40代主婦「コロナ脳の夫が"免疫をあげる"と毎晩、宅配焼き鳥を注文。離婚も検討」
プレジデントオンライン / 2020年7月25日 11時15分
■焼き鳥地獄とはまさにこのことだ
「コロナ離婚という言葉が何度も頭をよぎりました」
そう話すのは40代の主婦、木島美幸さん(仮名)。現在、夫の亮太さん(仮名)と娘1人の3人で都内に暮らしている。
「夫はいわゆる公務員で、2020年3月から在宅勤務に切り替わりました。夫は使命感が強いんです。『模範になれるよう自粛に徹する』って、家を出ようとしなくなりました。まあ家にいるだけなら病気を持ち込まれないので嬉しいんですけど……」と美幸さんは苦笑する。
「ただ、家にいると何かと目につくらしくて、家事に口を出すようになりました。普段どおりなのに『ティッシュ、トイレットペーパーの減りが速い!』とか『お菓子買いすぎだろ!』とか。まるで姑のようなツッコミの嵐。正直、在宅3日目には早く働きに行ってほしいという気持ちでいっぱいでした」
現在は亮太さんが週3日出勤になり、家で顔を突き合わすことでのストレスは軽減されたという。しかし、新たな受難が美幸さんを待ち受けていた。
■居酒屋での感染リスクは軽視できない
「コロナ以前、夫はほぼ毎日上司や部下と飲み歩いていました。だけど最近は『居酒屋での感染リスクは軽視できない』って毎晩まっすぐ家に帰ってくるようになったんです。私は在宅で仕事をしながら娘の相手もしてそのうえで家事をこなしています。だから手の込んだ食事も作れなくて、簡単に作れる鍋や炒め物で済ませていると、『こんなものばかり食べていたら栄養が偏って免疫力が落ちる!』と怒り出す始末。
さすがに我慢ならなくて『それならあなたが用意しなさいよ』と言い返すと、翌日から毎日焼き鳥をデリバリーするようになったんです。『焼き鳥は体に良いって上司が言っていた』って。1日ならまだしも毎日焼き鳥は地獄。娘もいますしやめさせたいんです。焼き鳥って本当に健康に良いんでしょうか」
近年の焼き鳥ブームは、コロナ禍においてこんな形で全国の妻を悩ませていたのかもしれない。焼き鳥のデメリットがわかれば亮太さんもきっと目を覚ますだろう。そこで本誌編集部は、栄養士の笠井奈津子さんにお話を伺うことにした。
「焼き鳥、実はめちゃくちゃオススメなんです。鶏肉は、部位によって多く含まれる栄養素が異なり、焼き鳥ならいろいろな部位を少しずつ食べられるので栄養も偏りにくいんです。例えば、むね肉はイミダゾールジペプチドが多く、もも肉はビタミンB2が豊富。焼き鳥は栄養価に優れ高タンパクなので、コロナ禍で注目されている免疫力の向上も望める素晴らしい料理です」
梅雨どきの慢性的な疲労の回復にも焼き鳥が一役買ってくれるという。
「疲れを感じやすくなる原因の1つが鉄不足。タンパク質とセットで鉄を摂ることによって全身の細胞への酸素供給効率が向上し疲労感の軽減が期待できます。焼き鳥のメニューだとレバーやハツなどは鉄分が多く、これらを気軽に食べることができるのも焼き鳥の良いところと言えますね。また焼き鳥のカロリーは部位によって大きく異なり一串40キロカロリー程度と低いものもあるのでいろんな種類の串を選ぶと安心です。あえて言うなら、皮や手羽先は約200キロカロリーと比較的カロリーが高めですが、同じ種類ばかり食べすぎなければ問題ないでしょう」
亮太さんの言うとおり、焼き鳥は「毎日食べたいくらい」体に良い食べ物のようだ。しかしこれでは美幸さんを「焼き鳥地獄」から救うことができない。
「焼き鳥はすぐに飽きるに決まっています。でも強引に周囲にその習慣を押し付けるこういう人間が出世できるわけありません。娘の教育に悪いです」
たかが焼き鳥、されど焼き鳥。一本の焼き鳥が離婚による慰謝料に化ける日もそう遠くはない。
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栄養士、食事カウンセラー
東京都生まれ。聖心女子大学文学部哲学科卒業後、香川栄養専門学校(現・香川調理製菓専門学校)にて栄養士免許取得。栄養士のほかにも、健康リズムカウンセラーとして活躍中。
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(栄養士、食事カウンセラー 笠井 奈津子 構成=松嶋三郎 写真=PIXTA)
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