マスゴミの印象操作…「米国民の半数以上は暴動鎮圧への軍派遣に賛同していた」

プレジデントオンライン / 2020年6月11日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/skybluejapan

■相変わらず反トランプ一色の日本メディア

5月25日、ミネアポリスで発生した白人警察官によるアフリカ系のジョージ・フロイド氏殺害の模様がSNSで拡散、その後全米での大規模な暴動が発生したことで、日本国内でもこの問題に起因する暴動事件の報道が増えている。

ただし、日本国内における米国報道は相変わらず反トランプ一色であり、民主党側の主張や論拠を垂れ流すだけの一方的なものでしかない。特に日本人有識者らによる「トランプ大統領を白人至上主義のレイシストとみなす」レッテル貼りの論評が幅を利かせている。それらの有識者とされる人々の意見が正しい場合、「トランプ大統領を支持している約半数の米国市民は白人至上主義のレイシストなのだろうか?」と素朴な疑問が浮かばざるを得ない。あり得ない話だろう。

日本人有識者の解説とは異なり、実際には一般の米国市民は極めて冷静な反応を見せている。

■米国民の大半は暴徒の無法行為を肯定せず

一例を挙げよう。

トランプ大統領は暴動を鎮圧するために米軍の派遣を示唆した発言を行った結果、大手リベラルメディアから激しい批判に受けるとともに、反トランプ色の強い共和党関係者からも同大統領の指導者としての資質を疑う声が上がった。日本人の有識者らはこれらの発言を取り上げる形で大々的なトランプ批判の言論を煽っていた。

しかし、米国の著名な調査会社Morning Consultが5月31日・6月1日に実施した世論調査によると、トランプ大統領の「警察を補完するために軍隊を派遣する」という考え方を支持する米国市民の割合は58%、つまり過半数の人々は同大統領の方針を肯定していることが判明した。つまり、米国民の大半は暴徒の無法行為を肯定しているわけではないのだ。

■米国世論の数字を無視したトランプ批判

その内訳としては、米軍の派遣を肯定する人々は共和党支持層(77%)が多いが、民主党支持層(48%)や無党派層(52%)、人種別でもヒスパニック(48%)、アフリカ系(37%)と少なくない割合が賛同している。ちなみに、アフリカ系でも軍の派遣に対する反対者は49%に過ぎず、残りは無回答14%となっている。米国世論の数字を無視したトランプ批判を鵜呑みにすると、米国の現実、そしてトランプ政権の意図を読み間違えることになってしまうだろう。

本論稿は、民主党側の視点からの主張ではなく、あくまで共和党側の視点で現在の米国の問題について解説していく。そうすることで、読者諸氏はトランプ大統領および共和党が何を狙って、その政治的メッセージを発しているのかをその意図を捉えることができるようになるだろう

■トランプによる「米軍派遣」の本当の狙い

何故、トランプ大統領はメディアや反トランプ関係者から批判が出ることを承知で、米軍の派遣を示唆するコメントを行ったのであろうか。その理由を理解するためには現代の米国における政治対立の文脈を踏まえる必要がある。

米国では現職大統領や連邦議会多数派の連邦政府運営者と州知事・市長らの地方政府運営者の間に党派の違いが生じることで深刻な社会的分断が発生しがちである。

2020年現在の政治対立は、「連邦政府(ホワイトハウス・連邦上院)=共和党」、「地方政府(大都市の州知事・州都の市長)=民主党」という構造を背景としている。したがって、トランプ大統領や米国共和党がNY州・カリフォルニア州・ラストベルトなどの民主党が強い地域の地方政府と社会問題の解決方法を巡って政治的な刃を交えている状況となっている。

共和党は建国の理念を重視する政党であり、合衆国憲法の教条主義的な遵守、そして法と秩序の維持を掲げる政党だ。地方分権的な性格を強く持つ政党ではあるが、同時に安全保障や司法関係については強い中央集権的傾向を持つことにも特徴がある。共和党は対立する民主党を「合衆国憲法を不当に解釈し、法と秩序を乱す存在」として批判している。

