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「検討します」「持ち帰ります」という英語表現は存在しない

プレジデントオンライン / 2020年3月31日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Kavuto

日本語の微妙なニュアンスをそのまま英語で伝えると、大変なトラブルになることがある。『外資系1年目のための英語の教科書』の著者マヤ・バーダマンさんは、「『検討します』『持ち帰ります』という英語表現はありません。日本人に話す感覚で、『I’ll think about it』といっても、英語話者には通じないでしょう」という――。

※本稿は、マヤ・バーダマン『外資系1年目のための英語の教科書』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■今回のテーマ:「英語会議」での間違いやすい表現

●会議前:相手のミスを責めずに催促する

依頼をしてしばらく経っても何も反応がないときは、相手がそもそもメールを見ていない、依頼内容がきちんと伝わっていない、忙しすぎて手をつけていなかったなど、様々なケースが想定されます。こういう場合は、相手を責めることなく、「確実に相手にアクションを取ってもらう、目標を達成する」といった具体的な結果につながるよう催促することが必要です。

例えば、翌日のミーティングに必要なスライドを相手が提出していないとき。まだ受け取っていないことを伝えるときは、you didn’t submit... と言うと、相手を責めているように聞こえてしまいます。

特にyou didn’t...(あなたは~していない)は直接的なニュアンスが強くなってしまうので、次のような表現は避けたほうが良いです。

You didn’t submit your slides for tomorrow’s meeting.
(あなたは)明日のミーティング用のスライドを提出していない(です)。
You didn’t reply yet.
(あなたは)まだ返信していない(です)。

期限が過ぎた場合も、相手に遅れがあったとはいえ、客観性を保つ表現を使います。相手とのつき合いは今後も続くので、角を立てたり責めたりする言い方は避け、できるだけ次に繋がり、良好な関係を継続できるようなコミュニケーションを心がけたいところです。

●Do’s
I’m afraid that the submission is late.
恐れ入りますが、提出が遅れています。
We would appreciate it if you could keep the deadline.
期限を守っていただけますと助かります。
We have not received your slides for tomorrow’s meeting.
明日のミーティングのためのスライドをまだ受け取っておりません。
Could you please submit your slides for tomorrow’s meeting?
明日のミーティングのためのスライドをお送りいただけますか?
●Don’ts
You missed the deadline.
締め切りを過ぎました。※相手に。
You didn’t meet the deadline.
締め切りを守れなかった。※相手に。

You are late.
遅いですね。/遅刻しましたね。※相手に。

Do’sで紹介したように客観性を保った表現にしたほうがやわらかく聞こえます。

■「発言の内容がわからない」とI don’t understandと言うとマズいワケ

●会議中:議論についていけないときの賢い対応

会議の議論についていけないとき、「発言の内容がわからない」と伝えたくて次のように言うと、率直すぎて少し攻撃的なイメージになってしまいます。

I don’t understand.
わかりません。/理解できません。

文脈によりますが、相手が意見を言った後にこれを言うと、「あなたのことが理解できない」というニュアンスで、個人的なコメントと受け取られる可能性があります。

そこで、次の太文字部分のようなクッション言葉を添えて伝えるとこのニュアンスが薄まります。これに「タイムリーに理解の確認をする」の表現をプラスすると、相手の話を理解したいという姿勢が伝わり、相手に不快な思いをさせずに再度説明をお願いすることができます。

I’m sorry, but could you please repeat that?
申し訳ないのですが、もう一度おっしゃっていただけますか?
I’m afraid I don’t understand correctly.
恐れ入りますが、(自分は)正しく理解できていないと思います。
I’m afraid I’m not following what you’re saying.
恐れ入りますが、おっしゃっていることがよくわかっていません。
申し訳ないのですが、もう一度おっしゃっていただけますか?
イラスト=2g(「外資系1年目のための英語の教科書」より)
●会議中:質問に答えられないときにピンチを救う表現

