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手持ち資産のうち投資に回していいのはいくらまで?

プレジデントオンライン / 2020年10月19日 11時15分

■手持ち資産のうち投資に回していいのはいくらまで?

今回の特集テーマは「投資」です。さまざまな識者が手法や商品を紹介しており、得がたい情報をゲットして、投資に対して前向きな気持ちになっている方もいるのではないでしょうか。

現在は低金利時代で預金に対する利子は期待できません。そのうえ、平均寿命が延びたことで将来的なコストは増加傾向にあり、資産寿命の延伸が大きな課題です。

また、厚生労働省が5年ごとに実施する「就労条件総合調査」によれば、平成15年に平均2499万円だった退職金は、平成25年は平均1941万円、平成30年は平均1788万円と大きく目減りしています。将来に対する不安はますます膨らむばかり。投資で減った分を補填したいと思うことは自然なことです。

ですが、投資によってリターンを得るためには、資産をリスクにさらさなければなりません。どんなに優れた商品でも、バブルの崩壊やリーマンショックのような現象が起これば、ダメージは必須です。こうしたリスクがある中、サラリーマンはどのくらいの額を投資に回せるのでしょうか?

「投資にいくら使えるのか」を可視化するため、資金を4つに分けて考えてみましょう。

■イザというときに備えておきたいお金

1つめは「流動性資金」。病気やケガ、災害、失業した場合の当座の生活費など、生きていくうえで「イザというときに備えておきたいお金」とも言い換えられます。

ファミリーの場合、流動性資金の目安は生活費の半年~1年分。独身者の場合でも、失業手当がおりるまでの最低3カ月分は死守すべきです。

2つめは、「目的別資金」です。子どもの進学やリフォーム、車の買い替えや冠婚葬祭費用など「近い将来、使うことが決まっているお金」とも言えます。こちらも基本的に、投資には回さず必要な額をしっかりと把握してコツコツ貯蓄をお勧めします。

3つめの「安全性資金」は極力、自分が減らしたくないと思うお金です。「目的別資金」と重なるかもしれませんが、リスクを取りたくない、取れない分として、国債や社債、投資信託など、比較的ローリスクな運用を行います。

最後に残ったのが4つめの「収益性資金」です。リスクをコントロールしながら、積極的に運用していきます。たとえば、10年以上先の老後資金など「当面は使わないお金」です。個別株や新興国ファンド、外貨建て商品など、比較的ハイリスクハイリターンな金融商品に投資します。

「安全性資金」と「収益性資金」のバランスが難しいかもしれませんが、自分のリスク許容度を適切に見極めることが重要です。投資を続けていても、年齢が上がればリスク許容度は小さくなっていきます。また、2000年のITバブル崩壊時は約4割、08年のリーマンショックでは約5割、そして20年のコロナショックでは約3割、日経平均が下落しました。これは、「投資に回した資金の3~5割が、株価下落で失われる可能性がある」ということ。

FPとしては「ゼロになってもいいお金」などありませんが「最悪の場合、3割から5割減っても家計が耐えられるお金はいくらか」と考えると、収益性資金の割合を決める参考になるはずです。

それに、こう考えていくと投資に回せるお金は多くありません。ある調査では、20~30代の約2割が貯蓄ゼロという結果も出ています。

この方々に必要なのは、投資よりも、家計の見直し。お金がないから、投資で増やそうとしてもロクなことになりませんよ。ホントに。

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黒田 尚子(くろだ・なおこ)
ファイナンシャルプランナー
CFP1級FP技能士。日本総合研究所に勤務後、1998年にFPとして独立。著書に『50代からのお金のはなし』など多数。

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(ファイナンシャルプランナー 黒田 尚子)

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