■テレビのコメンテーターは頓珍漢なのか

そのため、2020年大統領選挙・連邦議会議員選挙に際して、トランプ大統領と共和党は民主党が支配する地方政府で起きている法と秩序の崩壊が米国の連邦政府全体で発生しても良いのか、というメッセージを米国市民に提供している。このメッセージを理解しないと共和党側の主張内容は理解できず、トランプ政権の意図について頓珍漢な解説しかできないだろう。

ここで、読者の理解促進のために、幾つかの具体例を挙げてみよう。

トランプ大統領及び共和党が民主党による法と秩序への破壊として取り上げる象徴的な問題は不法移民問題である。不法移民は合衆国憲法に忠誠を誓っておらず、法と秩序を犯す象徴的な存在だ。したがって、共和党は不法移民に対して強硬な姿勢を示してきた。特に民主党が支配するリベラルな都市は不法移民に甘い「聖域都市」と呼ばれており、不法移民を収監しても直ぐに解き放ってしまう等の問題が指摘されている。トランプ大統領は聖域都市に対して、不法移民に対する処置を是正しない場合は連邦政府からの補助金を停止する大統領令に署名しており、国境管理の法と秩序を取り戻すことを主張している。

■「民主党系州知事は民間経済を崩壊している」

もう1つ事例を挙げよう。

米国では新型コロナウイルスに伴う都市封鎖(ロックダウン)の権限は州知事が持っている。そして、同ウイルス問題が深刻な州は大都市部が多く、民主党州知事が存在しているケースが大半だ。米国における都市封鎖に関する州知事の権限は絶大であり、業種などを選定して経済活動を停止させることも可能である。最近では、トランプ大統領は連邦政府として経済再開を強く促しつつ、「民主党系州知事は民間経済を破壊している」として批判している。

つまり、民主党を市民生活に過剰な介入を行うことで私有財産権を侵害し、米国民の自由を保障する合衆国憲法に照らし合わせて望ましくない存在として印象付けようとしているのだ。これには民主党の経済運営の手腕を否定する目的もあるが、その根底には民主党に連邦政府を握らせた場合に行われる増税や規制強化を想像させる意図が存在している。

■民主党には法と秩序に基づく政府運営ができない

したがって、連邦政府(共和党)VS地方政府(民主党)の対立の文脈には、今回の暴動に対する対処の在り方も当然に内包されている。共和党側から見ると、暴動が発生している大都市部は民主党の州知事・市長が存在しており、「民主党には法と秩序に基づく政府運営ができない」という論理展開に繋がるのだ。

本来は暴動には民主党側が所管する地元警察や州兵が対処することが筋である。しかし、トランプ大統領が米軍の投入を示唆することで、共和党の法と秩序を守る姿勢を支持者に向けてアピールしているとみなすべきだろう。このような文脈を捉えなくてはトランプ大統領の発言の真意、そして同発言を支持する人々の受け止めは理解できないだろう。ちなみに、エスパー国防長官は米軍の投入に否定的だが、それは政治的な観点からの発言ではない実務担当者として発言だからだろう。

■相変わらず日本メディアは民主党側に偏っている

民主党側の視点である人種対立や格差問題の文脈からだけでは、現在の米国政治の問題を正確にとらえることは難しい。トランプ大統領や共和党の論理を知ることで初めて見えてくる米国もある。

2020年は米国大統領選挙の年であるが、相変わらず日本メディアは民主党側の偏った一側面からの報道が溢れ返っている状態だ。このようなリベラルなメディア報道の濁流に対し、米国政治について公平な視点から捉えることは益々重要になってくるだろう。

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渡瀬 裕哉(わたせ・ゆうや)
早稲田大学招聘研究員
国内外のヘッジファンド・金融機関に対するトランプ政権分析のアドバイザー。

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(早稲田大学招聘研究員 渡瀬 裕哉)

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