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サバクトビバッタに学ぶ「無理難題を言われたとき」の対処法

プレジデントオンライン / 2020年8月31日 15時15分

イラスト=じゅえき太郎

人間より約5億年も前に誕生した昆虫は、環境の変化とどう向き合ってきたか。文筆家のペズル氏は「ビジネスにおいても人間が昆虫から学べることは多い。今年の春にアフリカやインドで大量発生したサバクトビバッタの生態は象徴的だ」という——。

※本稿は、ペズル『もしも虫と話せたら』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

■新型コロナで仕事の不満が爆発する人たち

新型コロナの影響で、仕事を取り巻く環境は一変しました。

リモートでコミュニケーションがとりづらくなったり、営業のやり方を変えなければいけなかったり……。そんな中、今までより作業が増え、「これってやらなきゃいけないの?」「この作業は私ではなくあの人がやるべきでは?」「なんで私だけがこんな面倒な思いをしないといけないの?」と不満に思う機会が増えた方もいるのではないでしょうか。

環境の変化に直面した時、できる限り今まで通りのやり方を活かして仕事をするか、変化に合わせて劇的にやり方を変えてみるか、「どちらが正しい」という明確な答えを我々人間は持ち合わせていません。

そこで少し視点を変え、今年の春にアフリカで発生し、インドまで飛んできたことが話題になったサバクトビバッタの生態を例に、「環境の変化との向き合い方」について考えてみたいと思います。

■環境に合わせて生き方を一変させるサバクトビバッタ

サバクトビバッタは、アフリカに生息する5cmほどのバッタです。

普段は草食でおとなしく、体は緑色。1匹で行動しています(これを「孤独相」と言います)。しかし、仲間の数が増えてくると性格が一変。凶暴な個体が誕生するようになります。体は黄色や茶色に変化し、はねが伸びて集団で飛び回り、各地の植物を食い荒らすようになるのです(これを「群生相」と言います)。

つまり、サバクトビバッタは環境の変化に合わせて生き方を一変させることで、なんとか生き抜こうとしているのです。

ちなみに、群生相のサバクトビバッタは風に乗って1日に100km以上も飛ぶことができ、農作物を次々と食い荒らすため問題となっています。

今年の春に発生したサバクトビバッタの大群により、アフリカ東部では数千万人が食糧危機に陥るとも予想されているとか。

また、その繁殖力は驚くべきもので、例えば1954年にケニアで発生したサバクトビバッタの大群は、推定500億匹とも言われています(日本でも昔はトノサマバッタの大群による農作物の被害がありました)。

■季節に合わせて色を変えるオオムラサキの幼虫

サバクトビバッタは環境の変化に合わせて生き方を変える昆虫ですが、季節の変化に合わせて体の色を変える昆虫もいます。

例えば日本の国蝶(国を代表するチョウ)であるオオムラサキの幼虫。夏頃に生まれる幼虫は、植物の葉に似た緑色をしています。その後、脱皮を繰り返し、冬には枯れ葉に似た茶色に変わります。さらに春になると、再び脱皮して緑色に変化。敵に狙われないよう、季節の変化に合わせて自分の体の色を変えて、身を守っているのです。

環境に変化が起きたら、今までの生き方にこだわらず、自分自身を変えてみる。それがサバクトビバッタやオオムラサキの幼虫の生き方。どうやら生きる上で柔軟性を求められるのは、人も昆虫も同じようです。

オオムラサキの幼虫
イラスト=じゅえき太郎

■他人を変えるより自分を変えたほうが早い

私はフリーランスで本づくりを仕事にしています。そのため、どこの出版社さん(編集者さん)と本を作るかで、条件(金銭面など)・作業量(外部の方に作業を依頼できるかなど)・やり方(編集方法など)が毎回激変します。

ある時はものすごいスケジュールで仕事を依頼されたり、ものすごい理由で仕事がなくなったり……環境の変化や問題に毎日直面しているようなもの。そんな中、「相手が悪い」と思うことが起きても、できる限り自分のやり方・考え方を変えることで解決を図り、お互いに気持ちよく仕事ができるように心がけています。

ただ、これは決して私が「いい人」だからではありません。他人を変えるより、自分を変えるほうが結果的に早いからです(ドライな人間ですね)。特に歳をとればとるほど、だれでも自分のやり方・考え方が固まり、人に指摘されて変わるのが難しくなるもの。そういう意味でも、自分の力で他人を変えるのはかなり難しいことなのです。

■「余裕があるほうが譲る」という関係を築く

サバクトビバッタやオオムラサキの幼虫のように、まずはその場の状況や相手に合わせて、自分を柔軟に変えてみることが大切だと思っています。

サバクトビバッタの自己紹介
イラスト=じゅえき太郎

もちろん、今までの自分の生き方を貫くか、劇的に変えるか、「どちらが正しい」という答えはありません。ただ、「自分の力で一番変えやすいのは自分自身」というのは間違いなさそうです。

ペズル『もしも虫と話せたら』(プレジデント社)
ペズル『もしも虫と話せたら』(プレジデント社)

そう考えると、今までの自分を強引に押し通したり、他人を責めたりするのはあまり得策ではないのかもしれません。実際私も、「私は変わらなくていい。あなたが変わるべきだ」と思ったまま問題と向き合った時は、たいてい悪い結果につながってしまうので。

長い目で見れば、自分が気づかないまま周りに迷惑をかけていることもたくさんありますし、「余裕があるほうが譲る(変わる)」という関係を周りと築けるのが理想的ですね。

生き物として約5億年先輩である昆虫の生存戦略は、新型コロナによる環境の変化に直面する私たちに生きるヒントを与えてくれます。

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ペズル 文筆家
著書に『 もしも虫と話せたら』『 せかいいっしゅう あそびのたび』『 三国志に学ぶ人間関係の法則120』がある。Twitter:ペズル( @pezzlepuzzle)

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(文筆家 ペズル)

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