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イマドキ部下がみるみるやる気になる、最新「すごい叱り方」のコツ

プレジデントオンライン / 2020年7月11日 11時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/itakayuki)

緊急事態宣言が解除され約1カ月半。多くの企業はコロナで失われた数カ月間を取り戻そうと様々な取り組みをしています。数カ月分の売上を取り戻したい思いで、目標を上げたいけれど部下が思ったより頑張ってくれない……。そんな風に思うこともあるのではないでしょうか。今回は、組織改革コンサルタントの吉田裕児さんに部下の力を最大限発揮する本当の叱り方を教えてもらいました。

※本稿は吉田裕児『部下が変わる本当の叱り方』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

■「叱る」の本来の意味を知ろう

「叱る」という言葉には、どういう意味が込められているのでしょうか。多くの人が「叱る」と相手を傷つけてしまい、自分も嫌な想いをすると考えています。確かに「叱る」と言うと、「ののしる」「責める」や「怒鳴る」というように相手を否定し、自分の感情を晴らすイメージが浮かんでくるかもしれません。しかし、これらの言葉と「叱る」ではまったく意味が違います。

「ののしる」とき「自分はお前より偉いんだ! できるんだ!」と優越感に浸ります。「責める」とき「なんでこんなこともできないんだ! バカなんじゃないか」と相手の人格を否定します。「怒鳴る」とき「もう、やめてしまえ! もう、くるな!」と自分の怒りをぶつけます。これでは人間関係を破壊するだけで、何も生みだしません。

これらに対して「叱る」は、相手にこうなって欲しいという願いを伝えることです。組織で言えば、願いを伝えることは「目的・目標達成」に導く行為です。だから、「目的・目標達成」という願いを叶えるために叱る必要があるのです。

目的・目標を達成するためには、相手の間違った「行動」や「考え方」に対して「君がやっていることは違うよ!」「相応しくないよ!」と叱る必要があります。相手に私たちの目
的と目標を示してあげて、「正しい方向へ行こう」と声をかけることが本当の叱り方です。
本当の叱り方をすれば、叱られた本人も「あっ、そうか! 私は間違った方向へ向かっていたんだな」と気づくことができます。そして、上司のあなたも、部下にわかってもらえて嬉しくなるのです。そして、上司も部下もお互いに手を取り合い、目的・目標を達成するために再び歩むことができるのです。

■上司の仕事は目的・目標を達成すること

目的・目標とは何でしょうか。それは、仕事に対してチームが達成すべき課題です。何のために仕事をするのかという「目的」があり、その「目的」を果たすために何を成し遂げるかというかという「目標」があります。それを達成することが「目的・目標達成」になるわけです。

例えば、自社の商品やサービスで社会の困っていることをなくすということが「目的」
であり、その目的を果たすために自社の商品やサービスを1億人に買っていただくという
のが「目標」です。そして、その達成を目指すのです。

多くの会社では、ただ単に昨年同様か昨年の何%増しかの売上や利益を目標としています。そのため、個々の部署には「売上を1億円、利益は1千万円上げろ」という営業ノル
マ(義務)が課せられます。

ただ、これでは数字だけのノルマになり、あなたや部下の目的・目標にはなりません。この数字をつらいノルマからワクワクする目的・目標に変えるためには、数字に意味を与
える必要があります。それが上司の仕事でもあります。

■部下に意味のある目標を託すことが大事

数字を達成することで、私たちにどんないい未来が訪れるのか想像してみてください。会社から褒められ、ボーナスがもらえ、自分も家族も喜べるでしょう。チームメンバーが自分の持てる力を発揮して目標を達成すれば、チームのメンバー全員が喜びに満ち溢れた笑顔になれるでしょう。

同時にいい商品やサービスを提供できれば、お客様にも喜んでもらえるでしょう。さらに、その商品やサービスが人や社会の役に立っていると実感できれば、チームにとって、これほど嬉しいことはありません。

数字に意味がないと、ノルマになり、ただ、こなしていくだけのものになります。一方、数字に意味があれば、それは目指すゴールとなります。そして、あなたとチームメンバーの願いに変わっていきます。メンバー全員が、ゴールを共有し、そこを目指したとき、世界最強のチームになっていくのです。

