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コロナ感染リスクが高い職種トップ30と発熱率が高い職種

プレジデントオンライン / 2020年5月13日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/miljko

■コロナ禍で最も発熱率が高い職種

4月30日、厚生労働省はLINEと協力して実施した〈第1~3回「新型コロナ対策のための全国調査」からわかったこと〉を発表した。報道資料によれば、〈4月7日の緊急事態宣言後、密閉・密接・密集の3密回避の徹底は、全国的に広がりを見せて〉おり、緊急事態宣言が最初になされた東京をはじめとする7都道府県では3密回避率が全国平均より高いものの、〈「他の人と、近い距離での会話や発声をしないようにしている」が最も実施が難しい〉という結果が得られたという。

緊急事態宣言前に行われた第1回調査では、「3密を回避できるかどうか」などの勤務形態・日々の過ごし方などをもとに、職業・職種を6つに分けた分析を発表している。

(1)比較的長時間の接客を伴う飲食店、対人サービス業、外回り営業職など
(2)医療職、介護職
(3)オフィスワークを主とした内勤営業、流通・物流業システムグループ
(4)教職員、学生・生徒
(5)専業主婦/主夫など
(6)その他(上記以外)

この中で、最も発熱率が高かったのはグループ(1)に属する職業だった。

■コロナリスクが高い職業、低い職業

緊急事態宣言後は休業や短時間営業措置を取る飲食店も増え、食料品や医薬品を販売する小売店なども、店員と客の間にビニールシートを挟み、直接飛沫等がかからないような対策を取る店が大半になりつつある。そうした状況の変化を考えれば、現在、直に人と接する機会が多いうえに休むことのできない医療関係者、介護職関係者の“感染リスク”が最も高い状態にあると言えそうだ。

投資家向けのコンテンツ配信を手掛ける米「Visual Capitalist」が業務中の複数の要因から弾き出した結果に基づき「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患するリスクが高い職業、低い職業」をランキング形式で発表している。アメリカの事例であり、実際に新型コロナに罹患した患者の人数ではなく、あくまでも「リスクが高い」とみられるランキングではあるが、緊急事態宣言が延長となる日本でも参考にはなるだろう。

調査では、(1)他の人との接触、(2)物理的近接性、(3)病気と感染症への暴露という3つの観点からリスクを算出している。そこから米国内で2万人以上いる職業のみを抽出し、ランキングにしている。

■もっともリスクが高いのは歯科衛生士

これによると、最も感染リスクが高いのは歯科衛生士だ。確かに、マスクやゴーグル、手袋をしているとはいえ、患者の口腔内に直接接触しなければならない歯科関係者のリスクが高いのは言うまでもないだろう。先に挙げた3つの観点もすべて当てはまる。

同じ歯科関係では、歯科助手が3位、歯科医師は4位にランキングされている。なぜ歯科医師よりも歯科衛生士や助手のほうが、リスクが高いのか。歯医者に行ったときのことを思い出してみれば納得がいく。

患者として歯科にかかると、まず衛生士や助手によって口腔内のチェックが行われ、だいたいの症状を確認してから医師が登場するという経験がないだろうか。あるいは、治療後のケアやクリーニングなどの定期チェックであれば、医師ではなく歯科衛生士や助手だけでその回の診療が終わることも少なくない。

ランキングのトップから50位くらいまでは、医師や検査技師、看護師を含む医療関係者がほぼ独占。日本では歯医者から感染クラスタが発生したという報道はないが、院内感染による新型コロナ感染者は4月24日時点で全国およそ60の医療機関で、1086人となっている。

■介護士のリスクやや低い理由

「Visual Capitalist」のランキングに戻ると、医療従事者が独占するなかで20位に客室乗務員、31位にバス運転手(学校など特別なクライアント)、39位に美容院などがランクインしている。幼稚園教諭などを含む教育関係者も100位以内に入っているが、休校になっている状況を考えれば現在のリスクは低いだろう。その他、消防士、窓口業務、俳優、ネイリストなども名を連ねる。

