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部下のやる気が上がる「3つのスイッチ」

プレジデントオンライン / 2020年5月7日 11時15分

サンシャインシティ社長 合場直人氏

■部下の成果に「よくやった」ではなく「やったのか」と聞き返す

三菱地所の常務だった2012年に参加したリーダー育成研修で、本田宗一郎さんについて深く学ぶ機会がありました。それ以来、私が常に意識している本田さんの哲学が2つあります。

1つは、本田さんが社員に「やったのか」とよく聞いていたというエピソードです。普通の経営者は「リスクを冒してもいいからやってみろ」と言いますが、本田さんはその上をいきます。やるのは当たり前で、「もっとやったのか」と聞くのです。

例えば、エンジンの開発で目標としていた性能に到達した研究者が、本田さんのところへ来て「社長、できましたよ」と言うと、「よくやった」ではなく、「そうか。どこまでやったらダメになるんだ」「壊れるまでやったのか」と聞き返したそうです。問われているのは、限界までやったのかということなのです。

その問いの背後には、仕事の目的に対する目線の高さがあります。数多ある二輪車メーカーとしてホンダを創業し、先進技術によって世界の巨大カーメーカーの1つにまで育て上げた本田さんは「何を目的に仕事をしているのか。それは、モビリティによって多くの人たちが幸せになることだ。人の幸せのために俺は仕事をしているんだよ」と述べています。車づくりは目的ではなく、人々を幸せにするための手段にすぎないということです。

■自分たちが何のために働いているのか

我々の仕事も同じです。街づくりは目的ではなく、人々を幸せにするための手段。その実現のためには「ここまでできればいい」といった終わりはなく、本田さんのように「やれるところまでやったのか」という意識を持ち続けなければいけません。もし、儲けることを目的にすれば、一定の目標に到達すればよいと思ってしまう。それを戒めるためにも、社員には、自分たちが何のために働いているのか、本来の目的を常に考えようと呼び掛けています。

本田宗一郎の「人をやる気にさせる」3つのポイント

もう1つは、「頭ではなく身体で考える」こと。研修では、本田さんの薫陶を受けたホンダの元エンジニアの小林三郎さんのお話を聞く機会がありました。小林さんが、本田さんから教えてもらった一番大事なこととして挙げていたのが、この言葉です。「頭で考えただけで物事を判断するなんてとんでもない。現場・現物・現実を実際に経験することによって、初めて正しい判断ができる」――この言葉を聞いて私は、まさにこれだと思いました。

私は三菱地所に入社以来、ニュータウン、横浜ランドマークタワー、丸の内と一貫して街づくりに携わってきました。どの街づくりにも共通するのは「この開発は相手にとってどんな意味があるのか」を、相手と話し合いを重ねながら考え続けたことです。まさに頭だけではなく身体で考えなければ、共感を得ることはできなかったと、小林さんの話を聞いて実感したのです。

街づくりとは、そこに生活する人々の想いを結集させることであり、その中に自分がいかに溶け込めるかが重要です。いまもそれは変わりません。池袋の街とともに成長する未来をつくっていきたいですね。

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合場 直人(あいば・なおと)
サンシャインシティ社長
1954年、東京都生まれ。小樽商科大学卒業後、77年三菱地所に入社。代表取締役専務執行役員などを経て、2018年より現職。高校、大学ではラグビー部に所属。

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(サンシャインシティ社長 合場 直人 構成=増田忠英 撮影=研壁秀俊)

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