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「採用率はたった20%」20~40代で企業相手の副業ができる人の3つの特徴

プレジデントオンライン / 2020年8月31日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/recep-bg

コロナ禍で働き方の再定義が進んでいる。具体的には副業が増えると言われているが、副業を希望しても、希望通りの仕事が得られるとは限らない。個人に対して企業向け副業を紹介している会社では、応募1000件のうち副業が決まったのは200件だったという。どんな人なら副業で稼ぐことができるのか――。

■テレワーク浸透で「副業・兼業」しやすくなったが……

2020年5月、日本経済団体連合会は、「オフィスにおける新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」を公開しました。この指針の特徴の大きなひとつとして、企業に対して、オンラインなどを活用した働き方を推奨している点が挙げられます。

今後、テレワークが進むことによって、働く時間や自由度が高まり、副業・兼業をしやすくなることが予想されます。以前から、プログラミングやデザインなど、特殊なスキルをもった人であれば、副業・兼業できる人も多かったのではないでしょうか。しかし、会社に行って仕事をするという働き方を前提としたビジネス職(営業、財務、経理、総務、広報などの部門)として働く方々にとっては、副業・兼業が解禁されても、ハードルの高さを感じる方も多いのではないでしょうか。

本稿では、キャリアアップしたい個人と、ベンチャー/スタートアップをはじめとした企業を1to1でつなぐ、副業・兼業のマッチングサービスを提供している企業に取材し、ビジネス職の方が、副業・兼業を行うために必要なスキルについて考えます。

■副業・兼業の受け入れ先が少ない現状

経済産業省「平成30年度兼業・副業による人材の受け入れニーズ調査報告書」(※以下、「経済産業省の調査」)によれば、副業・兼業の解禁を行っている企業は、受け入れ(他社従業員または経営者の兼業・副業先として受け入れ)、送り出し(自社従業員が他企業で兼業・副業を実施)ともに、わずか約1割にとどまっています。

※関東に所在する大企業、中小企業計8000社が対象。

副業・兼業の受け入れに反対する理由は何なのでしょうか。

同調査によれば、大企業、中小企業ともに、以下の内容が多くなっています。

「法務管理上の問題(労働時間、給与管理など)」(大企業68.8%、中小企業35.3%)
「事務管理が煩雑になる(労務管理など)」(大企業53.8%、中小企業37.7%)
「業務上の秘密を保持したい」(大企業41.9%、中小企業43.9%)

また、大企業に比べて中小企業に多い受け入れ反対の理由は、

「企業秩序を乱す」(大企業8.6%、中小企業26.1%)
「どういう人材がくるかわからない」(大企業7.5%、中小企業20.4%)

でした。中小企業では、人間関係への悪影響を心配しているようです。

■技術職以外の職種で、副業で稼ぐことができる人材とは?

では今後、副業・兼業の人材を受け入れる企業では、どんな職種を求めているのでしょうか。「技術職(エンジニア、IT関連)」(大企業36.4%、中小企業51.4%)が最も多く、次に多いのは、大企業では「製造」(32.8%)、中小企業では「営業職」(25.7%)となっています。

大企業に比べて中小企業では、「総務・人事・総務職」(大企業11.0%、中小企業20.3%)や「企画・管理職」(大企業9.2%、中小企業24.3%)などの管理系職種の人材も求めていますが、技術職に比べると、全体としてニーズが少ないことが分かります。

屋外で腕を組む、自信に満ちた日本人ビジネスマン
写真=iStock.com/NicolasMcComber
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/NicolasMcComber

中小企業であれば副業・兼業の仕事が見つけやすい傾向はあるものの、ビジネス職全体としては、受け入れ企業を見つけるのは容易ではない状況がうかがえます。

■採用率は2割、ビジネス職でも副業ができる人は何が違うのか

では、実際にビジネス職のスキルはどこで活かすことができるのでしょうか。

パーソルイノベーションは、2019年6月17日より、副業人材マッチングサービス「lotsful(ロッツフル)」のサービス提供を開始しています。

同サービスが仲介している副業の特徴は、エンジニアやデザイナーといった職種は対象外で、営業や事業開発、マーケティング、バックオフィスなどビジネス職に限定していることです。

代表の田中みどり氏は、同サービスを始めた経緯をこう話します。

「以前は、副業・兼業に適した職種というと、エンジニア、デザイナーなどいわゆる専門職でないと業務の切り出しが難しかったため、ビジネス職での副業受け入れに手を挙げることに躊躇する企業が少なくありませんでした。しかし実際は、副業・兼業に挑戦したい個人は多く、企業側のプロジェクトベースでの人材採用ニーズも存在する。このギャップに気づき、サービスを立ち上げました」

同社では、サービス開始約1年後で、応募約1000件に対して、マッチング実施事例は約200件です。サービスを利用する主な社員年齢層は20代後半~40代で、マッチングが行われている業種の比率としては、事業開発、マーケティング、営業、経営企画、人事が各2割、広報、ファイナンスは1割程度です。

