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肩甲骨はがし考案者の「仕事中にできるコリ予防の3動作」

プレジデントオンライン / 2020年7月27日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Satoshi-K

長時間座ったままのデスクワークは体がこりやすい。東京医科大学整形外科の遠藤健司准教授は、「体を動かさないことで、静脈の血流量が減少するのが原因だ。仕事の合間に座ったままできる3つの動作を行うことで、こりを予防することができる」という——。

※本稿は、遠藤健司『肩・首・腰・頭 デスクワーカーの痛み全部とれる 医師が教える最強メソッド』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

■15分に1回座り直す

「こり」や「痛み」をやわらげるには、仕事をしている最中にも、少しずつでいいので体を動かすことが効果的です。つまり、「こり」「痛み」の原因である不動化を防ぐちょっとした動きを取り入れるのです。

作業をしている最中にできる、あるいは作業中に一瞬でできる簡単なエクササイズを紹介します。

もしかすると、「エクササイズ」という言い方は適切でないかもしれません。

ここで紹介するのは、それくらい簡単な、ちょっとした“動作”だからです。

最初に紹介するのは、座り直すことです。15分以上「不動化」すると、静脈の血流量が減少するからです。

椅子に座って仕事をする際には、15分に1回、座り直しましょう。

どのように座り直すかというと、「仙骨座位」から「坐骨座位」に座り直すのです。

仙骨座位とは、骨盤を後ろに倒して、ダラッと座った姿勢。骨盤の仙骨という骨(お尻の上のほうにあります)を座面につけた座り方で、一般に「だらしない座り方」あるいは「疲れているときのラクな座り方」とされているものです。

仙骨座位と坐骨座位

ラクなように見えて、実は背中・腰に負担をかけ、「フラットバック」(背骨が本来持っている緩やかな弯曲が失われ、腰に負担がかかっている状態)の原因になるのがこの座り方でした。

長時間、椅子に座って作業をしていると、たいていはだんだんと仙骨座位になってきます。

これを、15分に1回、骨盤を立てた「坐骨座位」に直してやります。

坐骨座位は、お尻の下、脚の付け根あたりに出ている坐骨を座面につける座り方です。

この座り方をすると、自然に背筋が伸びるのがわかるでしょう。

そして、腰や肩が少しラクになったと感じるはずです。

■「ずっといい姿勢」を続けるのもNG

骨盤を立てると、それに連動して背骨にゆるやかなS字カーブがつきます。これは背骨の本来の形、「自然体」ですから、腰や背中の筋肉の負担が減ります。

さらに、デスクワークで前傾気味になっていた首の骨にも正しいカーブが戻ります。同様に、首や肩の筋肉も負担から解放されるわけです。

「仙骨座位」で不動化していた全身の筋肉が、座り直すだけでとりあえず動く、ということにも意味があります。

なお、もともと姿勢がいい人、つまり坐骨座位が習慣になっている人も注意が必要です。

いかにいい姿勢でも、ずっと同じ姿勢でいればやはり「不動化」の弊害が起きるからです。

というわけで、普段から坐骨座位ができている人も、15分ごとの「座り直し」はぜひやってみてください。

いったん体をダラッとリラックスさせて、そこから改めて坐骨座位で座り直す、というのがいいでしょう。

このときに、筋肉を緊張させて姿勢を整えるのではなく、骨盤の上に背骨をきれいに積み上げるイメージで、できるだけリラックスしたままいい姿勢をつくるようにしてください。

■長時間座り続けるときは「足を大きく開いて座る」

なお、15分に1回の座り直しをしたとしても、やはり座ったまま長時間の作業を行うのはよくありません。

できれば30分に1回は立って動くこと。可能なら「肩甲骨はがし」ストレッチなどの運動を行うことも心がけてください。

「肩甲骨はがし」ストレッチ

どうしても長時間座り続けなければいけないときには、座り方を変えましょう。足を大きく開いて座るのです。

関ヶ原の合戦で、徳川家康が床几に座って戦況を眺めている。あのときの座り方だと言うとイメージしやすいかもしれません。この座り方だと、比較的筋力を使わずに姿勢を維持できるので、長時間の作業にも耐えやすくなります。

