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安倍晋三は日本国民に土下座しろ! 250億で追加マスクをばらまきかけた狂気に絶望

プレジデントオンライン / 2020年8月5日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Tomwang112

■感染大爆発で混乱しきりの日本

「なんじゃこりゃあ!」

名俳優・松田優作氏ばりにそう感じた方々は多いだろう。国が新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言を解除し、社会経済活動との両立を図る「新しい日常」をうたったのは5月下旬のことだった。安倍晋三総理は「おおむね収束」と表明して安心感を振りまき、菅義偉官房長官もマスクを外すアピールまでしてみせた。だが、その約1カ月後から新規感染者数は再び増加に転じ、多くの都道府県では感染者数が過去最多を更新。他の自治体でも高水準で推移しているというのだから、ネジを緩めるタイミングを間違えたのは明らかだろう。

もちろん「リスクがゼロ」という社会はなく、経済活動との両輪を回しながら対策を講じていく必要性は理解できる。とはいえ、この国では肝心要であるはずの「基準」というものがいまだ示されていないのである。4月の宣言発令時と今とでは何が違い、どのように生活すれば良いのか。指標と見るべきは新規感染者数なのか、陽性率なのか、重症者数なのか、それとも医療提供体制なのか。安倍政権から発せられるものからは判然としない。むしろ、このタイミングで示されたのは「どんどん旅行に行きましょう!」というもので、まじめに自粛してきた人々の感情を逆撫でするようなキャンペーンだ。感染が再爆発した今、これまでのコロナ対応とともに中間評価を下す。

■250億円で8000万枚のマスクの意味不明さ

「現在確かに感染者数は増えているから高い緊張感を持って注視をしているが、あの時とは状況が異なり、再び今、緊急事態宣言を出す状況にはない」

安倍総理は7月24日、このように語った。国の観光需要喚起策として「Go To トラベルキャンペーン」なるものが始まったのは7月22日。この日は一日のコロナ感染者としては4月11日の720人を上回り、過去最多を記録した。もはやブラックジョークだろう。23日からの4連休についても、菅官房長官は「『3密(密閉、密集、密接)』を避けるなど感染防止策を徹底してほしい」と呼び掛けるばかりで、国の無策ぶりが目立つ。

これまでのコロナ対応を振り返ると、安倍政権の後手後手でメチャクチャな対応は枚挙にいとまがない。コロナの「震源地」となった中国や感染拡大していた韓国からの入国制限が遅れ、唐突に打ち出した全校一斉の休校要請で教育現場や家庭、子供たちは混乱。国と都道府県知事の役割を不明確にした緊急事態措置に加え、「1世帯に布マスク2枚配布」や歌手・星野源氏の曲とともに優雅にくつろぐコラボ動画の投稿など、あまりにも国民をバカにした対応ばかりだった。

今やマスク不足は解消され、店頭で自由に購入することは可能になっているが、国民から批判が殺到するまで、約250億円をかけて8000万枚もの布マスクを配布するつもりだったというから、その感覚に呆れてしまう。

■完全に「雲隠れ」の安倍、加藤

失策をごまかし、責任を他者のせいにするのは、いつもの安倍政権の論法であるが、最近の例としては菅官房長官が発した「東京問題」がある。菅官房長官は7月11日、北海道千歳市内での講演で「この問題は圧倒的に東京問題といっても過言ではないほど東京中心の問題となっている」と語り、コロナ感染者が急増している責任を東京になすりつけた。だが、感染者が全国的に増加しているのは自明のことで、東京都の小池百合子知事は国の「Go Toトラベルキャンペーン」を引き合いに「冷房と暖房を両方かけるようなことにどう対応すれば良いのか」と呆れ顔だ。

「えっ、それ今必要か?」という国民の声もむなしく、キャンペーンを前倒ししてまで国が強行したことに関し、元大阪府知事の橋下徹氏は「この大混乱の原因は、国家の動かし方がぐちゃぐちゃになっていることだ」と指摘している。権限と責任の所在が不明確のまま都道府県に責任をなすりつけて、「自分たちは悪くない」という国のレトリックがもはや見透かされ、国民に呆れられていることを知らない「裸の王様」状態である。