介護士は医療関係者に比べるとリスク評価がやや低いようだが、これはあくまでも外部の人間の往来が病院に比べて低いためであり、実際のリスクは、施設内感染を防げるかどうかで大きく変わってくる。

4月29日、千葉県は県内で新型コロナウイルスに感染し、死亡した31人のうち17人が、集団感染が起きた2カ所の高齢者介護施設の入所者だったことを明らかにした。施設内で亡くなった11人のうち、8人は延命措置を希望せず、2人は救急搬送しないという同意を得ていたことも併せて発表された。

一度ウイルスが持ち込まれれば、高齢者で抵抗力の弱い入所者はもちろん、直接ケアを行う介護士の感染リスクは格段に高まる。施設内での感染症の蔓延を防ぐには「病原体を持ち込まない・持ち出さない・広げない」の3原則が必要とされるが、介護職の場合は中でも「持ち込まない」ことが重視されよう。

■感染リスクの高い人ほど、「要にして急」な仕事

また、こうしたリスクの有無と実際のデータをつき合わせることで見えてくるものもある。

先にも述べたように、厚労省とLINEの第1回調査では、感染リスクの高い歯科を含む医療関係者や介護職の関係者よりも、飲食店や接客業のほうが「発熱率」が高かった。これは感染リスクの高い職業ほど、手指衛生をはじめとする感染対策意識が高いためにリスクほどの感染者を出していないと言えるのではないだろうか。

さて、ここで絶対に忘れてはいけないのは、感染リスクの高い人ほど、「要にして急」な仕事についているという点だ。医療関係者にせよ、スーパーの店員にせよ、生活インフラを支えているからこそ感染リスクが高まるのであり、そうであるにもかかわらず、これまで以上に働くことを求められている。

ここに挙げられた職業に従事する人たちはもちろんのこと、実際に罹患した人たちも含めて、世間から差別されるようなことはあってはならない。

■厚労省「医療従事者への理解と応援を」

厚労省は5月1日、〈新型コロナウイルス感染症に立ち向かっている医療従事者へのご理解と応援をお願いします〉と題する報道資料を発表した。

〈医師や看護師、臨床検査技師、薬剤師といったすべての医療従事者は、国民の命を守るため、日々懸命に新型コロナウイルス感染症に立ち向かっていますが、残念なことに、医療従事者がタクシーへの乗車を拒否されたり、そのお子さんが保育園から通園を断られたりするケースがみられています。これらのような「不当な偏見」や「差別」は許されないものです。国民の皆さま一人一人が正しく行動していただくことが、医療従事者に対する応援となります〉

そうした意図をもとに、厚労省は意識啓発のポスターを作成。そこにはこんな文言がある。

〈医療従事者が乗車拒否をされたり、そのお子さんが通園を断られたり。そんな風評被害が起こっています。

感染が怖いから……。でも、それは医療従事者も同じ。それでもみんなの命を守るため、新型コロナウイルスと戦ってくれている人々に、みんなで感謝とエールを送れる社会でありたいですね〉

■コロナ差別が起きるようでは、成熟した社会とは言えない

日本の新型コロナ対応は初期のクラスタ追跡が功を奏した面もある。だが、不幸にも名指しでクラスタ認定されてしまった店舗や業種に対しての風評被害は許されてはならない。

また、厚労省の通達が物語っているように、最前線で新型コロナと戦っている医療関係者に偏見を持つ、差別するなどというのは愚の骨頂だろう。院内感染や「感染高リスクの職業」などが報じられることによって、「やはり医療関係者は感染しやすいんだ」とばかりに差別が起きるようでは、成熟した社会とは言えない。

ウイルスは感染する宿主(人)を選ばない。こうした情報は、あくまでもその職業に従事する人と顧客が、「より防疫を意識すべき職業や場所」であることを知るためにのみ、用いられるべきである。

■コロナリスクが高い職業。ランキングを独占する医療関係者

コロナリスクが高い職種トップ30

(長篠 つかさ)

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