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窮地の文在寅が迷走…再び日本に"圧力"かけ、韓国経済大崩壊を招いてしまった

プレジデントオンライン / 2020年6月17日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/bgblue

■韓国、再びWTOへの提訴手続き開始

韓国政府は6月2日、日本による半導体材料など3品目の輸出管理の厳格化措置は不当だとして世界貿易機関(WTO)に提訴する手続きを再開すると発表しました。日本が提起したすべての問題について韓国は是正措置を取ったとして、日本側に5月末までに対応策を要求していたにもかかわらず、日本から対案が示されなかったと主張しています。

世界情勢が混迷の度を深め、希望と苦悩が錯綜している今日こそ、国際政治において、各国には、深い考察と行動が求められます。自国を正当化していく韓国の行く末は、どうなるのでしょうか。

今回のWTO再提訴の事の発端は、2019年7月に時点に戻ります。日本政府が、韓国向けの半導体など材料3品目の輸入管理を厳格化する措置を発動しました。当時、日本政府は「韓国の輸出管理に不十分な点があり、不適切な事案が起きた」とし輸出の厳格化措置を行っています。これに対して、韓国政府は日本の輸入管理を、元徴用工訴訟判決の対応への報復だと述べています。

■違法輸出、韓国から北朝鮮やイランへ

日本政府は「報復ではない」とする見方を示しました。さらに、世耕弘成経済産業相(当時)は「不適切な事案」については、「韓国から第三国への具体的な輸出案件を念頭に置いたものではない」と、一歩引いた発言をしました。具体的な「不適切な事案」とは何かは、2019年5月の朝鮮日報の報道が参考になります。韓国の輸出管理体制に疑問符がつく実態がうかがえる情報です。

朝鮮日報によると、韓国から兵器に転用できる戦略物資が密輸出された案件が、2015年から2019年3月にかけて約4年間で156件にのぼることが明らかになっています。ミサイルの弾頭加工やウラン濃縮装置などに転用できる韓国産の戦略物資が、大量に違法輸出されているのです。大量破壊兵器(WMD)製造にも使える韓国の戦略物資が、第三国を経由して北朝鮮やイランなどに持ち込まれた可能性もあります。

北朝鮮の金正男(キム・ジョンナム)氏暗殺の際に使用された神経剤「VX」の原料がマレーシアなどに密輸出されたほか、日本の輸出優遇撤廃措置に含まれるフッ化水素もUAE(アラブ首長国連邦)などに密輸出されていたのです。

■日本の輸入管理の厳格化とは

この様な背景があったことから、日本は輸入管理の厳格化を行っています。スマートフォンのディスプレーに使われる「フッ化ポリイミド」、半導体基板に塗る感光材「レジスト」、半導体洗浄に使う「フッ化水素」が対象であり、いずれも軍事利用できます。

日本企業はこれまで韓国向けに最大3年の輸出許可を得ることができましたが、この輸入管理の厳格化によって、個別契約ごとに申請することが義務化されました。これによって、輸出手続きが長期化し、政府から許可を得られない可能性も出てきます。半導体に強い韓国にとっては欠かせない材料であり、韓国経済には大打撃となります。

これに対して、韓国は元徴用工問題に絡む報復だとして昨年9月にWTOに提訴。軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄もちらつかせて撤回を求めました。ただ、GSOMIA破棄については、米国が強い圧力をかけ、韓国は昨年11月にGSOMIA失効を停止し、WTO提訴の手続きも中断し、輸出管理の問題は日韓当局間が政策対話で解決策を探ってきていました。

■韓国政府が一方的に決めた、5月末の期限

この流れの中で、日本は実際の韓国の運用状況を見守る必要があるとして輸出管理の撤回には応じず、対話を進めてきました。しかし、韓国政府が一方的に決めた2020年5月末の期限を迎え、WTOへの提訴手続き再開を主張しているのです。この流れを見ても、韓国は、日本の輸出管理強化に取り乱し、右往左往を一人で続けています。

