いつも小さなことで心が揺らいでしまう人が、ラクに生きるための処方箋2つ

プレジデントオンライン / 2020年9月12日 11時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/kokoroyuki)

「わたし、これだったんだ」とSNSで大反響を呼んだ、30万部突破のベストセラー書籍『繊細さんの本』。「まわりに機嫌悪い人がいるだけで緊張する」「相手が気を悪くすると思うと断れない」「疲れやすく、ストレスが体調に出やすい」「細かいところまで気づいてしまい、仕事に時間がかかる」。そんな悩みを抱えて生きる繊細さんの「気がつきすぎて疲れる」を解消し、健やかに生きていくためのライフハックを紹介したのが、著者であり、日本では数少ないHSP専門カウンセラーである武田友紀さん。武田さん自身が、自分は「繊細さんだ」と気づいたきっかけは休職だったと言います。

※本稿は、武田友紀『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる「繊細さん」の本』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。

■仕事上の成果は出ていた。なのに突然、出勤できなくなった

私自身、繊細な気質を持っています。思い返せば幼い頃から繊細でしたが、「どうやら他の人より繊細らしい」と気づいたのは社会人になってからでした。

大学卒業後はメーカーへ入社し、技術者として商品開発を担当。上司と仲間に恵まれてはいたけれど、毎日忙しくて夜中まで働きました。部品の小型化に成功する、特許出願で表彰されるなど、仕事上の成果を出していたものの、どんなに評価されても自信を持てず「あれもこれもやらなくては!」と自分に鞭打つ日々。

新商品の発売日が迫り、あまりの忙しさに部署内で休職者が出始めます。注意喚起が行われたときにはもう遅く、重要な実験データを提出し終えた翌朝、糸が切れたように会社に行けなくなりました。入社6年目のことでした。

「なぜ自分はストレスに耐えられなかったのだろう」

一緒に働いていた同僚や上司に申し訳なくて、泣きながら自分を責めました。1カ月ほど休みをもらって復帰するつもりでしたが、会社のロゴを目にしただけで涙があふれ、どうしても行くことができません。休職は約2年に及びました。

■一度立ち止まったことで思い出した「繊細な自分」

静かに絵を描いたり、空を眺めたり……。

働けないまま家にこもり、ひとりの時間を過ごすうちに、自分の静かな面に気がつきました。役に立たないことを無駄だと思い、職場で常に気を張っていた自分とはまるで別人のような、静かで穏やかな自分。

それは、大人になるにつれて忘れていた「繊細な自分」でした。

エレイン・アーロン博士の『ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。』を読み、HSPという気質を知ったのも、この頃です。

2年間の休職を経て、復職。実験室でデータをまとめていたときのことです。

「ああ、こうすればいい」

どのデータをどう計算するべきか、今後やるべき実験は何か。

すいすいと思考が進んでいく、とても不思議な感覚にとらわれました。はるか先まで見通しがきき、遠くまで手を伸ばせるような……とても静かで力強い感覚でした。

考える間もなく、自分が何をどうすればいいのかがわかる。

それは、仕事で繊細さが全開になった最初の経験でした。

言葉にならない相手の本音を感じとること、丁寧に仕事をすること、小さな情報を数多く拾って最善の一手を予測すること。ストレスの多い職場で裏目に出ていた繊細さが、自分に合う環境では大きな力になることを実感しました。

■忙しいときにこそ、心と体の状態をよく観察して

繊細さんに知っておいてほしいことがあります。それは「仕事よりも心身の健康が大切だ」ということです。

繊細さんは良心的でがんばり屋。ストレスフルな職場環境でも「自分がやらなきゃ」「いま仕事を辞めたら同僚に負担がかかる」と思うあまり、限界を越えてがんばりすぎる傾向にあります。

でも、仕事がうまくいかないときって、「人が足りない」「納期が短い」「部署間のコミュニケーションがうまくいかない」など、組織全体の問題であることも多いのです。自分ひとりのがんばりで対応しようとするのは無理があります。

「しんどい状況の中、同僚もがんばっているから」「みんなストレスを感じながら働いているのだから」というのは、繊細さんがその職場にい続ける理由にはなりません。

仕事は本来、自分を幸せにしてくれるもの。繊細さんが自然体で、肩の力を抜いて実力を発揮できる仕事が世の中にあります。自分に鞭打つようなストレスフルながんばりはあくまで「期間限定」にしてください。自分に鞭打つがんばりが長期間続いているのなら「何かおかしい」と疑問を持たねばなりません。「この働き方をこれからも続けていくんだろうか」と、立ち止まって考える時間が必要です。

仕事のストレスが強いからと繊細な感覚を封じるのは、雪山で寝るようなもの。感覚が鈍ると、ストレスがかかっていることがわからなくなり、気づいたときには心身ともに疲弊しきっているのです。

忙しいときこそ、繊細な感覚で、心と体の状態をよく観察してください。肩こりはどうか、胃の調子はどうか。女性なら生理痛はひどくなっていないか。楽しいことを楽しいと感じられるか、電池が切れるように眠るのではなく、心穏やかに眠れているか。

体の調子が悪いようなら、回復するまでは残業を減らす、休暇をとるなど自分を休ませてあげてください。心身を壊してまでやるべき仕事など、ないのです。

「この仕事/職場にい続けたらまずい」

そう思ったら、同僚にどれだけ迷惑をかけようと、仕事の責任が残っていようと、すべて放り出して全力で逃げてください。

人生には逃げるべきときがあります。仕事よりも他人よりも、自分の心身を最優先にしてください。

■自分をまるごと引き受けて生きていく

おいしいごはんを味わって食べること、「娘のまつげが伸びた」という夫の観察眼に惚れること、相談者さんと深く心の内を話し合うこと。

武田友紀『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる「繊細さん」の本』(飛鳥新社)

繊細さはストレスを感じやすいという大変な面もありますが、気持ちいい、嬉しいなど、幸せを深く味わえる、とてもいいものです。

繊細さんにとって繊細さは、自分を構成する大切な一部分。繊細さを「いいものだ」と受け止めることは、自分を「いいものだ」と肯定することにつながります。

「私には、繊細なところも大雑把なところもあるよ。それが私」

そんなふうに、自分をまるごと引き受けて生きていけたらいいんじゃないか。そう思っています。

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武田 友紀(たけだ・ゆき)
HSP専門カウンセラー
メーカーでの研究開発を経て独立。フリーのカウンセラーとして個人向けの人間関係カウンセリングや適職診断を行う。著書に『「繊細さん」の本』『「繊細さん」の幸せリスト』ほか。繊細の森にてコラム掲載中

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(HSP専門カウンセラー 武田 友紀 写真=iStock.com)

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