■副業で企業に採用され、活躍できる人の3つの特徴

田中氏は、実際に副業のマッチングがうまくいっている人の特徴は3つあるといいます。

副業できる人の特徴①「プロの領域」を持っている

例えば、官公庁向けの営業を長く担当している方は、官公庁のニーズや予算の組まれ方、業務フローなどを熟知していて、官公庁とビジネスをしたいが社内に経験者がいないベンチャーで活躍しています。

副業できる人の特徴②「経験」を再現できる

既存の枠組みに乗っかって日々業務をこなすのではなく、自分が関わっている業務全体の仕組みを理解し、重要なポイントを認識できる人は、他の職場でも今までの経験を活かし、再現することができます。例えば、大企業の意思決定プロセスやニーズを知っている方は、大企業と取引をしたいベンチャーの営業支援で活躍をされています。

副業できる人の特徴③自分で「仕事」を創り出せる

仕事が降ってくるのを待つのではなく、企業の課題やニーズに合わせて、自ら提案し、自身の仕事を創れる人は活躍できます。例えば、WEBマーケティングに強みを持つ人は、アナログなマーケティング活動(展示会出展やDMなど)をしていた企業のなかで、主体的にWEBマーケティングの戦略設計、メンバーへの運用レクチャーを実施しています。

これらの特徴を踏まえると、副業・兼業ができる人というのは、本業のなかで肩書・職位が高い人や、特別な仕事を任されている人に限られるものではなく、日頃から自分に任された仕事の専門性を高め、客観的な目線を持ち、新たな工夫ができる人なのではないかと感じます。

ガラスに図を描いてオフィスで議論
写真=iStock.com/imtmphoto
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/imtmphoto

■副業で企業に採用されず、副業できない人の3つの特徴

副業を希望している人のなかには、副業先を決められない人もいます。田中氏は「副業を決められない人(副業が難しい人)」には以下の3つの特徴があるといいます。

副業できない人の特徴①専門性があいまい

副業では、プロジェクトごとに業務を切り出し委託することが多いため、「何ができる人か」を具体的に企業がイメージできるかは重要です。繰り返しにはなりますが、自分の中での「プロの領域」を持てるよう実績を作る努力を行うと同時に、その経験を第三者に対して言語化できることが大切です。

副業できない人の特徴②自分の考えや経験を押し付ける

限られた時間で関わるからこそ、社員以上に受け入れ企業で実現したいこと・考えを理解し、寄り添うことが重要です。そのためには、自分自身が「本当にやりたい」と自然に思え、共感できる企業や事業を選ぶことが重要です。

副業できない人の特徴③時間のコントロールができない

副業をすれば、業務量はその分増えますので、自身のキャパシティを把握しコントロールできなければ、本業も副業も両方がうまくいきません。「なんのために副業をやるのか」をしっかりと考え、自分の時間をどのように捻出するのかを副業を実施する前に整理することが大切です。

■自分にはスキルがないと思いこんでいる人が多い

ビジネス職のなかには、自分自身では経験やスキルは特徴がないと思いこんでいる人がいます。しかし田中氏は「自分のキャリアを棚卸しして、個人としてできることを改めて認識することが、自身のキャリアを存分に活かすことにつながるのです」といいます。

最近では、キャリアの棚卸しをするために、キャリアコンサルタントへの相談機会、職業に関する適性検査などで新たな適性や強みを知ることができます。

オフィスでの商談
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

また、そのような場でなくても、複数の友人や同僚に自分の得意分野や強みについて改めて機会を設けて聞いてみる、あるいは、紙に自分の今までのキャリアを振り返って、①自分が仕事で楽しいと感じたこと、②人に自慢したい経験、③今の仕事とは関係なくついてみたい職業などを書き出し、その内容をもとに友人や同僚に質問をしてもらうことも棚卸しにつながります。

さらに、そのような時間を意図的に持つことは、副業・兼業など新たなチャレンジを行う前準備にとどまらず、自己理解を深める大切な時間になるのではないでしょうか。

■2035年「企業に所属する正社員」という生き方は消えるのか

2016年に厚生労働省が発表した「働き方の未来 2035」のなかでは、「企業に所属する正社員」という生き方は変革を迫られ、ミッションや目的が明確なプロジェクトに携わり、企業の内外を自在に移動する働き方が大きく増えていくことが指摘されています。

副業・兼業というと、収入の獲得ややりがいが得られることなどを理由として注目を浴びていますが、今後、変わりゆく雇用環境のなかを生き抜く上では、一人ひとりが自分の個性や能力を活かしながら、自立した働き方を考える良い機会になると考えます。

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小島 明子(こじま・あきこ)
日本総合研究所 創発戦略センター スペシャリスト
女性の活躍推進に関する調査研究及び環境・社会・ガバナンス(ESG)の観点からの企業評価業務に従事。主な著書に「女性発の働き方改革で男性も変わる、企業も変わる」(経営書院)

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(日本総合研究所 創発戦略センター スペシャリスト 小島 明子)

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