ようやく「1人10万円配布」の給付金が行き届くようになったが、あまりに遅すぎる。本来ならば指揮をとるべき加藤勝信厚生労働相の姿はどこで何をしているのかさえも見えず、安倍総理が国民に呼びかける記者会見も最近は行われなくなってしまった。コロナ対応で本性がバレた安倍政権の内閣支持率は低空飛行のままで、一向に上向く気配もない。それに気づかせてくれたということを加味しても、国の対応は最低点だろう。

■検査数が圧倒的なのに「東京問題」なのか

緊急事態宣言解除までのコロナ対応を「第1段階」とするならば、その時点で高い評価を受けていた大阪府の吉村洋文知事や東京都の小池知事はいまだ人気が高く、小池氏は7月5日の都知事選で史上2番目に高い得票で再選した。

まず、この数字を見てほしい。厚生労働省が発表している新型コロナウイルスの「陽性者数とPCR検査実施人数」(1月15日~7月21日)だ。感染者数が最も多い東京都は、この時点で検査人数が14万7314人に上り、陽性者数は9816人。大阪府は5万6462人を検査し、2541人の陽性者数だった。神奈川県は1万5855人に対し、2039人。埼玉県は5万4741人の検査数で1830人の陽性者が確認された。感染の実態を把握し、早期かつピンポイントで対策を講じるためにも「PCR検査数は増やすべきだ」というのは多くのメディアが言っていることで、安倍総理も検査能力の拡充を約束してきた。だが、データを見る限り、検査数は積極的な集団検査などを実施してきた東京都が突出している。

■なぜ東京だけがのけ者になるのか

単純に比較することはできないが、仮に全国の道府県で「東京並み」の検査数として厚労省データを計算し直した場合、それぞれの陽性者数はどうなるのか。あくまでも計算上という条件付きであり、厚労省HPにあるとおり各自治体で行った全ての検査結果を反映しているものではないことは付記しておく。その条件下で陽性者数が最も多くなるのは神奈川県で、その数は約1万9000人に上る。次いで千葉県の約8100人、福岡県の約8000人、北海道の約7800人と続く。関西は大阪府が約6600人、兵庫県が約6400人、京都府は約5770人で、最近増加が目立っている愛知県は約6000人となった。上にあるように東京都は9816人である。

東京都は最近、1日4000件を超える検査を実施しており、この数に当てはめて他の道府県の陽性者数を見ると、必ずしも「東京問題」などと言っていられないのが分かるだろう。検査対象として、東京都のように集団検査するのか、症状がある人に医師が必要と判断した場合にのみ検査するのかにも違いはあるが、「本当は陽性者がもっと多くいるけど、検査ができていないから自治体の陽性者数には出てこないだけ」という前提に立つならば、これらの数字は参考になるかもしれない。

繰り返しになるが、上記を見るだけでも「Go Toキャンペーン」で東京都民だけをのけ者にして税金を不公平に投入するだけの理由が見つからない。千葉県にはディズニーランドがあり、神奈川県は箱根という観光客を誘引する魅力的な場所が存在するから除外されなかったらしいが、そんな政府高官のサジ加減一つで公金の使い方が変わってしまうのは良いことなのか。国策としての大キャンペーンに起因した感染拡大が起こる可能性も捨てきれない。それは8月上旬から半ばに明らかになるだろう。

■吉村大阪府知事は「やっぱりダメじゃん」

大阪府の吉村知事は独自基準「大阪モデル」に基づき、7月28日に一部施設に休業を求める「黄信号2」の基準を決めたが、メディアで「点灯するだけでは意味がない」などと酷評された「東京アラート」と同様、府内は同12日の「黄信号」点灯以降も人出が減っておらず、8月半ばには感染者が1日約750人に達するとの試算もある。

