1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

コロナ禍を機に「ワンオペ育児」を卒業したい妻が夫に提案すべきこと4つ

プレジデントオンライン / 2020年5月8日 6時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/itakayuki)

在宅勤務や休校が広がり、平日も家族全員が家にいるという家庭が増えています。子どもを預けることもままならない分、育児分担がより気になっている人も多いのでは。男性学を研究する田中俊之先生は「今こそ夫婦で話し合いを」と言います。

■専業主婦ありきの働き方が元凶に

2000年代以降、フルタイム共働き世帯の増加に伴って「ワンオペ育児」に悩む女性も増えています。育児にあたって夫の協力が得られず、1人で奮闘する女性は以前からたくさんいました。特に高度経済成長期、女性の多くが専業主婦だった時代には、むしろ一般的な家庭像として捉えられていたぐらいです。

それがなぜ今、問題になっているのでしょうか。高度経済成長期と今で最も大きく違うのは「女性の働き方」です。男性の働き方は以前と変わらず、多くの企業で、家に専業主婦がいることを前提とした長時間労働が行われています。

しかし女性は、従来あったワンオペ育児と同時に、フルタイムの仕事も抱えるようになりました。それなのに男性が専業主婦ありきの働き方を続けていては、女性の負担は増すばかりです。

今は育休や時短勤務の制度もありますが、現状では利用者の大多数が女性です。早くフルタイムに復帰してキャリアを築きたいと思っていても、夫の働き方が専業主婦ありきのままではなかなか実現できません。その結果、ワンオペ育児が続いて時短勤務も長引いていく──。この悪循環に、もどかしい思いをしている人も多いのではないでしょうか。

■1.長時間労働を考え直す

今は男性も女性も、仕事と育児を両立しなければならない時代です。それなら2人でしっかり分担して、忙しい時期も力を合わせて乗り切っていくべきでしょう。では、育児分担はどうすれば実現するのか。

夫のほうに問題意識がない場合は、ぜひ自分から解決策を提案してみてほしいと思います。具体的な提案内容としては、次の4つが考えられます。

1つめは、夫に長時間労働をやめてもらうこと。昭和的働き方を続けている男性が育児の時間をとるためには、まず「残業して当たり前」という意識を変える必要があります。ただ、これは勤め先の企業風土が大きく影響しますし、夫の残業代を前提に家計が成り立っていると、夫婦どちらにとっても苦しい選択になります。夫ののちのキャリアに影響する可能性もあるでしょう。

■2.「人を頼る」意識を夫婦で共有する

これが難しい場合は、2つめとして「外部を頼る」手があります。夫婦だけで育児を完結させようとするのではなく、積極的に人や地域に頼るのです。私はこの手をフル活用して、地域のコミュニティサポーターにお迎えをお願いしたり、自治体のベビーシッター制度を頼ったりしていました。

また、日曜日に仕事が入った時は、私の弟に来てもらっていました。弟はまだ若いのですが、子育てで大変な時期は終わっているので、私の子どもの面倒をよく見てくれました。思い起こせば私たち兄弟も、日曜日が休みではなかった父親に代わって叔父によく遊んでもらっていたものです。

このように、今後は「家庭のことは家庭の中で」ではなく、もっと外部に開いていく意識が必要だと思います。私も、育児が始まった当初は全部夫婦2人でやらなくてはと思い込んでいましたが、人や地域を頼るとぐんと気が楽になると知りました。妻のほうも友達にサポートを頼んだりと、積極的に人を頼っていたものです。

「ワンオペ育児」をなくすには、これが一番現実的な手段かもしれません。今はコロナの感染拡大で外部には頼りにくい状態ですが、その後を見据えて今のうちに夫婦で意思を共有しておいたほうがいいと思います。

■3.仕事を“二番手”にする

3つめの策は、ツーオペ育児ができるよう夫に働き方を変えてもらうことです。子育てに理解のある会社に転職する、残業のない部署に異動する、あるいは会社員ではなくフリーランスや自営業の道を模索する、といったことですね。

これは夫のキャリアにとって大きな決断になるだけでなく、妻のほうも家庭全体の収入が下がる、つまり生活レベルが下がると覚悟する必要があります。極端に言えば、いったん育児を最優先にして仕事を二番手にするということです。

いま4歳と0歳の子どもを育てていますが、もっと子どものそばにいたいという思いから、教員以外の仕事を大幅に減らしました。講演会や執筆活動を減らしたため、年収は大幅にダウンしましたが、後悔はまったくありません。自分にとっては、子どもの成長を見られる喜びのほうが大きかったからです。

ただし、これは私の個人的な価値観によるものです。私はもともと働くことがそれほど好きではなく、子どもと遊んでいるほうが楽しいタイプ(笑)。猛烈に働いて稼ぐことが男らしいとされる日本社会では、私のようなタイプは少数派と言えるでしょう。

それでも、妻のほうから「収入が減ってもいいから子どもと過ごして」と提案するのは大いにアリだと思います。「男性は皆、目いっぱい働きたいに違いない」というのは思い込みかもしれません。昭和的な男らしさにとらわれず、ぜひ一度提案してみてほしいですね。

■4.自分が大黒柱になる「逆ワンオペ」

4つめは、育児を全面的に夫に任せる「逆ワンオペ」です。今は男性よりキャリア志向が高く、バリバリ働きたいという女性もたくさんいます。家庭のことは夫に任せて自分が大黒柱になる。そんな女性もこれからは増えていくでしょう。

男性の中にも、大黒柱の座から降りたいと願う人が増えてきていますから、提案してみたら意外にすんなりと受け入れられるかもしれません。私だったら、諸手を挙げて賛成すると思います(笑)。

日本における男らしい人とは、今も競争社会を勝ち抜ける人。しかし、そんな風潮は男女どちらにとっても重荷でしかありません。これから結婚する人は、できれば「異類婚」を検討していただきたいですね。バリバリ働きたい女性は、キャリア志向ではない男性と結婚する道もあります。パートナー選びに際しても、従来の男らしさにとらわれない選択をしていただければと思います。

----------

田中 俊之(たなか・としゆき)
大正大学心理社会学部人間科学科准教授
1975年生まれ。博士(社会学)。武蔵大学人文学部社会学科卒業、同大学大学院博士課程単位取得退学。社会学・男性学・キャリア教育論を主な研究分野とする。男性学の視点から男性の生き方の見直しをすすめる論客として、各メディアで活躍中。著書に、『〈40男〉はなぜ嫌われるか』(イースト新書)、『男がつらいよ 絶望の時代の希望の男性学』(KADOKAWA)『中年男ルネッサンス』(イースト新書)など。

----------

(大正大学心理社会学部人間科学科准教授 田中 俊之 構成=辻村 洋子 写真=iStock.com)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください