ネットで病院を探すときに必ずチェックするべきポイント
プレジデントオンライン / 2020年3月25日 11時15分
※本稿は、大津秀一『誰よりも早く準備する健康長生き法』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。
■近くの町医者か、遠くの専門医か
Q:家の近くのお医者さんがいいですか? 遠くても総合病院のほうがいいですか?
A:これはしばしばされる質問です。私の意見をひとことで言うなら「近いほうがいいです」。
そもそも病気は身体の調子が悪くなるものですから、遠くには行けません。
私も広範囲の地域の患者さんを診療していますが、かかりつけ医との併診をお勧めしています。
ちょっとした不調は近くの相談しやすい医院・病院で行い、専門的なことはバリバリの専門家に相談するという使い分けがよいでしょう。例えば、すぐに思いつくだけで述べても、緩和ケアや、リンパ浮腫、認知症、発達障害の専門家などは、近隣にいないことはわりとよくあることです。
かかりつけ医と専門家を使い分けることが重要です。かかりつけ医は、近くの医師の中でよくコミュニケーションが図れる方を選ぶのがよいと考えます。
結論から言うと、これからの時代は医師の使い分けが重要です。自身の望むような医療を自らデザインしてゆくことが大切と言えるでしょう。そのためには、基本的な診療をしてくれる近くの医師を確保したうえで、必要な専門医療の分を自らのチームに組み入れてゆくという感覚が望ましいでしょう。
■オンライン診療の普及で医師の使い分けがますます広がる
さらに、もう一点。今後、対面ではなく、電子機器を用いて、離れた場所にいる医師などにかかる遠隔診療が普及する可能性があります。私自身もオンライン診療は積極的に行っています。
そうすれば、ますます専門的なことは、都市部などに集中している狭い領域の専門家に相談し、日常の不調や心配は身近な医師に相談する…という形式が普及してくると考えます。
総合病院も、本来、待ち時間が長く、日常の細々としたことを相談するには適しているとは言い難いです。紹介状なしでいきなり病院にかかった際の追加料金も、今後多くの病院で徴収される傾向にあります。頼れるかかりつけ医を探して見つけることが重要です。
なかなか思うような医師が見つからないこともありますが、折り込んで行動するのがよいでしょう。大切なパートナー選びには時間がかかるのです。
■ホームページの顔写真は笑顔なのに…
Q:ネットで評判のいいお医者さんをかかりつけ医にと考えています。ネットでかかりつけ医を探すときに注意することはありますか?
A:医師の顔が載っていないホームページは要注意。載っていても、かかってみないとわからない。写真はあてにならない(笑)。何はともかく、かかるべし。
「ネットで調べてかかったんです」50代女性の浦部さんがおっしゃります。
「そうしたら…?」
「写真は笑顔じゃないですか? それなのに実際はブスっとしてつっけんどん。感じが悪くてびっくりしました」
「そうだったんですね。しばしばありますね」
「えっ、そうなんですか?」
「写真は“盛る”ことができますからね」
「ああ…“映える”ってやつですか?」
インターネットで検索して医療機関を受診する方も増えています。
実際、私のクリニックも、一切広告を出していないので、インターネットをご覧になって来られる患者さんが100%です。私は写真を盛っていないので「そのままですね」と言われます。けれども一般のクリニック写真などは、できるだけ感じがよく、親しみやすいように考えて撮影されています。
なので、蓋を開けてみるとびっくりということがあるのですね。
これはテレビによく出ている医師にも言えることで、口コミなどを拝見していると、実際にあったらテレビでの気さくな感じは一切なく、対応もよくなく驚いた…というようなものもありますが、それはテレビ向けのキャラクターであり、期待するのはちょっと誤りかもしれません。
大切なのはご自身にとって、何が最も求めるものなのかを明らかにしてかかることです。力量があって、接遇も良ければ最高ですが、全部そろっているということは多いわけではありません。
求めるものは、クールな診断と治療なのか、安心できるような優しい姿勢や眼差しなのか、それによって望ましい医師は変わりますし、それに合うようにチョイスしていけばよいでしょう。
■ホームページに顔写真がない医療機関は要注意
まずはかかってみて、質問も用意しておいて、しっかりと答えてくれる医師かどうかを見極めればよいと考えます。
またネットでも広告のページは大変多いので、お金を払って載せているかどうかはチェックしたほうがいいです。ネットの検索で上にくるからといってちゃんとした医療をしているとは限らないので、ネットはできるだけ3ページや5ページまでクリックしてみることをお勧めします。
最近、注意するべきは、医師の顔写真が載っていないサイトです。例えば、在宅医療機関でそのようなホームページも散見されます。