ワイドショーが無批判のまま賞賛した吉村知事のコロナ対応だったが、「マウントをとって偉そうに言っているけど、やはりダメじゃん」(静岡県に住む40代女性経営者)、「期待していた分、裏切られた感じがする。大阪でも検査数を増やせば、陽性者はもっと沢山いるはずなのになぜ増やさないのか」(大阪市在住の60代男性)との声も漏れ、ネット上には「安倍総理や菅官房長官と面会した後は国に文句を言わず、対策も遅くなった気がする」と変化を感じる人もいる。5人以上での飲み会を控えるよう要請する根拠のなさも露呈し、ここにきて一部メディアは「大阪モデル崩壊」などと下方修正している。陽性が確認された60代男性が搬送待機中に死亡したことも重い。

■どの自治体も検査のその先が全く見えない

東京都の小池知事は積極的なPCR検査を進め、早期発見・早期治療に力を入れているのは分かるが、検査数が増えれば感染確認が増えるのは当たり前のことで、その先の対策が見えてこない。病床やホテル療養先をいくら確保しても、陽性者数はそれを上回るペースで増加しており、「ピンポイントで休業要請するなどの対策を早くとるべき」(都内の30代男性)と苛立つ声も聞こえる。マスコミはいまだに「速報」まで流し、「都内の新規感染者数」だけを連日報じ続けている。「小池氏が会見するたびにドキドキしてしまう。早くコロナ前の活況に戻りたい」(四谷で飲食店を営む女性経営者)との気持ちも理解するべきだろう。

神奈川県の黒岩祐治知事は独自の「神奈川警戒アラート」を発動した7月17日に横浜スタジアム(横浜市)でプロ野球観戦。読売新聞によると、プライベート扱いなのに「公務と言えば公務」「遊びに行ったのではない」と弁解し、昨年の台風15号襲来時に私用で都内に出かけていた千葉県の森田健作知事はコロナ対応で目立った動きを見せず、もはや存在感を消している状態。北海道の鈴木直道知事は「第1段階」で法的根拠のない独自の緊急事態宣言を出して評価を受けていたが、その後はパッとしない。マスク着用や小まめな手洗い、定期的な換気などを「新北海道スタイル」と称する意図が理解できない。

■このままでは明るい未来は見られないだろう

むしろ、知事レベルで言うならば最高の評価が与えられても良いのは岩手県だろう。達増拓也知事がどれだけ貢献しているのかは未知数だが、「政治は結果」として見るならば、7月29日まで都道府県で唯一「感染者ゼロ」だった岩手県は素晴らしい。達増知事は記者会見で「第1号になっても責めない」と語っていたが、盛岡市出身で都内在住の20代女性は「地元には高齢者が多く、祖父母らにうつしてしまう可能性があるから帰ることができない。4連休も夏休みも東京にいる予定」といい、県民の協力が「ゼロ」につながっていたことがうかがえる。

3月の3連休は「連休前に外出自粛要請しなかったのはけしからん」と批判したコメンテーターは今や、7月の4連休前には「国のキャンペーンもあるのでどんどん観光地に行ったら良い」と吐くようになった。メディアの無責任体質は今に始まったことではないが、いまだ何を基準に行動をどれだけ変え、ウイルスに備えれば良いのか分からないままだ。「陽性者数が過去最多になった」との報道が垂れ流され、マスクを着けずに歩いている人は「何、この人」と思われる日本。明確な基準を設けることもなく責任回避に躍起となる国家と、数字に踊らされる国民。いまだ、この先に明るい未来は感じられない。

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麹町 文子(こうじまち・あやこ)
政経ジャーナリスト
1987年岩手県生まれ。早稲田大学卒業後、週刊誌記者を経てフリーランスとして独立。プレジデントオンライン(プレジデント社)、現代ビジネス(講談社)などに寄稿。婚活中。

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(政経ジャーナリスト 麹町 文子)

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