すぐに答えられないときは、let me seeや間を使ってワンクッション置くことができます。要するに時間稼ぎですが、考えてもわからないときは、I don’t know(わかりません)だけで済ませるとそこで終わりになってしまうので、調べる、または確認をしてから追って回答をする旨を伝えます。

その際は、次のような表現をヒントに乗り切ってみてください。

I’m afraid I don’t know.
申し訳ないですが、わかりません。
※できれば、ここで終わらせず、I’ll get back to youなどと伝えて次につなげるようにします。
I’m afraid I’m not too familiar with this.
申し訳ないですが、これに関してはあまり詳しくありません。
I’m not too sure (about that).
(それについては)よくわかりません。
※確信を持てないとき、はっきり言えないときに使います。

■「検討します」「(その件は)持ち帰ります」という英語表現に存在しない

●会議中:コメントを控えるべき際に、「No comment」はNG

コメントを控えるべき際に、「ノーコメントです」の直訳のつもりでNo comment. と言うとぶっきらぼうで冷たく、丁寧さに欠けます。ビジネスでは角が立たないように対応したいので、次のような表現を使います。

I’m afraid I’m not in a position to offer an opinion on that.
恐れ入りますが、それについては私自身の意見を言う立場にはおりません。
It’s not my place to say anything.
私には何とも言えません。
※「立場的に」のニュアンス。
●会議の最後:「検討します」「(その件は)持ち帰ります」という英語表現に存在しない
マヤ・バーダマン『外資系1年目のための英語の教科書』(KADOKAWA)
マヤ・バーダマン『外資系1年目のための英語の教科書』(KADOKAWA)

「検討します」はその場での回答や決定を避けるときに使い、「ややno」の意味合いが含まれます。直接的に断るのを避けて丁寧に表現する役割がありますが、これを英語に訳すつもりでI’ll think about it. と言っても、そうしたニュアンスは含まれず、ただ「考えます」として受け取られます。曖昧で、前向きに考えるのかやんわり断っているのかがわからず、相手を迷わせる可能性があります。

同じように、「(その件は)持ち帰ります」といった表現も英語にはありません(直訳にしたWe will take it back. は使われません)。英語圏だけでなく、他の国や地域の人とも仕事をする中で、特に期限や仕事の進め方・役割などを言葉によって曖昧にするのは危険です。

日本人や日本語に理解のある人には「検討します」の裏にある本当の意味が以心伝心で理解できたとしても、グローバルな現場では相手に伝わらないことがほとんどです。

外資系企業のミーティングではアジェンダや結論という「着地点」がはっきりしていることから、「検討します」や「持ち帰ります」のような表現の出番があまり無いのかもしれません。

ビジネスマンのミーティング
写真=iStock.com/Sam Edwards
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Sam Edwards

もしその場で答えられない、またはnoと断言できない場合は、曖昧さを残さない次のような表現を参考にしてください。

I will think it over and get back to you.
少し考えてからご連絡/ご回答いたします。
I’ll discuss this with my manager [team] and get back to you.
マネージャー[チーム]と確認して(折り返し)ご連絡いたします。
Let me think about it.
考えさせてください。(本当に考えるとき)
I would like to give it some thought.
少し考えたいです。
I’d like to think about this a little further.
もう少し考えたいです。
Can I get back to you on this next week?
来週お返事しても良いですか?
May I think this over for a day and get back to you?
一日検討してから折り返しをしても良いですか?

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マヤ・バーダマン 仙台市生まれ。上智大学比較文化学部卒業。ハワイ大学へ留学し、帰国後は秘書業を経て、ゴールドマン・サックスに勤務。医学英語に携わったのち、別の外資系企業に勤務。著書に『英語のお手本 そのままマネしたい英語の「敬語」集』『英語の気配り マネしたい「マナー」と「話し方」』『英語の決定版 電話からメール、プレゼンから敬語まで』(朝日新聞出版)『品格のある英語は武器になる』(宝島社)などがある。

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(マヤ・バーダマン)

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