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地獄のリストラ連鎖…日本を襲う「大・早期退職時代」で野垂れ死ぬ人

プレジデントオンライン / 2020年5月14日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/400tmax

いま、コロナショックによる"雇用クライシス"が叫ばれている。4月28日の総務省の発表によると、完全失業者数は176万人と前年同月に比べ2万人も増加している。さらに、アメリカでは4月の失業率は14.7%と戦後最悪となった。「これから起きるのは、早期退職と大規模なリストラ。雇用大崩壊はすでに始まっています」。そう解説するのは、人気アナリストの馬渕磨理子氏。2020年、あなたの会社でも起きるリストラのシナリオはすでに決まっている——。はたして、それを個人で防ぐ策はあるのか。

■「失業率32%」レポートの衝撃

日本の雇用大崩壊のシナリオは、よりコロナショックの大きいアメリカの様子を見ればその深刻さがわかります。セントルイス連邦準備銀行によると、今後、アメリカの失業者の数は4700万人以上、失業率は32%に達するおそれがあるという衝撃的なデータが発表されています。

失業者が増えることで起きるのは、社会からの排除です。

会社組織が多かれ少なかれ居場所となっていた人たちが居場所を失い、孤立していく——。今後増える可能性があるのは、コロナによる死亡リスクよりも、社会的排除による自殺リスクなのです。人は金銭的に生きるのが難しくなることよりも、希望を失うことで社会に参加する動機が失われやすいのです。

事実、厚生労働省が発表した「社会的排除にいたるプロセス~若年ケース・スタディから見る排除の過程~」という調査によると、生活困難に最も直接的につながっていると考えられる潜在リスクとして上位を占めるのは、「本人の精神疾患」「職場環境の問題の中で初職の挫折、不安定就労(頻繁な転職)」「生活環境」など。精神的不安定はそのまま社会からの排除の入り口となる可能性があるのです。

■「戦う場所」と「努力の方向」を定め、自分の身を守った成功例

では、コロナショックが起きている現在において、私たちはどのような方策を打てばよいでしょうか。それは、"いま社会(企業)で必要とされていること"を読み取り、実行することにほかなりません。

あるアパレル業界のデベロッパーで14年間勤務していた40代男性のエピソードをお話しします。彼は、19年メディカル系のデベロッパーに転職を果たしました。その背景にあったのは、ECの台頭。アパレル業界は実店舗での売り上げが伸びにくくなり、近年、イオンなどの大型ショッピングモールでは、クリニックなどメディカル領域のスペースを拡充している動きがあります。

そこで、彼はアパレル業界で培ったデベロッパーとしてのノウハウや人脈を、成長市場である医療分野に切り替えて転職したのです。

なぜアパレル業界の経験が活かせるのか? そう思った人も少なくないでしょう。

彼を面接した担当者によると「彼はアパレル業界のデベロッパーで培ったタスクや人員配置の効率化のノウハウを持っていただけでなく、友人のMR(医薬情報担当者)に事前に話を聞き、弊社に就職した際にどのようなことができるかまでの提案をしてくれた姿勢が素晴らしかった」と述べています。

つまり、これまでの自身の強みをアピールできたことに加えて、すでに転職先の業界を研究し、自分が転職先で提供できる価値や業務を提案することまでできていたのです。

■「必要とされている価値」はどのようにして得るか

コロナショックが落ち着いた後も、社会的排除のリスクがなくなることはありません。

いまや3人に1人が単身世帯の日本。年齢を重ねるほど、一人で暮らす人の割合は高くなっており、孤独死が問題視されているのは周知の通りです。つまり、社会的排除のリスクをわれわれ全員が抱えていると言えるでしょう。

現在、厚生労働省では「学び直し」とともに、「社会関係を結ぶ」ことを積極的に提唱しています。

たとえば、50代になれば自分の同級生が跡取りで社長になっていたり、企業で出世しているケースがいくつかあるものです。そこで、自分のかつてのコミュニティとゆるやかにつながっておくことで、いざというとき、セーフティネットとして自分を守ってもらうのです。

今年、あるM&Aを手掛けている会社でリストラされた50代男性は、過去に医療法人で事務長をしていたそうです。彼はかつての医療法人時代の縁をたどることで、現在はクリニックのコンサルティング会社に再就職を果たしています。これは、過去の人脈を掘り起こして生き残ることができた事例と言えるでしょう。

■あなたの価値を測る3つのチェック項目

とはいえ、同窓生との「縁が切れている」「まだ若いので定年退職後のことなど考えられない」という人も少なくないはず。

30〜40代のビジネスパーソンは、将来を見据えて、自分の価値やスキルの棚卸しすることをおすすめします。

そこでチェックしてほしいのは下記の3つの項目です。

1. 人脈を持ってこられるか?
2. 技術を持ってこられるか?
3. 資格・経歴を持ってこられるか?

人脈については、自分のお願いごとを何人の人が聞いてくれるか? を考えてみるとわかりやすいでしょう。これは、20〜30代頃の仕事の積み重ねによって得た「信頼貯金」のようなもの。

2つの目の「技術」は、プログラミング、マーケティング、広報、クリエーティブ、編集、マネジャーなどが該当します。これらの技術は、チームの中で発揮されることが多いため、実績とスキルを相手にわかる言葉で説明できる必要があるでしょう。

■外出自粛中の今だからこそ、やるべきこと

最後の「資格・経歴」は弁護士、会計士、建築士などがまずわかりやすいでしょう。転職先に有資格者がいなければ、あなたに優先的にオファーが来るのは間違いありません。しかし、難関資格などを持っていないし、今更取得するモチベーションもないという人も少なくないはずです。

そこでもっとも重要なのが「経歴」を持ってこられる人です。

コンプライアンスの実務経験のある人、CFO(会計士とは限らない)の経験のある人、金融業界勤務歴10年以上の人、IR(インベスター・リレーションズ)の経験のある人などは、近年スタートアップ領域でかなり必要とされている人材です。

いますぐできるのは、自身のこれまでの仕事を振り返り、計量的に、希少性のある、圧倒的な経験を言葉にしてみること。社会的に必要とされる人材であればあるほど、社会的に排除されるリスクは軽減します。自宅で仕事をする時間が増えたいまこそ、自分のキャリアの棚卸しをおすすめします。

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馬渕 磨理子(まぶち・まりこ)
テクニカルアナリスト
京都大学公共政策大学院を卒業後、法人の資産運用を自らトレーダーとして行う。その後、フィスコで、上場企業の社長インタビュー、財務分析を行う。

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(テクニカルアナリスト 馬渕 磨理子)

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