おそらくお金をかけているのでホームページ自体は充実していて、一般的な知識は豊富に含まれているのですが、私のような専門家のセンサーには、どうも「色を感じない」点が引っ掛かります。
そして「どんな医師がはたらいているのかな」と探しても、顔が出てこない。
先般も「緩和ケアをしている」という在宅医療機関から「苦痛が取れなくて」と移って来られた患者さんを拝見しました。お話を聞いてみると緩和ケアは実際行われていない状況でした。そしてホームページは、やはり「カオナシ」。
このようなクリニックは経営者が別にいて、雇用された院長が次から次へとすげ変わっているケースがあります。もちろん、そのときに在籍している医師次第ですが、専門性の上では不安が残るのは否めません。これらのポイントを意識し、ネットを積極的に使用してよい医師を探していただければと思います。
■医師に伝えることは紙に書いておく
Q:医師との付き合い方を教えてください
A:自覚症状や病歴はどの程度伝えればいいですか? →ポイントを絞って伝える。
病院の外来は時間との闘いです。ポイントを絞って伝えることが大切です。慣れないうちは、どう話すかをシミュレーションしたほうがいいでしょう。
できれば紙に書くなどして、話す順番まで考えておくと、スムーズに伝えられます。
自分が気にしていることと、医師側が必要な情報はしばしば異なりますので、想定外の質問が来るかもしれません。その際はしっかり返答するようにしましょう。
たまに、相当以前の病歴からさかのぼって話される方もいらっしゃいますが、現状の問題点に関係することから話すように心がけてください。昔から話し始めると、時間切れとなってしまうため、今困っていることの最近の経過から話し始めるのが良いでしょう。
基本は、問われたことにしっかり答えることです。そうすれば医師側も診断や治療の手掛かりがよく得られ、結果自分にも利益が返ってきます。
なるべく「これまでのこと」を冗長に話すのを止めて、医師にかかるきっかけになった今の問題点にフォーカスして伝達することが大切ですね。
■質問するときに注意すべきことは?
Q:納得できないことを何度も質問したら失礼ですか?
A:聞いたほうがいいです。失礼ではありません。しかし、何度も何度も聞くのはNGでしょう。
ただ「なぜそうなのか?」という、その医師の答えの背景をしっかりと聴取することが大切です。
あるいは「なぜ自分はそのことに関して違うと思っているのか」その背景を伝えることも重要でしょう。
結論だけのやり取りは、しばしば誤解を招きます。
「先生、この検査はどうでしょうか?」
「必要ありません」
「えっ…(絶句)」
そのようなケースも少なくないはずですが、これではコミュニケーションがとれていません。
■表面的な会話は不満につながる
一方で、次のような会話はどうでしょうか。
「先生、実は再発のことが不安で不安で、落ち着かない日々を過ごしています(★1)。一度、造形CT検査をしたいのですが、どうお考えでしょうか?」
「なるほど。うーん、いらないでしょうね」
「どうしていらないというご判断になりますか?(★2)」
「そうやって早く発見したとしても、治療は変わらず、あまり今後の見通しに変わりがないという考え方が一般的です。CT検査も被曝しますし、今後もする機会がありますから、無用なCT検査は避けたほうがいいと考えます」
「そうだったのですね。納得しました」
おわかりだと思います。
上記の会話では、★1で、なぜそれを希望するのか、気がかりなのかの背景をしっかり伝えています。★2でなぜ医師がそう判断するのかを尋ねています。
この★1や★2のような踏み込みをせず、表層的な「どうですか?」「やりません」だけでは結果不満につながってしまいます。
納得のいくまで聞くのが重要でしょう。それでも納得がいかなければ、同分野の専門家にセカンドオピニオンを求めてもいいと考えます。
一方で、背景までしっかりと聞いているのにもかかわらず、何度も同じことを尋ねるのも考え物です。あるいはほかの医師の見立ても同じならば、本当にそうである公算は高いです。いずれにせよ、背景を言う&聞く、ということを大切にすることが肝要でしょう。
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緩和医療医
1976年、茨城県生まれ。岐阜大学医学部卒業。2010年より東邦大学医療センター大森病院緩和ケアセンターに勤務。同センター長を経て、日本初の早期からの緩和ケア外来に特化した診療所「早期緩和ケア大津秀一クリニック」院長。著書に『死ぬときに後悔すること25』(致知出版社)、『「幸せな人生」に必要なたった一つの言葉』(青春出版社)、『死ぬまでに決断しておきたいこと20』(KADOKAWA)ほか多数。
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(緩和医療医 大津 秀一)
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