱愛情報が入ったときには、彼女が登壇するイベントや記者会見に取材申請をして参加し、同じく外で待機しているカメラマンと一緒にヤサを割りました。ヤサ割り自体は難度がそこまで高くなく、1回で割れることがほとんどなので、特にネタがないときなどは旬の芸能人のヤサ割りをしながら1週間を過ごすこともあります。「そういえばこの前ヤサ割ったあの人、今日が誕生日だよな」という感じで家を張ってみると、ラッキーなことに恋人と手を繋いで帰ってきちゃうこともあるのです。

特にヤサを割りやすいのはアナウンサーです。タレントの場合、運転手が付いていたりテレビ局の地下の駐車場からタクシーで出てきたりするため、ヤサを割ろうにも割れないケースがあります。しかし、アナウンサーはテレビに出ている立場ではあるとはいえあくまで会社員なので、電車で通勤している人も多いのです。ニュース番組などは生放送なので退社時間がある程度読めることもその理由のひとつです。

ヤサを割ったらあとは交際相手なり不倫相手なりとお泊まりデートをするのをひたすら待つのみです。といってもターゲットに家族がいる場合は自宅を張っていても仕方がないので仕事終わりを尾行したり、相手が一般人だとしてもヤサを割ってそちら側を張ったりもします。ターゲットがひとりで帰宅した場合は、マンション全体が見える場所からベランダを監視し、部屋の明かりがついた部屋を確認します。そうすれば次回からはターゲットが在宅中か不在かが一目でわかるのです。

尾行の際の必須アイテムはハンズフリーのイヤホンです。ターゲットが車を降りれば当然こちらも車を降りて徒歩で尾行をします。電車に乗ればこちらも電車に乗ります。別の記者やカメラマンを車で先回りさせるなど連携を取らなくてはいけないので、常にグループチャットで会話を繋げながら尾行をしています。

■ファンのふりして接近「今夜会わない?」

まずはヤサ割り。それと同時に関係者からの情報を集め、スクープ写真の撮れる確率の高い場所と時間を絞っていく。ある程度順序というものはありますが、正直撮れてしまえばなんでもいい。こちらからおびき寄せるような作戦を仕掛けることもあります。

不倫や熱愛で王道のパターンは、相手側と週刊誌が繋がることです。デートの日時と場所さえ教えてもらえばそれで完了。「これからホテル出ます」とまで教えてくれる人もいますし、「ギャラを弾むので寄り添いながら出てきてください」と言えばそのとおりにしてくれる人もいます。

ある男性タレントの不倫を取材していたときのことです。証拠はすべて揃い、あとは本人の言葉をもらうだけという段階だったのですが入稿までに時間がなく、地方営業先で直撃をすることになりました。しかし、営業先の構造上尾行もできず、出演者によって宿泊するホテルも変わるようで滞在先がわかりません。その男性タレントはファンに手を出すことで有名で、今回の不倫相手もファンの女性でした。

■撮れればなんでもありなのです

そこで試しに女性ファンのふりをして彼の公式ラインに「今日のイベントとても楽しかったです」とメッセージを送ってみると、向こう側から「よかったら今夜会わない?」と連絡が来ました。聞き出したホテルの前で張り込み、出てきたところを直撃して完了です。結局のところ撮れればなんでもありなのです。

ベッキーの不倫ネタに国民は夢中になった。そんなことを報じるメディアもメディアだが、記者、視聴者の質も低いのでは?
ベッキーの不倫ネタに国民は夢中になった。そんなことを報じるメディアもメディアだが、記者、視聴者の質も低いのでは?(時事通信フォト=写真)

さてベッキーのゲス不倫はなぜラインのやりとりが文春にリークされたのでしょうか。関係者によれば、あれも単純。スマホにアクセスできる人が出版社にスクリーンショットを送った。ただそれだけです。

今思い返すと、「なんて倫理観のないことをしているのだろう」と自分でも思いますが、追っている最中は記者もカメラマンも感覚が麻痺しているのでしょうね。プライバシーの侵害になるとはいえ、ヤサを割ってでも、尾行をしてでも、相手を騙してでも、目の前にネタがあり現場にいる限りは写真を撮らない理由が見つからないのです。

それに、読者も嫌なら買わなきゃいいし、読まなきゃいいのに、一生懸命ネットで拡散してくれるでしょ。世の中難しい問題が山積みで、もっと国民が議論するべきニュースがほかにたくさんあるのに、東出昌大が不倫したらそっちのけで夢中になりますよね。

今の時代、いわゆるタレントさんは不倫したら暴かれることをわかって芸能界に入っていますよね。週刊誌報道も含め、エンターテインメントになっている。週刊誌報道を売名に利用する人もいくらでもいる。それなのに、テレビで週刊誌の不倫報道を批判する人はちょっと笑っちゃいますね。多分、その人もやっているのでしょうね。

(雑誌「プレジデント」 写真=時事通信フォト)

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