その世界最強のチームの中であなたは、メンバーがゴールを達成するために相応しい行動を起こし、その行動を続けられるように、「指示をだす、褒める、叱る」を繰り返していくことになるのです。

■あなたの「プライド」のために叱ってはいけない

部下がミスをしたときに、あなたは叱ります。「何をやっているんだ!」「何回言ったらわかるんだ!」そう言われた部下は「すみません。次から気をつけます!」と言うでしょうが、それだけで終わってしまいます。

多くの上司は、部下を凹ませて反省させれば、叱る目的を果たしたと思っています。しかし、これでは目の前に気落ちした部下がいるだけで何も変わっていません。

叱る目的は、部下の行動をゴールに向けた相応しい行動に変えることです。ゴールを達成するためには、あなたの「プライド」のために「ごめんなさい」と言わせるような叱り方をしてはいけません。「ゴールを達成」するための行動を部下が起こすように叱るのです。

忘れないで欲しいのは、あなたの本当にやりたいことは何なのかを意識することです。それは、あなたの望む結果を手に入れることです。そのために部下を動かすのです。もし叱るときに迷ったら「自分のやりたいことは何なのか?」と自分に問いかけ、「自分のプライド」は「部下を動かしゴールを達成する」ことだと思いだしてください。

■部下のできているところを真っ先に認めよう

私は建物を造る仕事をしていました。建物の完成前には、設計図通りにできているかを施主さんに検査してもらわなければなりません。

当時、施主さんの検査1週間前に、担当者に頼んだ検査書類の進捗確認をしました。この時点で100%に近いデキを期待していたのですが、完成には遠いまだ70%のデキでした。
昔の私なら「なんで残りの30%ができていないんだ」と叱責したことでしょう。でも、そのときの私は「70%までできたんだ。お疲れさま!」と声をかけることができました。

70%という結果を認めてあげられたのは、私自身が最も大切なことに気づいていたからです。それは仕事を終わらせることです。そのためには私は担当者の彼を動かさなければなりませんでした。

彼も任された仕事が100%できていないことを自覚していました。だから「残りの30%をどうすればいいだろうか?」という私の問いかけにも、前向きに意見をだしてくれました。そして、残りの仕事を終わらせるために力を尽くしてくれました。

■自分の部署だけでも加点方式に切り替えてみる

多くの上司は、できていないところを見て、「なんでできていないんだ!」と叱責します。その気持ちはわかりますが、一生懸命にやってきた「頑張り」や「成果」を認めずに叱責してしまうと、認めてもらえなかった部下はやる気を失ってしまいます。それでは仕事は終わらなくなってしまいます。

吉田裕児『部下が変わる本当の叱り方』(明日香出版社)
吉田裕児『部下が変わる本当の叱り方』(明日香出版社)

上司に認められた「頑張り」や「成果」が部下のやる気の源泉になるのです。人は相手を評価するとき、2つのタイプに分かれます。

100点満点から相手の欠点を減点していく「減点方式」を採用するタイプと、0点から相手のいい部分を足していく「加点方式」を採用するタイプです。欠点に着目した減点方式に比べて、いい部分を評価するのが加点方式です。あなたはどちらのタイプでしょうか。ミスが気になるような場合は、減点方式で評価しています。

赤ちゃんに接するときを思い浮かべてください。笑ったり、寝返りをうったりといった、ちょっとした成長でも「できたね!」「すごいね!」と手放しで喜ぶでしょう。そこに、減点方式はありません。あるのは、ひたむきに取り組む赤ちゃんの頑張りと、できたことを素直に喜ぶ大人たちの愛情です。

多くの会社では減点方式かもしれませんが、あなたの部署だけでも、できていないところを叱責する減点主義はやめて、できているところを認める加点方式に変えていきましょう。それだけで、あなたの部署は飛びぬけた成果を収めるでしょう。

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吉田 裕児(よしだ・ゆうじ)
組織改革コンサルタント
「人の可能性を最大化させ、日本を再び世界のリーダーにする」という未来実現のために、全国の企業に対し「会社の未来を担う次世代リーダーを育成する」ための活動を行う。また、一部上場企業で35年間、3000人以上の作業員やスタッフを指導した経験やエピソードをもとに、強い組織をつくるためのメソッドを、研修や書籍、自身のブログなどで発信している。

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(組織改革コンサルタント 吉田 裕児)

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