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無知な自分の子供に奨学金という借金を負わせる悪魔的な「日本の親」

プレジデントオンライン / 2020年10月26日 11時15分

■その奨学金、ちょっと待ったほうがいいですよ

子どもの大学進学費用は、親にとって大きな問題。どう工面するか悩む親も多いでしょう。

そうしたとき、まっさきに検討されるのが奨学金です。奨学金には返済不要の『給付型』と、返済が必要な『貸与型』があります。

2018年度から本格的に導入されている給付型奨学金の対象者は、住民税非課税世帯など低所得の家庭限定で、対象者は多くありません。

奨学金といえば、大学生の2.7人に1人が後者の貸与型奨学金を使っています。

貸与型奨学金は、『第一種』と『第二種』に区別されます。

第一種は無利息です。無利息ですから、審査は厳しく世帯年収上限と学校の成績、両方のハードルがあります。

例えば3人世帯が申請を行う場合、世帯年収657万円以下であることに加え、学力基準を満たす必要があります。これらを満たせば、私立大に自宅外通学する場合、最大で月額6万4000円を借りることができます。

第二種は有利息ですから第一種に比べて条件が多少緩和されており、3人世帯が申請を行う場合、世帯年収が1009万円以下で、在籍している学校での成績が平均以上で申請が通れば、月額最大12万円まで借りられます。

■利息が発生するのは大学卒業後

利息が発生したとしても、民間の教育ローンと比較すると非常に低金利です。また、民間の教育ローンの場合、利用した翌日から利息が発生しますが、第二種の場合、大学在学中は利息が発生しません。利息が発生するのは大学卒業後からです。

利息は固定金利型の『利率固定方式』と変動金利型の『利率見直し方式』から選択することができます。

20年4月の利率で、前者は0.157%。後者は0.003%です。有利息とはいえ、第二種奨学金は民間の他のローンに比べ、「有利な借金」だといえるでしょう。

しかも、奨学金の返済は大学卒業7カ月目から開始されますが、所得が少なく返済が苦しい場合、月々の返済額を減らす『減額返還』や、返還を先送りする『返還期限猶予』も利用することが可能。こうした点も、金融機関にはないメリットといえます。

また、第一種利用者だけですが、所得に応じた返済金額となる『所得連動返還方式』を選択することもできます。

これは所得に応じて返済月額が決まる仕組みで、所得が少なければ返済月額は少なくなり、逆であれば返済月額が多くなるという仕組み。

教育の幅を広げられる奨学金は良いことばかりに見えますが、知っておくべきことがあります。それは「現時点で返済能力がない若者が大金を借りる」ということです。

労働者福祉中央協議会の『奨学金や教育費負担に関するアンケート調査』によると奨学金借入総額の平均は324.3万円。月々の返済額は平均1.7万円で、返済期間は平均14.7年というデータがあります。

22歳で大学卒業したとすると、36歳まで、年間20万円以上の返済が続く計算で、いくら「有利な借金」とはいえ、楽観視はできません。

むしろ、「借金を抱えた状態で社会人生活がスタートする」という点では、金銭的にはもちろん、精神的にも確実に不利です。その不利を抱えつつ、社会人を全うするためには、日頃からお金に対する正しい知識をつけていくほかありません。親として、私たちは子どもに何ができるのか、奨学金はそれを考える好機ともいえます。

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黒田 尚子(くろだ・なおこ)
ファイナンシャルプランナー
CFP1級FP技能士。日本総合研究所に勤務後、1998年にFPとして独立。著書に『50代からのお金のはなし』など多数。

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(ファイナンシャルプランナー 黒田 尚子)

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