プロ家庭教師が断言「小学生は子供部屋で勉強させてはいけない」

プレジデントオンライン / 2020年6月16日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kohei_hara

子供の勉強はどこでさせるのがいいのか。プロ家庭教師集団「名門指導会」代表の西村則康さんは「小学生以下の学習はリビングでするのがいい。ただしいくつかのコツがある」という――。

■小学生のうちは、まだ一人で勉強できない

「あの子、今日はずっと集中して勉強しているわね」

普段なら、テレビやお菓子の誘惑に負けて、ちょくちょくリビングに顔を出すわが子が、今日は自分の部屋にこもってずっと勉強している。

「6年生になったら、さすがに受験生としての自覚が芽生えるものね!」

親としてはこんなにうれしいことはない。だが、本当に勉強をしているのかはわからない。勉強をしているふりをして、親に隠れてこっそりマンガを読んでいたり、ゲームをしていたりすることがある。特に受験が近づくほど、心のバランスをとるために楽しい方へと気持ちが動くものだ。

小学生の子供は閉めきった部屋では勉強できない、と思っておいたほうがいい。なぜなら、子供は頑張っていると認めて、褒めてもらいたいと思っているからだ。小学生とはいえ、高学年になると、親に対してくちごたえをするなど反抗的な態度をとるようになる。しかし、まだ11歳、12歳の子供、一人で勉強ができるほど精神年齢は高くない。

■褒め言葉を「20~30個」用意しておく

子供は人目を気にしながら自分を律して勉強する。だから、親の目は不可欠だ。そういうと、子供の横に張りついて、終始チェックをしてしまう親がいる。だが、チェックする視点で見ると、どうしてもできていないところに目がいってしまう。すると、ついあれこれ言いたくなってしまうのが親というもの。

ここでいう「見る」は、褒めるためであって、チェックすることではない。子供のいいところを見つけ、「頑張っているね」「今日はちゃんと式が書けているね」「計算のスピードがずいぶん上がったね」と、気づいたことを子供に伝えてあげてほしい。そんなに褒めどころがないのだけれど……と言いたい親もいるだろう。確かに毎日見ていると、これといった褒めポイントがないこともある。だが、中学受験をしない子供たちと比べたら、この時間に机に向かって勉強していること自体が「頑張っている」と言える。

なかなか褒め言葉が浮かばないのなら、20~30個くらい褒め言葉のレパートリーを用意しておくといい。大事なのは、「毎日あなたが頑張っていることを知っているよ」というメッセージを伝えてあげることだ。

■四六時中「見ている」必要はない

小学生の子供は親の視線があるところで勉強するのが理想だ。すると、必然的にリビングかダイニングで勉強をすることになる。そんなにヒマじゃないのだけどな、と言いたい親もいるだろうが、その心配はない。視線が大事なのであって、四六時中見ている必要はないからだ。子供が勉強している間に、晩ご飯を作っていてもいいし、仕事をしていても構わない。

子供は静かすぎると集中できない。家族の足音、お母さんが野菜を切る包丁の音、PCを軽快に入力する音……、こうした生活音があるほうが安心する。この「心の安定」が小学生の子供には欠かせない。

とはいえ、家族構成によっては、リビングは兄弟ゲンカの場になることがあるし、夜は家族の団らんの場としてテレビもつく。とても集中できそうにない。

例えば小さい兄弟がいて、弟がちょっかいを出してくる場合はどうしたらいいか。上の子が勉強している間は、親が下の子の相手をしてあげるか、リビングの一角に上の子専用の勉強コーナーをつくり、邪魔をさせないようにするなどのひと工夫が必要だ。年が近い兄弟なら、下の子も巻き込んで「この時間は机に向かう時間」と決め、宿題をやらせたり、読書の時間にしたりすれば、お互い集中できるだろう。

■テレビは「世の中を知る」ツールになる

問題集を解くなど集中したい時は、生活音以外のBGMはやめておくべきだ。兄弟がテレビを見ている横で勉強をしろと言われても集中できないだろう。

だが、受験にテレビが必ずしも「悪」というわけではない。近年、中学受験の社会入試には時事問題が多く登場するため、日々のニュースは見ておいたほうがいい。また、国語入試の物語文には、貧困問題や複雑な家庭の話などが題材になることも多い。理科では自然災害が頻出だ。受験生だからといって勉強ばかりさせていて、世の中のことを何も知らないのは問題だ。テレビは世の中のいろいろなことを知ることができるツールとして活用したい。

