コロナ禍でも笑っていられる「サラリーマン投資家」の5つの絶対条件
プレジデントオンライン / 2020年9月4日 11時15分
※本稿は、勝間和代『圧倒的に自由で快適な未来が手に入る! 勝間式ネオ・ライフハック100』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
■ドルコスト平均法……相場が下がるほど結果が出る
私は2007年11月に『お金は銀行に預けるな』(光文社)を出したときから一貫して、投資信託のドルコスト平均法による積み立てを勧めています。ドルコスト平均法は定額購入法とも言い、日々価格が変動する金融商品を、毎月同じ数を買うのではなく、同じ額で買う方法です。
例えば、Aという金融商品の価格が、先月は1万円で、今月は8000円だったとしましょう。これを1株ずつ買った場合、2カ月で2株になって購入額は合計1万8000円。1株あたりの平均買い付け価格は、9000円になります。
いっぽう、同じ商品を1万円ずつ買う場合、1万のときは1株買えて、8000円のにときは1.25株買えます。合計2万円で2.25株買ったことになるので、1株あたりの平均買い付け価格はおよそ8800円。毎月1株ずつ買うよりも0.25株多く買えて、平均買い付け価格を200円安く抑えられていますよね。この平均買い付け価格を安く抑えることによって、損が出にくくなる=もうけやすくなるのです。
今年2月~4月は、新型コロナウィルスの感染拡大を受けて相場が下落しましたが、その分、たくさん買い付けることを意味します。すなわち、相場が戻ったときにもうけが出るということ。ドルコスト平均法を長く続けている人ほど、下落相場があるとシメシメと思うのはそのためです。
■お金は寝かせずに、働いてもらう
実際にやってもらわないと実感しづらい話だと思いますが、ドルコスト平均法を10年、20年と中長期的に続けると、元金のだいたい1.5倍か1.6倍、多いと2倍に増えます。
例えば、私が主催する勝間塾には、『お金は銀行に預けるな』を読んですぐ、積み立てを始めた人たちがいます。積立額は月々2万円、3万円、5万円と若干の差はありますが、そのお金は11年半経った今(2019年7月の時点)、どのくらいに増えていると思いますか?
月々3万円の場合、11年で元金は396万円。それが1.5倍だと+198万円で合計594万円、1.6倍だと+237万で633万、2倍だと792万円になっているのです。
ちなみに、銀行で積み立てた場合、昨今の銀行の利子はよくて小数点一位、大半が小数点二位でないも同然ですから、ほぼ元金のまま。お金は銀行に寝かせずに、ドルコスト平均法で働いてもらいましょう。
■初めてでも失敗しない5つのポイント
ポイント① オンライン証券でNISA口座を開設する
実際に、ドルコスト平均法(定額購入法)を始める際のポイントは5つあります。まず一つ目は、オンライン証券で、NISA(ニーサ)口座を開設することです。
証券会社の店頭に行くと、担当の人にいろんなサービスやプログラムを勧められて、よくわからないままに加入しかねません。そうした心配がないオンライン証券がお勧めです。口座開設手数料はかかりません。利用者数が多くて、初めての人にもわかりやすいのは、「auカブコム証券(元・カブドットコム証券)」か「SBI証券」だと思います。
開設する口座は、「積立NISA(ニーサ)」と言われる口座にしましょう。NISAとは、少額投資非課税制度のことで、配当金などの収入が5年間非課税になります。そのため通常の口座より、お金が増えるスピードがより早くなります。
ポイント② 積立金は収入の1~2割に
開設した口座には、指定の銀行口座から引き落とすことができます。500円から積み立てられますが、私は収入の1~2割、できれば2割を積み立てることを推奨しています。もっと積み立てたい人は、収入からこのぐらいなくなっても暮らしていける、というギリギリの額を設定しましょう。残ったお金は、生活費として全部使い切って問題ありません。
■「売買手数料」と「運用管理手数料」に要注意
ポイント③ 「ノーロード」の「インデックス投信」を買う
ノーロードとは、買うときの手数料がかからない金融商品、という意味です。商品によっては、買うときに1~3%の手数料がかかるものもありますが、ノーロードだと無料です。
もっとも、ノーロードでも、信託報酬と言われる年間の運用管理手数料はかかります。信託報酬は一番安くて0.2%くらいで、0.6~0.7%に納まるものを買うのがお勧めです。そして、実際にまず買ってほしい金融商品の種類は次の2つです。
