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経営コンサルが「アイデア豊富な社長こそ会社をつぶす」と断言する理由

プレジデントオンライン / 2020年10月14日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/deeepblue

いい社長とダメな社長を分けるものは何なのか。経営コンサルタントの小宮一慶氏は「成功している社長はマメで、よく気づき、よく動く。一方、会社をつぶす社長は3つのタイプに分けられる」という——。

※本稿は、小宮一慶『できる社長は、「これ」しかやらない 伸びる会社をつくる「リーダーの条件」』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

■会社を潰す代表格は社長室にずっといる、「穴熊社長」

決めること、考えることが社長の仕事だからといって、社長室に閉じこもってばかりいたのではダメです。経営のヒントは、社長室にはありません。外にあるのです。

まずは、何よりも、お客さまを訪ねたり、現場を見たりして、いまどんなことが求められ、何が問題かを知ろうとする。あるいは、新しくできたものを見に行ったり、体験したりして、世の中の変化を実感する。

さらには、有益な知識や情報を持っている人に会い、話を聞く。優れた知見を持つ専門家の意見を聞く。経営者仲間と定期的に会って情報交換をするなどして、知識や情報のブラッシュアップを図る。そのなかで、正しい判断をするうえでの気づきや発見が得られるのです。

私もシアトルに行ったとき、「レジレス・コンビニ」と言われるAmazon Go(アマゾン・ゴー)ができたと聞いて、立ち寄ってみたことがありました。スマホでアプリを入手した後、店内に入り、商品を手に取り、それを持ってゲートを出てくるだけで買い物ができる。来店者と商品をカメラとセンサーが認識し、その人のAmazonアカウントから自動でクレジット決済されるというシステムです。

当時はまだ精度の面で少々難ありでしたが、「こういうものなのか」といちはやく実体験できたのはまさに「百聞は一見に如かず」で面白かったです。同行していた経営者の方も、興味津々で買い物をしていました。このように、知っているのと体験するのとでは、得られるものが大違いです。

1万社以上の企業を指導したとされる1万社以上の企業を指導した経営コンサルタントの一倉定(いちくら・さだむ、1918‐1999)先生は、「穴熊社長は会社をつぶす」と言われていました。穴熊のように、社長室にこもってばかりいる経営者への訓戒です。外に出て、現場、お客さま、社会をよく見て、知っていなければ、正しい判断をすることはできないのです。

■「評論家社長」「アイデア社長」も絶対NG

一倉定先生は、他にも2つ「会社をつぶす社長」として名文句を言っています。まず「評論家社長は会社をつぶす」。会社のことをまるで評論家のように論評してばかりで、先頭に立って具体的なことをやろうとしない社長のことです。

事を成すか成さないかは、本気で先頭に立ってやろうとするかどうかです。評論するのは簡単。とくに、否定的な評論をするのは簡単ですが、社長として重要なのは、「実践で結果を出す」こと。「評論より行動」です。

何をやるかやらないかを決めたら、すぐに具体的な計画に落とし込み、実行します。実行したら、結果を検証し、改善策や推進策を練り、再び実行する。このサイクルを繰り返し、指揮を取るのが社長の仕事です。「思考力」と「実行力」、この両方が必要なことは言うまでもありません。

では、もう1つの「会社をつぶす社長」とは何でしょう?

答えは「アイデア社長は会社をつぶす」です。その場の思いつきで、「これやろう」「あれやろう」とアイデアを出す。会議のときに一人でベラベラ語り、会議を独演会にしている社長がよくいます。意見やアイデアを出すのは自分しかいないと勘違いしている。

しかし、部下はアイデアがないわけではなく、ただ発言しないだけなのです。変わったアイデアを出すのが経営だと思っている人もいますが、大きな勘違いです。

できる社長は、みんなにできるだけ話をさせるような雰囲気をつくります。自分の仮説を持っていても、先にそれを言ってしまったら、みんなから率直な意見が出なくなることをよく分かっています。

最悪のケースは、社長の出したアイデアに誰も反対できず、検証もされずに実行に移され、うまくいかない。でも、社長にダメ出しできる人がおらず、適当に実行され失敗の傷が深くなる。それを見た社長が「なんでこんなことやっているんだ!」と怒る。自分が出したアイデアであることすら、もはや忘れているのです。まるで冗談話のようですが、現実に同じことが起きている会社は数多くあります。

■できない理由より「やる方法」を考える

私の会社の行動規範の一つに、「できない理由よりやる方法」というものがあります。「無理だ」「できっこない」と初めから決めつけ、できない理由をあれこれ言わない。どうすればできるのか、「やる」という前提に立って、やる方法に知恵を絞るのです。

小宮一慶「できる社長は、『これ』しかやらない 伸びる会社をつくる『リーダーの条件』」(PHP研究所)
小宮一慶『できる社長は、「これ」しかやらない 伸びる会社をつくる「リーダーの条件」』(PHP研究所)

これは、何でもかんでもやろうとするわけではありません。何をやるか、やめるか、やるべきことを絞り込み、やると決めたことは全力でやるという姿勢とセットです。本当に自分たちがやるべきこと、自分たちがやらなくてもいいこと、そこをはっきり共有できているから、「やろうか、どうしようか」と中途半端に迷うことなく、やると決めたことは「やる方法」を探すことに全力を出せるのです。

とどのつまり、社長に必要なのは思考力と実行力です。

成功している社長はマメで、よく気づき、よく動きます。常に考えている、行動している。横着じゃないのです。社長が考えなくなると、組織は停滞します。停滞すると、実行力が落ち、組織力はますます衰退します。

まずは社長自ら、よく考え、よく行動し、社員の模範となってください。

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小宮 一慶(こみや・かずよし)
小宮コンサルタンツ会長CEO
京都大学法学部卒業。米国ダートマス大学タック経営大学院留学、東京銀行などを経て独立。『小宮一慶の「日経新聞」深読み講座2020年版』など著書多数。

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(小宮コンサルタンツ会長CEO 小宮 一慶)

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