WTOの再提訴について、茂木敏充外相は記者会見で、「輸出管理当局間で対話が継続してきたにもかかわらず、韓国側が一方的に発表を行ったことは遺憾だ」と発言。「輸出管理の見直しは、その運用実態に基づいて行われるべきだとの考えに変わりはない」と述べています。

これ程までに、韓国が右往左往しているのは、スマートフォン産業など半導体業界での打撃です。半導体は、韓国の輸出総額の2割を占める主力産業で、経済への深刻なダメージが避けられないのです。規制された材料は、半導体やテレビ用の有機ELパネルの生産に使われます。半導体や有機ELパネルは、スマートフォンやテレビ、パソコンなどの最終製品の中に組み込まれます。そこまで含めると、韓国の輸出総額の4割近くに影響が及びます。

■韓国は、なぜ日本に半導体材料を依存しているのか?

ここで、疑問が浮かび上がります。韓国にとってそれだけ重要な半導体材料をなぜ、日本からの輸入に依存しているのでしょうか? ここをひも解くと、韓国経済の基盤の弱さが露呈します。

韓国貿易協会によると2018年の韓国で生産される半導体の輸出額は1267億ドルで、輸出総額の21%を占めています。その半導体の製造に必要な材料を日本からの輸入に依存してるのです。

2019年のJETROの「貿易量で見る韓国半導体産業の日本依存度」のデータによると、韓国貿易協会が2019年7月2日に「日本半導体素材輸出規制関連統計」を発表しており、輸出審査が必要となる3品目(レジスト、フッ化水素、フッ化ポリイミド)について、2019年1~5月のレジスト、フッ化水素、フッ化ポリイミドの対日輸入依存度は、それぞれ91.9%、43.9%、93.7%だったことを公表しています。特に、レジストは、JSRや東京応化工業、住友化学など日本勢の独占状態です。

一方、日本のレジスト、フッ化水素、フッ化ポリイミドの対韓輸出依存度を見ると、19年1~4月基準でそれぞれ11.6%、85.9%、22.5%でした。日本は韓国への輸出依存度はそれほど高くないのです。フッ化水素は韓国への輸出依存度が85.9%と高いものの、レジストはアメリカ向けが21.8%、フッ化ポリイミドは中国向けが36.3%と、アメリカ・中国への輸出の割合が高いのです。

■基礎研究は日本に頼っている、韓国の地獄構造

韓国経済は、1965年の日韓基本条約をバネに成長した背景があります。日本の賠償や借款など数億ドルに及ぶ「資金」により経済発展の基礎を固めつつ、さらに、日本からの「技術援助」で国際競争力を付けてきました。その結果、韓国は輸出特化の経済戦略を築いてきたのです。

その半導体の製造に欠かせない材料を、日本企業に依存しているのは、韓国の製造業は、汎用製品に特化してきましたことが背景にあります。韓国は、日本などで開発された技術を導入し、コストダウンした製品を量産化し、海外に輸出することで成長してきました。つまり、韓国の研究開発は、基礎的な研究分野ではないのです。ここに、韓国経済のモロさがあります。製品化に必要な応用分野の研究開発が中心で、半導体も同様、製造に必要な材料や製造装置を日本から輸入し、組み立て輸出する構造なのです。当然、半導体製造装置や材料の国産化は韓国の悲願であり、韓国の産業通商資源省は2022年の国産比率を装置で30%、材料で70%とする目標を示していますが、今回の右往左往ぶりを見ると、現状は難しいでしょう。

それに加えて、近年、“反日”に時間を費やしたことにより、韓国は日本からの新産業の情報を得ることができない状況が続いているのです。韓国自身が日本を基盤にして近代化してきたという認識の欠如から、韓国経済の弱体化が進み、窮地に陥っているのです。

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馬渕 磨理子(まぶち・まりこ)
テクニカルアナリスト
京都大学公共政策大学院を卒業後、法人の資産運用を自らトレーダーとして行う。その後、フィスコで、上場企業の社長インタビュー、財務分析を行う。

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(テクニカルアナリスト 馬渕 磨理子)

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