その際、ぜひ親子で一緒に見ることを勧めたい。例えばニュースを見ながら、1つ、2つのテーマについて親子で意見を交わし合うといい。子供はニュースを見てわかった気になっているけれど、実はあまり理解できていないこともある。また、親子で意見を交わすことによって、いろいろな考え方があることを知るし、自分自身の考えを伝える練習にもなる。新しい教育で重視されている「思考力・判断力・表現力」は、家庭で養われていく。

■LED照明で、勉強中と団らんタイムの明かりを変える

リビング学習は、子供の「心の安定」には適しているが、学習環境としては必ずしも適しているわけではない。ダイニングテーブルは本来食事をするための机であり、学習机ではない。そのため、机と椅子の高さが合わなくて、姿勢が悪くなることもある。高さが合わない場合は、椅子の下に何かを敷き、足がぶらぶらしてしまうようなら、足台を用意しておく。

また、リビングの照明は、大人がリラックスできるように落ち着いた明るさの照明にすることが多い。それでは勉強するのには暗すぎて、眠くなってしまうだろう。勉強に適した照明は昼光色だ。それも、一部だけを照らすスタンドより、部屋全体を照らすもののほうがより自然でいい。そこでおすすめしたいのがLED照明だ。LED照明であれば、ボタン一つで勉強中は昼光色、食事の時は昼白色、家族の団らんタイムは電球色といったように明るさを調整できる。家族みんながストレスを抱えない空間であることが大事だ。

■ときどき窓を開けて、風を感じるのも大切

夏の暑い日は、一日中エアコンをかけがちだが、ときどき窓を開けて風を通してほしい。自然の風を感じることも大切だからだ。人間は変化のない空間にずっといると、身体感覚が育ちにくい。暑かったり、寒かったりといった肌感覚がないと身体感覚が鈍り、いろいろなことに興味を示さなくなる。小学生の子供の学びには好奇心が必要だ。快適すぎるリビングは五感を鈍らせてしまうことを知っておいてほしい。

家庭教師として多くの家庭を訪問して思うのは、中学受験家庭はリビングが子供の教材であふれていることだ。塾によっては、毎週冊子が配られるため、どんどん教材がたまっていく。親は心配で受験が終わるまでとっておきたがるが、すべてをとっておく必要はない。1年分は段ボールにまとめて保管し、一度も見返すことがなければ捨ててしまっていいと思う。

受験が終わったら、もう中学生なのだからと自分の部屋で勉強をさせようとする親は多いが、中学生になっても本人がリビングで勉強をしたければ続けていい。

■大学受験までリビングで勉強する子もいる

中学受験以来、私が指導している中3の男の子は、家の自分の勉強部屋だと集中できないから、外で勉強をしたいと言う。緊急事態宣言が出る前の春先には、ショッピングセンターのカフェで2時間一緒に勉強した。子供は人目を気にしながら自分を律して勉強する。小学生のうちは親に見守られながら勉強することが心地よいと感じていたが、中学生になると反抗期もあって、親の目をうるさく感じるようになる。そんなとき、家でも学校でもない場所で、親でも学校の先生でもない第三者の目を意識しながら勉強するのが、彼にとってはいいのかもしれない。

勉強は自分がしたいところでやればいい。大学受験もリビングで勉強する子もいる。暗記教科などゆるい勉強は、家族の気配があるリビングでリラックスしながら覚え、じっくり考える問題の時だけ自分の部屋で勉強するなど、使い分けている子もいる。いずれにしても、「勉強は、自分の部屋でやるものだ」と決めつけてはいけない。

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西村 則康(にしむら・のりやす)
プロ家庭教師集団「名門指導会」代表/中学受験情報局 主任相談員
日本初の「塾ソムリエ」として、活躍中。40年以上中学・高校受験指導一筋に行う。コーチングの手法を取り入れ、親を巻き込んで子供が心底やる気になる付加価値の高い指導に定評がある。

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(プロ家庭教師集団「名門指導会」代表/中学受験情報局 主任相談員 西村 則康 構成=石渡真由美)

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