・世界株式インデックス
・日本株式インデックス
株式インデックスとは、NYダウや日経平均株価、TOPIXのような株式指標=インデックスと同じように値動きするように作られた投信です。運用するのはコンピューターで、人間の専門家でない分、手数料が10分の1から5分の1程度で済むから得なのです。
毎月の積立額が1万円なら、いずれか1つを買いましょう。2万円以上なら2つに分けて買うのが、よりリスクが少ない買い方になります。さらに積立額が多い人は、「不動産投資信託」を買うことをお勧めします。
■不動産投資信託は配当利回りがいい
通称「リート(REIT)」と呼ばれていて、オフィスビルや商業施設、居住用マンションなどの不動産に投資して、テナントからの賃料という比較的安定した収入源を元に運用する金融商品です。
投資家から集めた資金だけではなく、銀行などからの借入金も入れて大きな取引にするため、レバレッジがかかる、すなわち、自己資本に対する利回りが上がります。その分高い配当利回りが期待できる、ミドルリスク・ミドルリターンであることがお勧めする理由です。
リートで買うべきは、株式の商品と同様に、不動産市場全体の動向を示す指数(リートインデックス)と同じように値動きするように作られたインデックスの商品です。日本のリート(通称Jリート)のほか、先進国のリートと新興国のリートがありますが、現在住んでる家が賃貸住宅の人には、Jリートインデックスを買ってください。
なぜかと言うと、家賃は不動産が値上がりすると上がりますが、そのときはJリートインデックスの価値も上がるので、家賃が増えた分をリスクヘッジできるからです。
いっぽう、持ち家に住んでいる人は、Jリートを選ぶメリットは特にないので、先進国のリートインデックスにする方がバランスがいいでしょう。お金に余裕がある方は、日本のと先進国の両方を買ってください。
■最初は赤字でも、長期運用で小さな結果を積み上がる
ポイント④ 最低5年以上続ける
金融商品は世の中の経済状況によって値上がりしたり、値下がりしたりしますが、それに一喜一憂しないことが大切です。世間が「今が売りどき」とか「売らないと元本割れして大損する」と大騒ぎしても、積み立てたお金を動かしてはいけません。世界的な金融恐慌が起きても、積み立てを続けます。
ドルコスト平均法はもうからない、という人のほとんどが、短期間で止めてしまっていることが原因です。投資額を小分けにして、長期間続けることでリスクヘッジする運用法なので、時間が最大の味方です。1、2年でやめたら損をするかもしれませんが、5年、10年続けると増益がプラスになり続けるので、損をするのが難しくなります。
ポイント⑤ 小さな配当で確実にもうける
ドルコスト平均法は、株式投資や債権投資のように一攫千金は狙えません。大もうけも大損もせず、小さな配当で確実にもうけを出す、堅実な貯蓄法です。もうけが小さいとはいえ、10年で1.5倍~2倍ですから、銀行のゼロ同然の利子に比べたら、はるかにもうかります。
始めて最初の1、2年の間は、赤字の状態が続いたり、損益が上がったり下がったたりしますが、5年、10年経つとすごく安定して、必ず黒字続きになります。まだやっていない人は、騙されたと思ってぜひ始めてください。始めるタイミングは「決心したとき」です。5年、10年と続けるわけですから、いつ初めても大差ありません。
証券口座を開くたび、損益がプラスになっていて、ニマニマと笑いが止まらない。そんな生活が待っていますよ。
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経済評論家/株式会社監査と分析取締役/中央大学ビジネススクール客員教授
1968年東京生まれ。早稲田大学ファイナンスMBA、慶應義塾大学商学部卒業。アーサー・アンダーセン、マッキンゼー・アンド・カンパニー、JPモルガンを経て独立。少子化問題、若者の雇用問題、ワーク・ライフ・バランス、ITを活用した個人の生産性向上など、幅広い分野で発言を行う。著書に『勝間式食事ハック』(宝島社)、『勝間式超ロジカル家事』、『勝間式超コントロール思考』『ラクして おいしく、太らない! 勝間式超ロジカル料理』(以上、アチーブメント出版)などがある。
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(経済評論家/株式会社監査と分析取締役/中央大学ビジネススクール客員教授 勝間 和代)
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