ややお行儀が悪いですが、デスクの下でやるぶんには問題ないでしょう。

もちろん、どんな座り方をするにせよ、できるだけ頻繁に立って動く時間をつくることは忘れないでください。

すでにおわかりのように、「こり」や「痛み」の起きやすさには、不動やストレスに加え、姿勢が大きく影響しています。

簡単にまとめると、

・前かがみ
・あごが前に出ている
・猫背になっている
・仙骨座位(ダラッと座っている)

こうした姿勢だと、「こり」や「痛み」が悪化しやすいのです。逆に、頭を上げ、あごを引き、背筋を伸ばして坐骨で座るようにするのが「よい姿勢」です。これは、体感的に理解していただけると思います。

■背筋を伸ばしながら「考える人」のポーズをするのもおすすめ

よい姿勢をとるための習慣として、先ほど「座り直し」を紹介しました。もう1つ、姿勢を正すためにぜひやっていただきたい手軽な習慣が、「あご引き」です。

これも、やり方は簡単です。

①まず、あごを引きます。
②片手を軽く握って、人差し指をあごの先に押し当てます。
③少し力を入れて、10秒間あごを押します。
「あご引き」のやり方

ちょうど、ロダンの「考える人」のポーズを、背筋を伸ばして、あごを引いて行うイメージです。

あごを押してやることで、当然ながら前に出ていたあごは引っ込みます。

それだけでなく、自然と背筋が伸び、骨盤が立つのもわかるでしょう。

つまり、あごを押すことで、簡単に姿勢をリセットできるということです。

また、押されたあごはその力を押し返そうとします。このときに、首の筋肉が鍛えられるという効果もあります。

筋肉が強くなれば、それだけ血流もよくなりますから、「こり」や「痛み」の改善に役立つわけです。

「座り直し」とあわせて、仕事中に簡単にできる習慣として、ぜひ取り入れてみてください。

■肩甲骨をギュッと寄せて胸を張るだけでもいい

先ほど紹介した「肩甲骨はがし」ストレッチは座ったままでもできるいちばん手軽な運動です。

できれば、仕事の合間にも数回でいいので行うようにしてください。

ただ、動きが大きいぶん、オフィスの環境によってはやりづらい人も出てくると思います。仕事中、本格的に「肩甲骨はがし」までやれる環境にない人は、ときどき肩甲骨を動かすようにしましょう。

遠藤健司『肩・首・腰・頭 デスクワーカーの痛み全部とれる 医師が教える最強メソッド』(かんき出版)
遠藤健司『肩・首・腰・頭 デスクワーカーの痛み全部とれる 医師が教える最強メソッド』(かんき出版)

やり方は簡単。肩甲骨をギュッと寄せて、胸を張るだけです。「肩甲骨はがし」ほどではありませんが、これだけでも「不動化」した筋肉はかなり動きます。

そして、肩甲骨を寄せると、自然に背筋が伸びます。

「座り直し」「あご引き」と同様、肩甲骨を寄せるのも姿勢をリセットする効果があるということです。

長時間デスクワークをせざるを得ないとき、仕事中に一瞬でできる「こり」「痛み」予防の習慣として、「座り直し」「あご引き」「肩甲骨を寄せる」の3つをぜひ覚えておいてください。

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遠藤 健司(えんどう・けんじ)
東京医科大学整形外科准教授
日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄外科指導医、日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医。東京医科大学整形外科大学院修了後、米ロックフェラー大学、東京医科大学整形外科医長等を経て2018年より現職。共著に『本当は怖い肩こり』(祥伝社新書)など。

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(東京医科大学整形外科准教授 遠藤 健司)

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