「日本は本当の地獄を見る」…コロナ&消費増税のW危機で令和大恐慌へ!
プレジデントオンライン / 2020年4月1日 17時15分
■景気はどん底まで落ちていくことになる
日本経済はリーマンショック以来の危機に陥りつつある。昨年末に実施された消費増税は2月10日に発表された2019年10~12月GDP速報値年率マイナス6.3%という結果をもたらした。安倍首相は3月16日参院予算委員会で新型コロナウイルス感染症が発生する前までは上向きの動きが見られていたと述べており、日本政府としては増税に伴う補正予算が功を奏してきたと強弁したいところだろうが、誰がどう見ても消費増税の景気に対する悪影響は否定できない。
増税によって本当に景気に悪影響が出ないならば、補正予算を組んで何度でも消費税を引き上げればいいが、そのような荒唐無稽なことには誰も賛同しないだろう。もちろん現実もそれを肯定していない。消費増税が影響を与えるものは消費者心理や企業の設備投資意欲である。個人消費が抑制されることによって、もともと国内市場動向に悲観的な企業が投資をさらに抑制する。日本経済の各プレーヤーの間に国内市場が縮小していく連鎖がもたらす「恐怖」が認識されることで景気はどん底まで落ちていくことになる。
このGDPの大幅減少は中国武漢で新型コロナウイルス問題が発生する以前のものである。ウイルス騒動で日本経済がさらなる経済的な追い打ちを食らうことは火を見るよりも明らかだ。
■渡航制限、施設閉鎖、集会禁止が経済に負の影響
世界各国に飛び火した新型コロナウイルスは感染力の強さもさることながら、メディアを通じて世界中の人々に対して恐怖の種がバラまかれた影響は極めて大きい。中国政府による強引な武漢封鎖の模様は各国世論に負の衝撃を与えるには十分なものだった。実際、携帯などで撮影された、次々と街中で倒れる人々の映像などを目にして、明日は我が身と思った人も少なくないだろう。また、中国は世界の製造業の集積地であり、その混乱は各国のサプライチェーンにも甚大な被害を与えることから、モノ不足に対するデマもまき散らされた日本ではトイレットペーパーがなくなる事態が発生し、店頭ではデマに騙されないための注意書きが張り出される状況となった。
新型コロナウイルスの感染報道に対して最も恐怖した人々は各国の為政者であった。各国の為政者は季節性インフルエンザよりも遥かに少ない被害状況にもかかわらず、自らの政治責任を回避するために強権的な対応を断行している。各国で実施された措置の新型コロナウイルスの感染阻止に関する効果については議論がある一方、それらの措置は人々の経済活動に確実に打撃を与えるものだった。渡航制限、施設閉鎖、集会禁止などについて感染防止効果に関する論評は別としても、それらが経済活動に負の影響を与えていることを否定する人はいないだろう。
■今こそ、消費税軽減税率の全品適用を
新型コロナウイルスが与える恐怖はすでに単なる感染症の域を超えて、経済恐慌を引き起こすレベルにまで拡大しつつある。米株式市場は何度もサーキットブレーカーを発動し、連日のように激しい値動きを繰り返している。ただし、米国の場合は今回の騒動は減税や規制廃止によって経済・雇用がいずれも底堅い中での出来事であるため、新型コロナウイルスがもたらす危機を乗り越えた後には徐々に経済が回復軌道に乗る可能性もある。トランプ大統領が提案する給与税減免による経済対策は未曽有の規模であり、それらが議会での煩雑な交渉を経つつも、実際に成立していくことで景気は下支えされることになるだろう。
一方、日本経済は消費増税によって景気の足腰が砕かれており、中国経済の新型コロナウイルスによる景気後退の影響をもろに受けることになる。そのため、米国経済が持ち直すのを尻目に新たな令和恐慌に突入していく可能性が否めない。日本政府の今回の危機への対応は常に後手に回っている印象がぬぐえず、特に経済対策に関しては極めて甘い認識しか示していないように思う。経済活動は人間の心理による部分も大きく、日本政府は日本人の景気に対する心理を上向きにさせる政策を一切提示せず、現状に対する対症療法的な方法で急場を乗り切ろうとしている。このような現状を改めて今こそ、消費税軽減税率の全品適用などの大胆な景気対策を講じるか否か、日本経済のリセッションを回避するための大きな岐路となるだろう。
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早稲田大学招聘研究員
国内外のヘッジファンド・金融機関に対するトランプ政権分析のアドバイザー。米国共和党保守派やトランプ政権と深い関係を有する。
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(早稲田大学招聘研究員 渡瀬 裕哉)
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