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海外で専業主婦だった私が、引責辞任した父の代わりに突然社長就任。何が起こったか

プレジデントオンライン / 2020年10月17日 8時15分

東横イン 社長 黒田麻衣子さん

■父の後を継ぎ専業主婦から経営者へ

ビジネスホテルチェーン「東横イン」の2代目社長、黒田麻衣子さんはこう振り返る。

「幼い頃、自宅にいても電話口で社員を怒鳴るような父が大嫌いでした。ですから、絶対に父の会社は継ぐまいと心に決めていたんです」

そんな黒田さんを突き動かしたのは強い使命感だった。2008年、グループ会社の廃棄物処理法違反が発覚し、父が責任をとってすべての役職を降りることになったと知るや、「父についてきてくれた人たちのために会社はつぶせない。私がやらねば」と、即座に後を継ぐ決意をしたという。ドイツで専業主婦をしていた暮らしから一転、経営手腕など皆無からの出発だった。しかも、当時はリーマンショックで経済がどん底だった頃。業績悪化に苦しむ中、かつては反感を抱いていた父からのアドバイスで幾度も救われた。

「後を継いで、カリスマ経営者といわれた父の苦労と偉大さを知りました。今は心から尊敬しています」

コスト削減ばかりに気をとられていたとき、現場の声を聴く重要性を説いてくれたのも父だ。ホテルを知り尽くす支配人の意見を取り入れて宿泊料金を値下げするなどした。東日本大震災の復興需要もあり、稼働率は徐々に上昇。日本最大級のホテルチェーンに成長した今も忙しい合間をぬって、300以上あるホテルの支配人との個人面談を年に1度、欠かさず行っている。

■みんなの思いを形にしていく社長でありたい

「支配人の大半は女性です。彼女たち『女将(おかみ)』の代表として、みんなの思いを形にしていく社長でありたい」

洗って、干して、たたむ

その思いは変わらない。しかし社長の座について8年たった今、一歩先の気持ちが芽生えてきたという。

「経営者の集まる勉強会でとある起業家から、リーダーとは『指導者』ではなく『始動者』だと聞いてハッとしたんです。私はまだ何も“始め”ていない。失敗をおそれずに、何かを始められる社長になること。それが今の目標です」

さまざまな決断に迫られ、頭をフル回転する日々を送る黒田さんの趣味は「無心になれる」という洗濯だ。音楽を聴いたり娘とおしゃべりしたりしながらリビングに置きっぱなしのアイロン台の上で、洗った衣類をたたむのが日課。アイロンがけは得意かと聞いてみれば、「不器用なので大の苦手なんです」とさらりと欠点を告白する。

仕事終わりに役員たちと飲みに行くのも楽しみだという気さくな面も持つ。凛々(りり)しくも、飾らない。そんな「普通」の姿がまぶしかった。

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▼My Favorite
My Favorite
ハンドタオルさえあれば緊張して汗をかいても安心
自宅のタンスの引き出しには、色とりどりのハンドタオルがずらり。「小さい頃からあがり症で。人前でスピーチするときなどは緊張して手に汗をかいてしまうので、吸水性の高いハンドタオルを握りしめています」」
初酒は人生の友。飲み疲れを明日に持ち越さないために
ビールやワインなどお酒が好きで家飲みは毎晩欠かさない。「会社のみんなととことん飲みながら話す!と決めた夜は、肝機能を高める働きがあるという錠剤をあらかじめ飲んで、翌日に持ち越さないよう体調管理をします」
仕事と家庭のスケジュールが手帳を開けば一目瞭然
スケジュール管理は紙派。1カ月の予定を見開きで書き込める薄手の手帳を愛用している。「娘の予定は赤ペン、会議は青ペンで記入しておけば公私の予定が一目瞭然。余白には、仕事への心構えなどをメモしています」

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黒田 麻衣子(くろだ・まいこ)
東横イン社長
1976年、東京都生まれ。立教大学大学院文学研究科・博士課程前期修了。2002年、東横インに入社。営業企画部で新規ホテルの立ち上げを担当する。05年、出産・育児のために退社し、夫の転勤にともないドイツへ。08年に副社長として復帰し、創業者である父の後を継いで12年に社長就任。

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(東横イン社長 黒田 麻衣子 構成=安井洋子 撮影=枦木功)

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