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withコロナ時代に、ビジネスを成長させられる新しいマネジャーの条件3つ

プレジデントオンライン / 2020年6月30日 11時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/monzenmachi)

景気が悪くなり、自分の勤める会社の存続やマーケットの変化も読めない「withコロナ」の時代。そんな混沌とした状況で、リーダーはどうチームを率いていけばよいのか。新時代に必要となるマネジメント能力について、グロービスの鳥潟幸志氏が解説する。

■会社組織はピラミッド型からネットワーク型へ

今回のパンデミックでも明らかになったとおり、今は社会環境がどんどん変わっていく時代。その変化が激しすぎるので、会社の事業でも、社長や経営戦略室のメンバーなどがひとりで考えたプロジェクトがヒットする可能性は低下しています。各部署のメンバーがそれぞれ現場で感じたことをフィードバックし知恵を出し合いながら意思決定していくことが大事になってきます。

既に組織像は明確に変わってきています。従来の社長をトップとする「ピラミッド型組織」では、組織全体がひとつの機械のように動くというイメージでしたが、これからは社員一人ひとりが生命体のように個別の意志を持って仕事する「ネットワーク型組織」になっていく。

個人同士のネットワークでも全体としては調和が取れ、目標に向かって行くべきところへ行ければいい。そういう考え方が主流になるでしょう。メルカリやNewsPicksなど、「beforeコロナ」の時代から伸びていた会社は、社内組織においてそういった時代の流れを先取りしていました。

■ネットワーク型組織のマネジャーに必要な3つのこと

では、そんなネットワーク型組織をうまく形成し率いていくためには、マネジャーにどのような力が求められるでしょうか。これは3つあると考えています。

①「エンパワメント」と透明性のある評価

課長、部長クラスのマネジャーは、仕事を抱え込むのではなく、部下に権限移譲をするエンパワメント型の人が求められます。メンバーにどんどん権限を移譲し仕事を任せていくと、モチベーションは上がるもの。しかし、任せっぱなしにはせず、先にやるべきことを指示しておくことも大事になります。

部下を評価する際も、透明性を確保しておかなければなりません。仕事をスタートさせる前に上司と部下で評価軸について、しっかり“握る”ことが必要になります。「この仕事でこのラインまで達成できたら評価は上がるよ」ということをプロジェクトに取りかかる前に伝える。そして、進捗状況を定期的に確認することも欠かせません。例えば「現在、あなたは5段階評価で3」などと、上司にとっては億劫なことかもしれませんが、途中評価を共有する。それを怠ると大変なことになります。部下は頑張ったつもりでいても、プロジェクト終了時に蓋を開けてみれば目標からズレていたというのが最も辛い。そうならないために、一つひとつのプロセスで着実にフィードバックしていきましょう。

②社会的なビジョンを示しプロジェクトを推進していく力

これまではオフィスで仕事をしていたので、同じ空間に同僚がいましたが、ひとりでリモートワークをしていると、ときどき何のためにその業務をやっているのか分からなくなってしまいます。そこで、マネジメント側としては、意識して部下に仕事のビジョンを示すべきでしょう。

ただ「売上を上げろ!」と言っても、部下のモチベーションは上がりません。「何のためにこの仕事があって、この仕事が世の中のどんな価値につながっていくか」ということを言葉にして説明していく必要があります。マズローの五段階欲求で言うところの高次な欲求である「自己実現欲求」につながるビジョンを示せるかどうか。

例えば、SDGs(持続可能な開発目標)の概念は、企業のトップだけではなく、今後の世界を担う若い人こそ高い関心を持っています。仕事をすることで社会に貢献していると実感できていれば、メンバーはリモートワークの状況を細かくチェックしなくても頑張ってくれるものです。

③組織の意思決定基準を明確に示すこと

また、組織としては判断の質を上げ続けることが大事です。ひと昔前の会社では、大事な決定を密室でしても許されましたが、今後、それでは仕事が進まなくなります。メンバーから逐一相談が来て、それを承認するだけで仕事が終わってしまう。それは組織としては望ましくない状況です。そうならないように最初から部下に「うちの会社の優先順位はこれが1、これが2、これが3なので、その基準に沿って考えてほしい」とリクエストしておきます。

■afterコロナは女性管理職が活躍できる時代

マネジメント能力自体に性差はないですが、現状、家庭で家事・育児を主に担っているのが女性だとすれば、組織が変わっていく今、むしろ有利になると思います。というのは、リモートワークでは「この1時間でどう成果を出すのか」ということがよりシビアに求められます。それはまさに、ふだん分刻みで家事や育児と仕事を両立してきた女性がこだわってきたポイントでしょう。また、飲み会で話したことで仕事の決定が下されることもなくなり、不透明なことが少なくなるので、“飲みニケーション”に参加しづらかった女性にもチャンスがめぐってきます。

そして、女性が管理職を目指す際にも、リモートワークであれば家庭との両立というハンディが軽くなります。リモート環境からまったく新しいトライもできるはずです。これまでの会社のやり方とは関係なくフラットに仕事ができるという意味では、やりやすくなると思いますね。

これからは、たくさんのプロジェクトが立ち上がり、ひとつのプロジェクトは半年、または数カ月のスパンで完結する時代になります。社内外問わず、ジョブ型でメンバーをアサインするチームが増えていくと、管理職は、直接、顔を合わせたことのない人も含めたチームをマネジメントし、リモートワークで結果を出すことが求められます。いわゆるプロジェクト・マネジメントに長けた人が重宝されるようになるでしょうし、それが女性である場合も増えてくると思います。

■経済危機にこそ有望なビジネスが生まれる可能性も

未上場のスタートアップ企業をユニコーン企業とも言いますが、世界的に見て現在、事業を大きく展開している会社は、2007年のリーマンショックの経済危機後に新規ビジネスを立ち上げたところが多い印象です。有望なユニコーン企業は日本にもいくつかあり、どんどん成長しています。きっと「withコロナ」「afterコロナ」でもビジネスの鉱脈を掘り当て、新しい事業を創出する会社が増えていくでしょう。その中でチャンスをつかむためにも、マネジメントスキルを身に着け、“ニューノーマル”の時代に乗り遅れないようにしたいですね。

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鳥潟 幸志(とりがた・こうじ)
「グロービス学び放題」事業リーダー
埼玉大学教育学部卒業、グロービス経営大学院経営研究科経営専攻修了。サイバーエージェントでインターネットマーケティングのコンサルタントとして、金融・旅行・サービス業のネットマーケティングを支援。その後、デジタル・PR会社のビルコムを共同創業。取締役COOとして、新規事業開発、海外支社マネジメント、営業、人事、オペレーション等、経営全般に10年間携わる。グロービスに参画後は小売・グローバルチームに所属し、コンサルタントとして国内外での研修設計支援を行う。現在は、社内のEdtech推進部門にて『グロービス学び放題』の事業リーダーを務める。グロービス経営大学院や企業研修において思考系、ベンチャー系等のプログラムの講師や、大手企業での新規事業立案を目的にしたコンサルティングセッションを講師としてファシリテーションを行う。

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(「グロービス学び放題」事業リーダー 鳥潟 幸志 構成=小田慶子 写真=iStock.com)

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