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「初めての投資は米国株から」コロナ相場でも現役銀行員がそう断言する理由

プレジデントオンライン / 2020年10月2日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Lazy_Bear

コロナ・ショックで株式相場は大きく動いた。その影響で証券口座を開く人が増えている。どんな銘柄に投資するのがいいのか。現役銀行員投資家のたりたり社長は、「『安いから』と株を買ってはいけない。初心者であれば日本株より米国株を買ったほうがいい」とアドバイスする――。

※本稿は、たりたり社長『今だからこそ始める!本気で稼ぐ株式投資の教科書』(KADOKAWA)を再編集したものです。

■「コロナ暴落」で損した人、得した人

コロナ・ショックの3月、ニューヨーク証券取引所ではS&P500(編集部注:米国の主要な上場企業500社の株価をもとに算出された株価指数)が7%以上下落したためサーキットブレーカーが発動し、取引開始早々に15分間売買ができない事態に直面しました。一度だけならず何度か取引が中断され、3月18日にはVIX指数(恐怖指数)が一時85.47となり、文字通り投資家の不安や恐怖はMAXとなりました。

リーマン・ショックの2008年10月24日の恐怖指数、89.53には及ばなかったとは言え、これだけの株価暴落は、それまで個別株を買っていた人にとっては悪夢となったに違いありません。30を超えると警戒とされているこの指数は、現在30付近で推移しています。

株取引では上がった時に売る、下がった時に買うのは鉄則ですが、今の株価が高いのか安いのかを見分けるのは非常に難しいことです。実際、リーマン・ショックの再来かと言われていた3月に、信用取引や先物オプションなど以外で資産を増やした人は少ないでしょう。

■「落ちるナイフ」を拾いに行くな

ウォール街で昔から言われている「落ちるナイフは拾うな」という格言があります。下落している中では、ナイフ(=株)をつかむと痛い目に遭うことが多いからです。安値を付けて落ち着いてから買っても遅くはないです。

コロナ・ウイルスが世界で猛威を振るっている中での3月~4月に個別株を買った初心者投資家は、今売ればかなりの利益を得たに違いありません。ただし、今が売り時だったかどうかは後からわかることです。また、日経平均が2万3000を回復し、ダウ平均も2万8000を上回り、NASDAQが最高値を更新したこの9月、新規に株を買ってもいいものでしょうか? 何も知らないで安いからと株を買った人には、これから落とし穴があるかもしれません。

■「初めての投資は米国株から!」の理由

S&P500というアメリカを代表する企業500社の株価を合わせて作った指数を見てみると、アメリカの株式市場がどれくらい発展してきたかが一目でわかります。

1970年を起点として、過去50年間という目線で考えてみると、米国株価はなんと35倍にもなっています。

つまり、50年前に100万円を投資していれば、3500万円になっていた、ということです。

直近25年のS&Pの株価推移
『今だからこそ始める!本気で稼ぐ株式投資の教科書』P42-43より

図表1のグラフは直近25年のS&Pの株価推移のグラフですが、こちらを見ていただければ、米国市場がいかに驚異的な速度で拡大し続けてきたかがわかるかと思います。

また、アメリカは世界一の経済大国であるため世界中の国と貿易を行っており、代表する企業の多くは世界中から収益を上げています。アメリカに投資するということは、間接的に世界中に投資することになり、リスクを抑える分散投資にもなるということです。

■初心者は個別株よりまずETF投資

アメリカに投資すべきという考えは理解できても、投資初心者がいきなりアメリカ株を買うのはレベルが高すぎるのではないでしょうか? 日本株ならまだわかりますが、アメリカの会社について調べるだけでも相当な労力が必要です。

そこで初心者におすすめなのが、比較的低リスクである「ETF」という複数の株式がセットになった投資商品を使って練習しておくことです。

一般的に人気なのは、バンガード(編集部注:インデックス・ファンド最大手の投信会社)の「バンガード・S&P500(日本株の銘柄コードにあたるティッカーシンボルでVOO。以下同)」というETFです。大手バンガードの投資商品であり、資産総額が大きいため途中償還されにくく、経費率が非常に低いことが利点といえます。

いきなりアメリカの個別株に投資するよりも、S&P500に連動するETFのVOOを買う方がはるかにリスクは少ないでしょう。少額を投資しただけでも、世界の経済ニュースに興味を持つようになり、調べる習慣がついてきます。さらに、下がったときや上がったときに、自分の心理をコントロールする練習にもなるので、自らの投資スキルを身につけるのにもぴったりです。

■少し慣れたら「セクターETF」を試してみよう

セクターETFとは、S&P500を構成する11のセクターごとに連動するETFのことです。11の内訳は、公益セクター、不動産セクター、生活必需品セクター、一般消費財セクター、情報技術セクター、コミュニケーションセクター、金融セクター、素材セクター、エネルギーセクター、資本財セクター、ヘルスケアセクターです。

バンガードのETFで言えば、生活必需セクターならコカ・コーラやウォルマートなどのVDC(ティッカーシンボル。以下同)。一般消費財セクターならアマゾン、ナイキなどのVCR、コミュニケーションセクターならフェイスブック、ディズニーなどのVOX、ヘルスケアセクターならジョンソン&ジョンソンのVHTです。

これらのセクターの基本情報を把握し、ETFで適切に運用することによって、より自分に合わせた投資スタイルを確立することができるため、覚えておいて損はないでしょう。

■スタートにおすすめのセクターETF2種

日本でも有名なアメリカ企業が入っているETFならなんとなくわかりますが、ドミニオンエナジーやリンデ、ユナイテッドヘルスなどあまり知らない企業が多いETFを買うのには躊躇(ちゅうちょ)してしまいます。

これらのセクターについての情報を押さえた上で、初心者がまず挑戦すべきはどのセクター投資なのかというと、「生活必需品セクター」「一般消費財セクター」という消費財セクター二つです。

生活必需品セクターは、景気に左右されにくい「ディフェンシブ」銘柄といいます。一方、一般消費財セクターは景気に株価が大きく左右されやすい「シクリカル」銘柄です。実際にこの2セクターに投資をすることで、不景気の時のディフェンシブの安心感、好景気の時のシクリカルの優位性を身をもって感じることができるのです。

■重要なのは「自分の感情の制御」

意外にも、投資の世界で重要なのは「自分の感情の制御」です。

たりたり社長『今だからこそ始める!本気で稼ぐ株式投資の教科書』(KADOKAWA)
たりたり社長『今だからこそ始める!本気で稼ぐ株式投資の教科書』(KADOKAWA)

株価が上昇している時にはもっと投資したくなるけれど、株価が下落している際は買い時なのにもかかわらず投資したくなくなる、という二つの極端な感情を、資金投資額が少ないうちに実感しておくことは非常に重要です。

投資の世界では、実際に自分のお金を使ってみて初めてわかることがたくさんあります。自分のお金がどうなるのか気になってニュースを調べてみたり、株価の動きに自分の感情が左右されたりと、今までとは見える世界が違ってくると思います。

まずは米国ETFで練習をしつつ、情報収集を重ねて、どのような投資が自分にあっているのかを見極めてみてください。

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たりたり社長(たりたりしゃちょう)
現役銀行員
就職をきっかけに投資について興味を持ち、知識ゼロ経験ゼロの状態から投資の勉強を始める。2019年より、株式投資にまつわる知識をTwitterやnoteなどで発信している。2020年9月より、オンラインサロンを開講。

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(現役銀行員 たりたり社長)

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